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ラッコ売りの少女

「ラッコ買って下さい……ラッコはいりませんか……?」

 真冬の街角。

 少女はラッコの入った水槽を抱え、道行く人達へ声をかけます。

「ラッコはいりませんか……? おなかの上で貝とか割りますよ……」

 少女はラッコが売れるまで家に帰れませんが、まだ一匹も売れてないのです……一匹しか連れてませんが。

「寒い……」

 火の中に食べ物が浮かぶ幻覚を見る事も出来ない少女は、寒さを凌ぐべくラッコを抱いて温まろうとします。

「暖か……冷たっ!」

 しかしながらというか当然というか、ラッコの濡れた毛皮は寒さで冷え切っていて、逆に体温を奪われてしまいます。

 それでも徐々に暖かくなるのではと、少女は我慢してラッコを抱き続けようとします。

 でも限界です。

 もう指やら鼻やら千切れそうです。

 何よりラッコが嫌そうに身をよじっていて抱きづらいったらありません。

 ラッコを水槽に戻すと、少女は道の端で体育座りをし、身体をさすってどうにか凌ごうとします。

 ……が、濡れラッコを抱いたせいで服はびしょびしょ。

 寒さ全開で歯がガチガチ鳴ります。

 少女は自分の浅はかさにちょっと泣きそうになりました。

「何だかとても眠いわ……」

 翌朝、少女は道の端で体育座りのまま、もう目を覚ますことはありませんでした。

 ラッコは裕福な人に拾われ、幸せに暮らしましたとさ。


 めでたしめでたし。

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