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博士襲来
帰れ。
それ以外に言うべきことなんてない。
「ちょっ! 私だよ! あなたの博士ですよ?」
知らねえよ。
「『初めて焼鳥をおごってあげた翌日、君は駅前の鳩をずっと見つめていたね。私は生暖かい目でそれを見ていたよ』ほらね? そんな君の博士だよ?」
そんな思い出なんてねえよ。というか初対面だ。
「今度の発明品は凄いから! 物凄いんだから!」
だから今度も何も初対面だ。ホント、誰かは知らんが帰ってくれ。
「だから博士なんだってば! 博士だから発明品持って来たんだよ? ほら、ね? だから入れてよ」
ああそれなら……って入れると思ってんのか。
「冷たい……」
いやいやいや、見ず知らずの女性がわけのわからない物を持って「凄いものを発明しちゃったから入れてよ!」なんて言いながら来ても普通追い返すだろ。
「女性じゃなくて博士だよ?」
そうか。帰れ。
「これのボタン押していいからさあ」
そんな得体の知れないボタンを誰が押したがるか。
「えー? 爆破なのに……」
余計にいらねえよ。
「あ」
ん?
「入れてくれないとこのボタンを押すよ!」
……がちゃり。




