由紀乃さんはお告げを述べない
その噂を耳にして訪れた由紀乃さんという人のお仕事は、基本的にお告げを述べることだった。
「そこのあなたはこれから3年以内に討ち死にしますが平気です。私は元気です」
大抵この調子なので、彼女は周りから変人扱いを受けていて、時には露骨な嫌がらせを受けることもあったようだが、それでも彼女は今日までお告げを述べ続けてきた。
「それからそこのあなた。あなたは絵を始めると吉――」
たまにそれはお告げというより占いではないか、というものもあったが……
「――ラッキーカラーはこう……こんな形した色です。でも興味ありません」
……それでもやはり由紀乃さんはお告げを述べる。
由紀乃さんがお告げを述べ続ける理由、きっと、それを知っている。
「……由紀乃さん、久しぶり」
「……ええ、本当に」
そして彼女はほっと息をついて言葉を続けた。
「やっと届いた」
そう言って、幼馴染みだった女の子は笑う。
「随分、変で、遠回りな方法だけどね」
そう言って僕も笑った。
「だって、そういうのが好みだったでしょう?」
彼女の言葉に、そうだねと言って手を差し出した。
もう彼女はお告げを述べない。
述べる必要が無くなったのだから。




