掃除あるある
「よっしゃ、来いや!」
俺は今、掃除と格闘中だ。
勝てば部屋が綺麗になり、負ければ部屋がカオスになる。
年の瀬、負けられない一戦だった。
「おらあっ!」
掃除とがっちり組み合った俺は、掃除をぐいぐい押し込んでいく。押し入れに。強引に。
だが掃除は押し入れ上段下段の仕切り部分に足を掛けるなりジャンプ。一気に後ろへ回り込まれた俺は投げっ放しのジャーマン・スープレックスをお見舞いされてしまう。受け身をとり損なって軽い脳震蘯を起こしはしたが、それでもフォールされるのを辛うじて躱した。
「なかなかやるじゃねえか」
ふらふらしつつもにやりと笑ってそう言い放つ。対する掃除もまた、軽くうなずくと不敵に笑った。
「だが、俺達の闘いはまだ始まったばかりだ!」
そんな打ち切り漫画のような台詞を吐いて再び掃除に組み付く。
だがまあそう、闘いはまだ始まったばかりだ……。
……そして数十分後。
掃除が片膝を着いた隙を狙ったシャイニング・ウィザードによって辛くも勝利した俺は、ぐちゃぐちゃ雑然カオスな部屋の真ん中に佇んでいた。
……勝ったのに何故カオス?
「まさか……偽者……だと……?」
これはあれか、掃除に相似だっただけってことか。
「って駄洒落かよ!」
……掃除、するか。何処から手をつけていいかわからんが。
見渡す部屋はもうぐちゃぐちゃで、ああ掃除ってのは始めてみたら始める前より散らかることってあるよな、と思った。




