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ピュアおじさん

「うわ、今日もいる」

「大丈夫だよ。ピュアおじさんは見てるだけだから」



“ピュアおじさん”と呼ばれている人がいる。


 ピュアおじさんはチワワのような目をしていて、登下校する小学生をそのうるうるとした目でずっと見つめているだけのおじさんだ。

 いつからいるのか誰も知らない。少なくとも僕らが生まれる前からいるらしくて、街の人達はみんなもう慣れてしまったのか誰も気にはしない。


 そのピュアおじさんが最近ずっと僕だけを見ている気がする。


 毎日いて、何回か目が合って、その度にピュアおじさんは顎を少し引いて上目遣いで僕を見てきた。

 怖くなって友達や両親や先生に相談したけれど、みんな気のせいだとか見てるだけだからとか言って全然相手にしてくれない。

 でも確かに、ピュアおじさんはチワワの目で毎日毎日僕だけを見ている。僕だけを見続けている。

 だから……。

 その日、僕はポケットに忍ばせたナイフを握り締めてピュアおじさんへ近付いた。

 

 ピュアおじさんはそんな僕を、チワワのような目でずっと見ている。

 

 

『……くん10歳が16日午後から行方不明となっており……』

 

 

「……でも、ピュアおじさんに何かしようとしてはいけないよ。何もしなければピュアおじさんは見てるだけだけど、もし、こちらから何かしようとなんてすると――」

 

 ――おしまいになっちゃうからね。

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