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純粋だった

「純粋だった?」

 

 微笑みながらそう言って、君が目の前で飛び降りてから少しの月日が経ったけれど、私は未だに君の言った「純粋」の意味がわからないでいる。


『じゅんすい【純粋】

[意]まじりけのないこと。かけひきがなく、ひたむきなこと』


 本屋に行って、広辞苑や広辞林、新明解国語辞典や集文社の小さな国語辞典まで手にとって「純粋」という言葉を引いてみたけれど、頭ではわかっていても何処か納得出来なくて、それが苛々とした気持ちにさせられる。


 だから街を歩いて路地裏でカツアゲしようとする女子高生を鞄で殴りお礼を言おうとする女子中学生も殴り女子高生をさらに殴っている途中で警官が来て慌てて逃げる。


 歩道橋まで逃げて来た時に日が暮れ始めて、夕日が真直ぐに私を射した。それが余りに綺麗で「ねえ見て!」と振り返って、私は何かが嵌まったような感覚を覚える。


 振り向いても誰も居ない。足りなかったのは喪失感。

 やっとわかったことはそれだけで、けれどそれだけでも答えられることがある。


「純粋だった!」


 歩道橋の上で叫んで、私はようやく少し泣いた。

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