表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/132

歩いて帰ろう

 家に帰る途中。

 何となく降りたバス停のベンチで猫に会った。


「こんばんは」


 猫は目を閉じたままうるさそうに尻尾を少し振るだけ。

 人に慣れているのか、近づいても触っても猫は逃げようとしない。

 抱き上げてひざの上に乗せてみる。やっぱり猫は尻尾を軽く揺らすだけだった。


「君は良い子だね」


 私と違って。

 言いながらそんなことを思う。

 家に帰りたくなくて、ギリギリまで学校に居て……そして途中でバスを降りてしまった。


「私はダメな子だな……」


 猫の背中を撫でながらため息をつく。

 その時、変な撫で方をしたのか、尻尾で手をはたかれた。


「あ、ごめん」


 言いながら猫を見ると、さっきまで閉じていた目を開いて私……を通り越した先を見上げている。

 その視線の先を追って振り向くと……


「あ……」


 そこには星空が広がっていた。

 そっか。

 私は今日まで空を見上げようともしなかった。

 その間に猫は、ひざから降りて何処かへと歩き始めた。


「帰るの?」


 軽く尻尾を振るだけ。


「星、綺麗だね」


 すると猫は少しだけ振り向いてにゃあと鳴いた。


 私も歩いて帰ろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ