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円環
目の前には彼女がいて、僕の眉間に銃口を突きつけていた。
「あなたが生きることで地球が滅ぶのです」
睨むような目つきで彼女はそう言い、しかし言った先から眉を八の字にして言葉を継いだ。
「……けれども、あなたが死ねば人類が滅ぶのです。
……私はどうしたら良いのでしょうか?」
銃口を突きつけたまま、彼女の頬を涙が流れる。
その涙が二者択一に悩んでいるからだけじゃないことを、僕は知っている。
「……うん、そうだな」
「?」
言って、彼女の手に触れる。一瞬ビクリと震えたけれど、彼女はされるがままにしていた。
「次は猫がいいな」
それだけで彼女もわかってくれたのだろう。「私も」と微笑んだ。
それだけの時間を共に過ごしてきたから。
そして、何度となく繋いだ「彼女」の手、その人差し指を優しく押した。




