百鬼夜行
気づいたら百鬼夜行に紛れ込んでた。
人間なのにどうしよう? 気づかれたら食べられちゃう。
そんな風に震えていたら、隣りをふわふわ浮いていたタオルのお化けに話しかけられた。
「何なにどうしたの? そんなガクブルしちゃって。あ、もしかして初百鬼夜行? 処女夜行? 処女?」
……何だ、この軽さ?
戸惑っていると、見かねたのか前を歩いていた扇風機がスイッチを「強」にしてタオルを吹き飛ばしてしまった。
「ああいう品の無いのは嫌ですね。あなた方なりに言うとセクハラ野郎ですか」
はあ……。
言ってはたと気づく。人間だってバレてる?
「は? その姿は人間以外に無いでしょう? 変な方だ」
扇風機はそう言って首を振った。「強」のままだった風が私の髪を煽る。
た、食べられ……
「ません。そんなことするわけ無いじゃないですか」
だって、お化け……
「何言ってんですか。ここをどこだと思ってるんです? ここは――」
そうして扇風機は少し間をあけて言った。
「――八百万の神の国ですよ? 全てに神が宿る国です。お化けにも。勿論、あなたにもね」
そして私は女子小学生の神様になったのだ。