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無理  作者: ジルコニウム
1/3

移動装置

よーし出来たぞ!

俺は早速出来た装置を腰に装着する。

古い文献を紐解き、見つけた代物で、中々構造が複雑で作成に時間がかかってしまった。

その装置は腰に着ける物でその両脇に、前方へ向けた、アンカー射出装置が付いている。更に、そのアンカーには当然巻き取り装置も付いているのだが、巻き取り時に後方へ向かってガスのジェット噴射を行い、装着者を、アンカーのロープの道筋を辿りながら、アンカーの先の方へと移動させるのだ。

因みに、アンカーの射出距離は50メートル近くあるようだ。

よーし、目標は20メートル先にあるあの壁の上部だ!

装置のスイッチを点ける。

バシュッ!っと大きな音が発生すると同時に、俺の体、主に腰が後ろへとこれまた大きく押し出された。

ぐへえ!超痛え!マジ腰痛え!

アンカーは無事壁に付いたようだが、自分の体が早くもぼろぼろになってしまった。

よく考えたら50メートル先の目標へまっすぐ届く様な射出なんだから、反作用も半端ないよな。

迂闊だった。

まあ、これぐらい予想出来ない俺の方が悪いか。

とりあえず移動しよう。

装置に付いてるもう一つの、アンカーの巻き取りを始めるスイッチを押す。

ぐん、と腰が引かれたかと思うと、ブシュー!と音を立てながらガスの噴出が始まった。

そして、今度は俺の腰以外を後ろに反らせながら、もの凄い勢いで腰が前へと引っ張られる。

うげえぇー!

腰が!物理的に抜ける!

俺はすぐに巻き取りを辞めた。慣性に従い暫らく空中を進むと、重力にも従い落下し始めた。ロープの長さの限界まで落ちると、少しだけ跳ねた後、振り子さながらに壁の方へと向かって行った。

うわわわわ!

必死にもがくが振り子の加速は止まらない。

そして、その瞬間、今度は落下を始めた。

慌ててアンカーの方を見ると、若干壁の一部分を付着させながら、落ちてきているのが見えた。

剥がれたのか……

まるで他人事の様に感じながら、俺は考える事も足掻く事も辞めた。

もう地面に落ちるしかないからだ。

体は自然に、重心である腰を下にして仰向けに落ちていく。

まあ、高さは5メートルぐらいだからだいじょ

そこまで考えて背中に衝撃が襲って来た。

そして一瞬にして全身を駆け巡り、手先からぶわっ、吹き抜けて行った。

5メートルを侮っていた。失敗だ。

腰が骨折した為起き上がる事が出来ない俺は、自然治癒するまで寝転がっていた。


なにがいけないのだろうか。

自宅へと戻り、早速改善点を考える。

まず射程50メートルが長過ぎる。20メートルぐらいに抑えて、更に放物線を描いて届くようにしないと。真っ直ぐは危険過ぎる。

後、巻き取り時はもう少しガスの噴出を抑えないと。1馬力もあれば充分だろう。逆に巻き取りはもう少し早く、強くやろう。

後はアンカーだけど。これが一番問題だな。

壁なんて大抵どれも同じ材質。コンクリートや石材の壁だとアンカーが刺さった時に砕けて自重を支えられないし、木は試してないからよく分からんが多分抜けるだろう。

それにロープもだ。恐らく俺の体重に耐えられない。

……

…………うん。

ロープはワイヤーにしよう。直径1ミリの鉄棒を4本束ねたやつ。あれならば多分耐えられる。

アンカーは吸盤式にしよう。

吸盤なら中を真空にすれば1トン以上耐えられる。

よし、思い立ったが吉日、早速試行しよう。


駄目だった。

3時間後、戻って来てそう思った。

吸盤がくっ付かない。

上手くくっ付いても空気が入ってしまって強度が足りない。

どうしよう。

……そうか!

くっ付けた後に真空にすればいいのか。

アンカー部分に真空装置を付けてやれば行ける!オンオフはワイヤーで電流通して制御できる。

完璧だ。

よし早速試行だ!


駄目だった。

まず真空装置がデカい。只管ひたすらデカい。でか過ぎる。

最初の方は上手く行ったが。途中、真空装置がアンカーから剥がれてしまった。

面積が大き過ぎて支える力が空気抵抗に勝てなかったのだ。

3回に2回だけ成功するぐらいの成功率だ。

こんなんじゃ駄目だ。不安定過ぎる。

代替案は無いのか?

……オンオフ出来て、引っ付く物。

うーん。

くっ付くだけで言えば磁石があるんだがなぁ。

ん?

……そうか!

電磁石だ!

電磁石でくっ付ければいいんだ!

コイルは細い導線で多く巻くタイプで。鉄芯は拳ぐらい。後の足りない部分を電力で補えば……ぃよし!イケる!

さあ、今度こそ完成だ!


半日経過した。

そして失敗した。

超が付くほど基本的な事を忘れていたのだ。

あれから俺は飛び回っていた。

平面の2次元的移動から立体の3次元的移動は初めてで、新鮮で、とても楽しかったからだ。

街の端から端まで飛び回った頃には、俺はもう天狗になっていた。

アンカーを射出して次の瞬間には巻き取りを始めていたのだ。

エネルギーが減退して距離が短くなってしまうが、細かく飛べばいいだけなので気にしなかった。

そして思ったのだ、

森に行こう!

と。

普通に考えて馬鹿な思考だ。

しかし当時は思いもよらなかったのだ。

そして森のそばまで行って何時ものように移動した。

そして、今までと同じ様に射出後すぐに巻き取りをしたのだが、その肝心のアンカーがなんとくっ付かなかったのだ。

普通に考えてみれば当たり前の事だ。磁石は鉄にのみくっ付く。逆に言えば鉄以外にはくっ付かない。

勿論、普通木には鉄なんかないからアンカーは木にくっ付かなかった。

そして俺はただただ前へと飛びだして行った。

周りにはアンカーがくっ付いてくれそうな物は何もない。

何も出来ず勢いに乗って思い切り木にぶつかった。

しかも打ち所が悪く背骨を折った。更にその後、動けない所を熊に食われた。やっと体が動く様になった頃には周りは真っ暗。帰宅するまでに何回も転んでしまった。

もう、不老不死で良かったと今日ほど思った事は無いね。



……結局、これは使えないな。

結構頑張ったのにな。

次は何を作ろうか。

Thank you for your time


あれって実際は本当に腰を物理的に抜かすような気がします。



ちなみに、この作品はあくまで想像です。

細かい設定とかあんまり分かんないです。


こんな稚拙な物ですみません。

御精読、ありがとうございます。

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