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ため息の理由 ──柏木視点

「やっぱ 愛よね、愛」の続編 10分後ぐらいの話です

「はあっ」

誰もいないタバコ部屋で 一息にため息をついた

真知子の奴、いきなり 綺麗になって現れやがって。


ため息の理由は、先程 職場で会った社内恋愛中の恋人。久しぶりにみたスーツ姿にドキドキさせられた。

声がしたときから、視線はそちらばかり気になった。いつもと雰囲気が違うだけなのに、気になる。無性に構いたくなる。


「(仕事中の『いつもの俺』は どんな姿だったか?)」

調子は、狂わされたまま、自分自身を叱咤しても戻らなかった。不機嫌な表情を作り続ける事で体裁を保っていた。


今も いまも 恋人の姿が 脳裏に居座っては… 彼女の髪の手触りを確かめたいと 指先がちりちりする


下ろされたままの髪の毛を掻き分けて、顔をさらけださせて。驚いた顔を見届けたら、そこからは 腕を締めながらゆっくり引き寄せてみたい…

今もなお続きそうな甘いシュミレーションを、気恥ずかしくなって打ち切った


「大した美人でもねーのに」

呟いてタバコを潰す。分かってる、憎まれ口だ。

調子を狂わされたのが気に入らない…ガキか、俺は…


今までにも、仕事関連の女性と付き合った事はあるが、その時は、体面は保てた筈だった。

「はぁっ…」

動揺が収まらず 弱気なまま。



だが、さきほどは 少なからず、彼女に当たってしまったのは、否めない。

…内心は 機嫌、悪いだろうな… 安易に別れ話には繋がらないだろうが、多少は申し訳ないとは思っている



時計をみると、そろそろ 彼女の面談時間が終わる頃だ。

個人ケータイを取り出し、メールを打つ。

説明が難しい苛立ちを 素直に謝れるとは思えないが… 会いたかった。

「お疲れ。どうだった?」

その先が上手くまとまらず、約束をとりつけようにも 指が止まる。

面倒くせぇっ

思い切って 個人ケータイに着信を残し 職場の机に戻った。


俺らしくないが、彼女の前では、格好もつかなくなるのが それまた俺なのだろう。


真知子、腹くくれよ?

勝手に幻滅しても 逃がさないからな


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