表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海のように深く  作者: 心雨
第2章
6/7

旧友に会った、え?アフリカ?

コロナは驚異的な速度で蔓延しています。東京都の知事小池さんは三密を避けようとテレビ上で何回も強調しました。最初は皆さんが楽観視していました、夏になれば、コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じように消えるではないかと考えていましたが、でも天気がだんだん熱くなっても、コロナの感染は広げつづけました。三密は密閉、密集、密接を指し、できれば避けたいですが、でも静香の透析クリニックはまさに三密でした。何十人の患者さんは一つの部屋で集中して透析を受けるのは基本のスタンスですので、今更は変えられません、もし一人でもコロナ陽性が出れば、すぐクラスターになるのは目に見えます。また透析患者はコロナに感染すると、重症になりやすいと言われていて、致死率も高いです。静香は毎日神経を使って、入念に消毒をしていました。こんな時、さらにマスクが足りなくなり、薬局の店頭からマスクが消えました。

 7月は年一度の腎臓学会の会期ですが、コロナの影響で、静香は参加を自粛することになりました。その時、森田先生からのメールが来ました。

「静香ちゃん、腎臓学会で横浜に来ています、コーヒーでもいかがですか?」森田先生は静香研修医時代の指導医です。静香は何もできない3年目の研修医の時、森田先生は静香を受け入れ、たくさんの医学の知識や手技を叩き込みました。天は二物を与えずと言われましたが、森田先生はまさに二物を与えられた幸運児でした。彼は180センチの高身長で、とてもイケメンで、頭もとても切れていて、まさに理想の医師像でした。あの時、静香はただただ森田先生に圧倒され、先生を崇拝しました。その後森田先生は横浜を離れ、大阪に転職しましたが、二人の間いつも連絡を取り合っていました。

「分かりました。先生に会うのは楽しみにしています」静香はすぐ返信しました。

 高橋先生は週1回亮とZOOMのゼミを開始しましたが、亮の精神状態はまだ何も変わっていません。毎日依然として暗いままの表情で、自分の部屋にこもりました。静香はとても心配でした。亮の状態は心配のあまり、毎日仕事終わって、まっすぐ家に帰った後、すぐ亮の顔を伺いました。でも亮の表情はこわばったままでした。彼女もだんだん精神状態が不安定になり、夜の睡眠もあまりよく取れていませんでした。その時、森田先生は丁度横浜に来て、彼女に少し息抜きの機会を与えました。

 静香は予定の5分前に横浜駅に来ました。遠くから森田先生が見えました、彼は身長が高いから、人の群れ中でも一眼と見えました。森田先生は白いTシャツを着ていて、周囲の人と違って特別の雰囲気を醸していました、彼も静香が見えて、手を振って、笑みを浮かべています「静香ちゃん、ここよ」

「お久しぶりです」静香も笑って挨拶しました。

「喫茶店に行こう」森田先生提案すると、二人は駅ビルの中の喫茶店に入り、席に座りました。

「朝から何も食べていないので、少し軽食を頼んでも良い?」森田先生聞きました。

「どうぞ」静香は笑顔で答えました。

森田先生はパンケーキを頼みました。すぐ、コーヒーとパンケーキが来ました、でも予想外にパンケーキが3個もあり、上にクリームがたっぷり載せていました。森田先生すこし眉をひそめて、言いました「多いな、静香ちゃん、一緒に食べよう」

「え?」静香は躊躇しました。二人で同じものを食べ、これは丸で恋人同士です、少し越境しました。

傍にいるウエトレスは笑って言いました「じゃ、もう一つ皿とフォークを持て来ます」静香はちょっと不自然に笑って、何も言えませんでした。森田先生はパンケーキの一つを静香に分けて、上のクリームも分けてくれました。彼は表面上ごく自然なことに見えました。

「先生、最近は元気ですか?」静香は聞きました。

「元気じゃないですよ」森田先生言いました「私、外国に行く予定です」

「え?」静香はびっくりしました「先生はアメリカに行きます?あるいはイギリス?」

「違う、私はアフリカに行きます」

「え?」静香はさらに驚きました。

「そうです。アフリカのルワンダに行きます」

「どうして、アフリカなんかに行きますか?」

「今の仕事に飽きました。今回は外務省からルワンダの医療支援のために派遣されました。」

「先生の奥さんと子供たちはどうしますか?一緒に行きますか?」静香は言いました、頭の中にひどい生活環境を想像していました。

「私一人で行きます」森田先生は平然と言いました。静香は頷いて、さらに追及しませんでした。森田先生の性格は彼女がよく分かっています、飽きっぽい一面もあるし、気ままな冒険をする一面もあります。でも、なぜ今の平穏な生活を捨ててまで、妻子を置いてアフリカに行くのは、静香はどうしても理解できませんでした。

森田先生はまるで彼女の考えが分かるようで言いました「ルワンダはそんなひどい所ではないですよ、アフリカの中で一番発達しているところです」

「ネットがありますか?」静香は聞きました。

「ありますよ」森田先生は言いました。

「じゃ、時々連絡するね、先生一人なら、寂しいかもしれません」静香は言いました。

「先生、いつ行きますか?」

森田先生答えました「本当は今年の5月で行く予定です、でもコロナの原因で足止めされていました。ようやく来月行けるようになりました。今回関東に来るのは、この件の打ち合わせです。後で東京都内に行って、外務省を訪ねます」

二人はまた少し世間話をして、時間も午後1時過ぎていて、森田先生は立ち上がり、言いました「もうそろそろ時間です、行きましょうか」

二人は駅の改札口に来て、森田先生は手を差し出しました「静香ちゃん、じゃね、元気でね」静香慌てて森田先生と握手しました。なぜか、彼女の心はドキッとしました。頭の中に突然真っ白になりました。これは彼女と森田先生初めての握手です、二人は旧友ですが、手すら握ったことがありません。静香は突然森田先生の暖かい手に触れて、初めて二人は友達を越えて何かを感じました。その一瞬が過ぎると、森田先生は振り返りもせず、改札の人の流れに溶け込みました。彼の背中を見て、静香はすこし悲しみを感じました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ