表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海のように深く  作者: 心雨
第1章
3/15

藁をつかむように、助けを求めて、予想外の返事

 静香は何日間返事を待っていました。その間、もう一度メンタルクリニックを受診しました。先生に亮の病状を説明して、先生は少し考え、「薬を増量しましょう」と言いました。静香は何にもできませんでした。彼女は医者とは言え、専門が違うので、うつ病の治療は先生に任せなければなりません。でも出した手紙の返事はありませんでした。静香はさらに焦燥になりました。

 この日、静香は亮が大学の誰かとメールのやり取りをしていると発見しました。その時静香は最後の藁をつかむように、このメールのアドレスをコピーして、1通のメールを送りました。相手は誰も分からず、本当に正しい相手なのかも分からず、ただただ助けをお求めました。 

 「高橋さん

 私は田中亮の母親です。実は亮のことが心配して、本人に内緒して助けを求めています。亮は優しくて頑張り屋です。でも数学が難しくて、授業は分からなくなりました。本人はプライドがあって私たちには何も言わなかったですが、ある日突然うつ病が発症しました。その後服薬して、少し良くなったが、授業再開した後、また気分が沈みました。母親として自分の子供にできないことを延々にやらせても心が痛みます。亮は卒業したいですが、なかなか難しいです。母親としてどこで助けを求めるか分からなく、もしかしたらとこのメールを送りました。学生相談室に相談していくも考えていました。今はもう4年生ですが、転科、転部の可能性はありますか?また、この件はまだ亮と相談していなく、私自身考えています。何かいい方法はありますか?あるいはどこに相談することができますか?もしあれば、教えていただけませんか?」静香は涙を浮かべながら、送信を押しました。

 コロナの感染がさらに蔓延しています。在宅ワークも開始しましたが、静香の仕事は透析クリニックですので、毎日出勤しなければなりません。ロックダウンの噂もあっちこっちに聞こえて、静香もスーパーに行って、たくさん缶詰を買って家にこもりました。健はロックダウンの時静香を病院まで送るため、「医師送迎中」と1枚の紙を作りました。毎日にコロナのニュースばかりで、感染したらARDSになり、最後命が落とすといろいろ情報が飛び交って、静香も緊張しました。またマスクも希少品になり、何軒も薬局に行っても、手に入れなくなりました。

 その中にメールの返事は静香の予測以外に飛び入りました。

「陳様  

 初めまして、応用数理学科の教員高橋史郎です。亮君についてお母様は大変ご心配のことと思います。

まず、最近の亮君との出来ことをご報告します、この前の月曜日に亮君とZOOMでオンライン面談を行いました。これから毎週の金曜日11時から私と1時間のマンツーマンのゼミを行う予定です。

 この事と別に、亮君の成績表を指導教員として取り寄せ、卒業まであと20単位であり、しかも専門選択科目だけ取り残していることを知りました。そのうち10単位分は私が担当するゼミなどで、残りはあと10単位です。このあたりのことで、次のZOOMのゼミで亮君と相談しようかと思っています。

 さて、お母様のご心配に対してどのようにお答えすべきか私自身が迷うところがありますが、亮君は上のような履修状況なので、あと10単位それは半期科目5つ、しかも選択科目なのでかなり選択の自由度があります。一方、転科、転部を行うとかなりの単位を再び一から履修となるので、それは大変かと思います。

 ただ、ご本人はどのような状態なのか分からず、どのようにアドバイス差し上げるといいか、いただいたメールだけでは何も言えません。

 もし、お母様がよろしければ、お時間のある時お母様と電話でご相談あるいは、外出可能でしたら、大学の近くあたりの喫茶店で面談と言うのはいかがですか?

 また、お母様のおっしゃるように学生相談室に相談されることもよいことだと思います。私とのやりとりと別に相談されても構いません。

 まずは、いかがいたしましょうか、電話で話可能な日時を調整し、あるいは、お会いできる日時をいただければ、大学近くの場所を指定させていただいてお会いできますので、こちらについても、可能な日時の候補をいくつかいただけますでしょうか

 よろしくご検討ください」

 静香は一息を吐きました。心の中に何か安心したようになりました。このメールの内容、この話し方、とても安心したと感じました。「この先生、とても優しいですね」静香は思いました、自分の気持ちはようやく誰かに分かってもらった気がしました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ