先生の勧め
この日の夜、高橋先生のメールが来ました。
「陳様
家にお戻りになられて、その後のご様子はいかがでしょうか?
実は、金曜日の11時からのゼミは先週(10月9日)と今週(10月16日)に亮君から体調不良のお休みの連絡があり、了解しました、こちらは心配せずにゆっくり休んでくださいと返事を出しております。
先週に休むとの連絡があった時に、お母様へお伝えしようか迷いましたが、もう1週間様子見ることにした所、今日もお休みと言うことになりました。亮君はきっと体調か精神状態が悪いだろうと思っています。
また、それを見守るお母様もたいへんなご苦労かと思います。お察し申し上げます。
本件について、学生のメンタル相談に強い大学職員に相談を今日して見ました。お母様はお医者様でいらっしゃるので、大変差し出がましく、素人の考えになるかとは思いますが、その職員と相談した上でのアドバイスをお伝えします。気候の変動が大きい季節に、精神的な不調はとても出やすく、今の時期はまさにそれなので、もう少し様子を見るほうがいいかもしれません、しかしながら、亮君はメンタルクリニックの受診を拒否され、薬も飲まれていないことは、心配であり、やはりそれは続けたほうがいいと思います。
お母様の様子はたいへん心配です。親子が共にそういう状態になるケースはしばしばあり、できればお母様も専門家にメンタル的なケアを受けられることをお勧めします。(大学にもその様な相談室はありますので、ご相談いただければ紹介します)親子一緒に腕のいいメンタルクリニックにかかるのが、本当は良いそうです。
春学期順調にゼミが進んだので、私はすこし油断しており、卒論のまとめの指導が若干ご本人にハードだったかもしれません(もちろん気を付けておりますので、常識はずれのようなことはしていませんが、それでも頑張れモード出してしまったかもしれません。)卒論についは、亮君はこのまま寝込んでしまわず、科目履修を続ける限り、おそらく卒業はできるかと見込まれます。その後のことは母様がおっしゃっていたように、社会に出る前に、充電する期間がしばらく必要かもしれません。(亮君の調子が良ければ、10月か11月頃にそのあたりのことをさりげなく聞いてみようかと思っていました)
就職のことは、私は話題出していませんが、そのことが亮君の頭をかすめないことはないでしょうから、将来の進路を悩んだのかなと思いますが、これはまったくの推測です。
今は、亮君中で不安等は渦巻いているかなと思います。ご両親に直接の不満があるとはあまり思えないので、上に書きましたように、まずはそっと見守ってあげて落ち着くのを待つしかないかなと思います。私も亮君が大学に復帰される事を、もちろん待ちます、仮にまた休学などなったとしても、戻って来られることをお待ち申し上げますので、大学側のことは心配なさらないでください。
なお、機会があれば、亮君が受診を続けられること、それと上で言いました職員アドバイスを真に受けるなら、差し出がましいようですが、ご家族で共にメンタルクリニックに行かれてみてはどうかと思います。」
昼間亮は受診したので、静香は少し心の余裕ができていました。また高橋先生の暖かいメールを受けて、彼女の心はさらに勇気を付けられました。院長になったこの5年間、静香はとても重い圧力にさらされていました。健は早期退職後、家庭の経済圧力はすべて静香一人背負いました、さらにクリニックの運営や患者の管理などすべての仕事も静香一人で対応しなければなりません。この上、さらに重く圧し掛かるのは亮の病気、静香はとても疲れていました。ずっと自分はもう精一杯の状態になったのは気づかず、頑張り続く彼女でしたが、やがてパーニック障害の症状が出てしまいました。こんな状態の中、高橋先生の理解と心配は彼女の心に響きました。彼女はすぐ返信をしました。
「高橋先生
ご心配をかけて大変すみませんでした。
家族に弱音が言えなくて、私もつらいでした。それで先生に自身の心のゴミを吐き出して、大変心配を掛けました。人間はやはり一人生きることができず、他人と支えあって生きます。私もそんなに強くなく、最近心がかなり弱っていって、先生の言う通りメンタルの支えをしてもらったほうがいいと自身もそう思いました。先生は大学のカウセラーに繋がっていただけませんか?最初私自身行こうかと考えます。
今日先生のゼミがあると思い、午前中仕事がないから11時ぐらい家に帰りました。でも亮は体調が悪く、寝込んでいました。それで亮を連れて病院に行きました。熱も37.5℃があり、コロナ扱いになり大変でした。採血、CTを検査しましたが、幸いただの風邪でした。
休学のことは慎重に亮の意志を確認しながら行います。なぜなら亮は絶対卒業を望んでいるはずです。私はどんなことがあっても亮を支えていく決心です、ただ私自身も支えが必要です。だから、先生の言った通り、私と亮は腕のいいメンタルクリニックを探すのは大事です。先生も亮の味方なのは十分分かります、本当にありがとうございました。」




