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脳移植

ふはは、ついにやったぞ。鏡に映った自分の顔を見てわしはニヤリと笑った。脳移植によって我が国が誇る最強の兵士である鉄男の肉体を手に入れたのだ。余命1ヶ月と診断され体のあちこちを患っている老人の体と交換された鉄男は気の毒でしょうがない。目が覚めたら絶望するだろう。わしはどかっと総理の椅子に腰かけた。脳移植手術をしてくれた医者には死んでもらった。口封じだ。わしの脳移植計画を手伝ってくれた忠実な側近も殺した。鉄男の肉体を駆使すれば楽勝だ。

パンチ、キックどちらもすさまじい威力じゃった。正確に一撃で失神させられたのであとは首をしめるだけですんだ。1人はトイレで殺して首吊りに見せかけ、1人は屋上で殺して死体を地面に放り投げた。やつらは自殺として処理されるじゃろう。大仕事だったのにまったく疲れておらん。さすが殺しに長けた肉体じゃ。

これで誰も秘密を知るものはない。鉄男は高級老人ホームに送っておいた。鉄男を生かしておいたのは温情だ。どうせ余命1ヶ月。もっと早いかもしれない。脳移植で体を乗っ取られたと騒いでも一体だれが信じようか。先を見越してボケたふりを繰り返しておいたのでボケ老人の戯言と受け取られるだけだ。鉄男がパーティを抜け出したのを確認したわしはみんなの前で「ボケたのでもう引退する。総理の座は陸軍大将鉄男に譲る。明日からは鉄男が総理じゃ」と宣言した。拍手喝采が巻き巻き起こった。鉄男は高潔な軍人で大英雄なので国民人気はわしよりはるかに高い。わしのお気に入りでもあった。新総理として歓迎されるのは当然だ。洗脳教育によりわしへの忠誠心が強ければ命令して脳移植手術を受け入れさせたが、そこまで忠誠心が強くないのは何度か話してわかっていた。戦争バカなので戦場で戦えさえすればいいのだ。国のトップなど誰でも良く理不尽な命令は断固拒否するだろう。なので不意打ちで脳移植手術を敢行かんこうした。

 元帥には鉄男に明日から総理に就任することをメールで伝えておくように指示した。その夜、鉄男を病院に運び脳移植手術を実行する。側近が化けたウェイターが渡した鉄男のワインには強烈な睡眠薬が入っていたので付近の病院に運んでもまったく起きなかった。わしはほくそ笑む。脳移植手術を繰り返せば永遠に生きられる。

健康な体なら女も抱き放題、ごちそうも食べ放題じゃ。手術成功祝いに明日からは酒池肉林を開催するぞ。わしの新たな人生がスタートした。

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