鎖に繋がれた二人
モカは言った
「ねえ、サトルさん、あの子助けに行ってていいかな」
「おい待て、お前は戦えねえだろ俺が黒幕殺して、後で行けばいい」
「それはどうかな、もしかしたら、エンジェル様がつまみ食いをなさってるかもしれんぞ」
「ッ・・・やっぱり早く助けに行かないと」
「だったらなおさら行かせられえ、弱いやつを戦いなら巻き込みたくねえからな」
「サトルさん、だからなの?だから昔私を助けても連れて行かなかったの?、確かにあの時は弱かったけど、今は違う、貴方に認められたいから強くなった、貴方の助けになりたいから強くなった、お願いだから私を信じてよ」
「・・・わかった、まあ、少なくとも俺に会うまでずっと生き延びてきたからな、そこは信じてやる、ただ約束しろ、死なないでくれ」
「わかってる」
『クソ、まだ死にたくねえってのに、このままじゃ喰われて終わりだ』
イガラシ家では、少年、というよりこの家系で生まれる男は、エンジェルの生贄となる前提の者として、不当な扱いをされていた
小説を読んでる皆さんは司祭を爺だと思っているだろうが正確には婆である
彼は幼い頃から家の中で奴隷の様に扱われて来た
「ほうら、まだここに汚れが残っているじゃないの」
「まったくウ、生活費ばかりかけさせ、その上エンジェル様の生贄として早死にする、本当ならこんな手間かけたくないんだがね」
「そうよ、そうよ、このゴミまみれ肉団子」
「次は庭の掃除よ、さっさとオイキ」
「そうよ、そうよ、このド腐れヘドロゴミ」
そして彼は、庭の中で実を口にし、神器を手にした、名は鬼王鎧、黒く光輝く異形の鎧は、装着した者に圧倒的身体能力を与え、そして武器を生成する力をもたらす
彼はその力で屋敷から逃げ出した、脱走を計ったことは何度もあったが、今回はこの能力のお陰で楽にできた
その後は盗みで生計を立て、追手から逃げながら生き抜き、今に至る
『俺以外にも捕まってる奴がいるからあまり大きな技は出せねえし、どうする・・・?!』
誰かが番人を蹴散らした
『アイツはたしか、俺を捕まえた奴と一緒にいた』
「ちょっと待ってて、今この鍵開けるから」
「お前、なんでこんなところに」
「私達が生贄にされそうになって、そんでエンジェル殺そうってなって、んでえーっと、とにかくかくかくしかじか助けに来たの!あよし、開いた!」
モカは牢の扉を開けた
「だったら普通に逃げればいいだろ、何で助けに来た」
「いやなんかさ、私も生贄にされそうになったことあるから、そういうのなんていうかほっとけないんだよ」
「・・・そうか、おい、今お前のツレは今交戦中か?」
「別れた時はまだ戦ってなかったけど、多分そうだと思う、あとお前じゃないし、アマノ モカ、覚えときなさいよ」
「そうか、俺はイガラシ イブキ」
サトルの元へ着いた時、サトルは糸で雁字搦めになっていた
「サトルさん!」