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語り部は黙らない

作者: 声夜

家出大騒動ドタバタヒューマンドラマ…らしき話。

おはよう、こんにちは、こんばんは。今、私をみている貴方はどの時間かな?それとも、日本人ではない?


なら挨拶を変えようか、それともそもそもそんな挨拶はいいから自己紹介とか世界観の説明とかの方が先かもしれないね。


あ、でもひとつ言えるのは私は神でもない、ただの語り部だ。なので神目線で話しかけてはいない。

事実とメタ目線も含めた語りをするだけ。


さて、とりあえず自己紹介をしよう。

私は語部季語、ごくごく普通の高校生。今は身動きできないけど、運動神経はそこそこあるよ。

友達はたくさんいるよ、色んな人に好かれてるからね。


「お前、誰に向かっていってるんだ?」


「ああ、誘拐犯くんすまない。これは独り言さ。この部屋には君と私以外は、今日は居ないから安心してくれ」


「キモいなお前。お前、危機感とかないのか?誘拐されてんだぞ?」


「君は僕と友達になりたくて誘拐したんだろ?なら危機感は必要ない。」


「…はあ?頭の中お花畑か?誘拐犯が友達になりたくて?んな訳ねえだろ!金だよ!」


「照れ屋さんなんだな、まあ。半分冗談で半分本音だよ。お金目当てなのはいつもの事だ。でもさ、誘拐犯くん。お金目当てだとして、全部貰える訳ではないだろ?」


「そんなん知らねー。借金返すために少しでも貰えらいいんだよ。」


「少しとか謙虚だなあ。もっと大胆に全部奪って僕と逃避行とかはどうだい?」


「そんな事できる訳ないだろ、俺の方が殺される。お前と話してるとイラつく。黙れ」


と、顔を殴られたのが数十分前の僕。

世界観はうっすら理解がしていると思うけど、普通の日本で現代だ。親しみやすいし、ありきたりな世界観。魔法とか使えたらもっと面白くなりそうだけれど


世界観を潰すと内容が支離滅裂になるだろうね。

映画とかでも元々支離滅裂だとしても世界観があればなんとか見れたりしないかい?

それに近いと思ってるよ。


ただ自己紹介の時にごくごく普通と言ったはずだけれ

親がそこそこの大金持ちなのでこれだけは普通ではないかもしれない。


誘拐犯とかも、テレビで言われる事はほとんどないから実感はない人も多いだろうとおもう。僕は色んな誘拐犯と出会ってきたので、消えてはいないと思うよ。


まあ、この世から居るのかは私は知らない。友達になりたいと都度言っているのだが数日後には連絡が取れないんだ。寂しいことだけれど、この世は一期一会ともいうから、会えた事を喜び、楽しむべきだ。


そう思わないかい?


「お前さ、それも独り言?」


「誘拐犯くん!聞いてくれてたのか!ありがとう。独り言であり、君に言っていた。もしくは此処にいない誰かとか」


「聞いてねえ。延々ぶつぶつ言ってたから耳に入ってきただけだ。」


「それは聞いていたとほぼ同じだね!話しかけてくれてもよかったんだよ?僕と君はほとんど初対面なのだから、対話するのもありだ!そもそも他の登場人物はまだでてこないのかと思うかもしれないが、序盤にたくさんは困るだろ?」


「違う、それと早口すぎてききとれねえよ。殴られたなら静かに待つとかできないのか?」


「それは無理だ。殴られたとしても、それを知ることができなければ、見てる側も面白味もなくなる」


「…見てる側とか此処は俺とお前しかいないし…お前さ、頭おかしいって言われたことあるだろ」


「お前ではないよ?僕は語部だ!おかしいとは言われた事もあるけど些細な事だ!それが人を傷つけているのなら謝るしね。それよりも君の名前は?」


「名前は知ってるっつの。はあ。早くアニキ帰ってきてくれねえかな。」


なんだか落ち込んでるね。


プルプル


誘拐犯くんの携帯鳴ってるね、アニキくんからの電話かな。


「えっ…はあ!?ちょっ!」


会話が終わったのかな、電話が切れたみたいだ。でも浮かない顔してるね。話しかけてみようか。


「どうかしたのかい?」


「どうもこうもねえよ。俺は切り捨てられた。お前の親が雇ってたのか知らねえけど、アニキが居るところを狙われて潰れる寸前の所で逃げたみたいだ。


あとはどうにかしろ、俺は逃げる、それだけ言って切れた…お前の雇ってる奴とかどうせすぐに此処にくるだろ。おわりだ…」


「かなーりうなだれてるね、誘拐犯くん。ただ誤解ごいくつかあるよ。


ひとつ、僕はその雇われ人は知らない。おそらく親が頼んだのだろう。


ふたつ、連絡をくれたアニキさんは切り捨てられたわけではなく、危機をしらせてくれた良い人だ。


ふたつ、君は終わりではない。」


「誤解でもどちらでもいいよ。ひとつめやふたつめはそたいかもしれねえ。アニキは俺に最後に助けててくれたかもしれない。だが最後のは意味不明だ。

アニキは強い人だ。そんな人が逃げないといけないって事はめちゃくちゃヤバい奴が来るって事だろ。お前を助けに。なら実行犯の俺は殺されるに決まってる」


「そこなんだけどね。

確かに実行犯の方々はいままでも行方不明になってる事が多い。僕はいままで目隠しされて誘拐されてたからそのあとを知らない。だけれど、今は君が目の前に居る。


なら、僕と一緒に逃げよう。そして、僕が書いておくよ。探さないでください。家出しました。って


そうしたら、それをみた雇われ人も去るだろう。

どうだろうか?」


「はあ!?なんでだよ!?そんな方法通用するわけねえだろ!てか、俺が逃げるならわかるがなんでお前まで逃げる必要があるんだよ。」


「通用はするよ。親バカだから。まあ、必死に探されそうだけれどね。僕の個人的の理由もあるけれど、一番の理由は君を助けたいからだよ。


だって、君が此処から逃げたとしても雇われ人は君を狙うだろ?父の親バカは度がたまにすぎるから見逃してくれるか分からない。


でも一緒に逃げれば、君を狙えば僕にも危害が及ぶと判断するだろ?ほら、これなら助けられる!」


「意味がわからん!なんで俺を助ける必要性があるんだ?」


「目の前が困ってたら助けるべきだろ?なら助けてもらう人が必要だ」


「偽善者かよ。そんなもん要らねえよ」


「偽善者は悪いことかなら?だがそもそも要らないと言うのは僕の方にならないか?


僕が困ってるから、君が助けてくれないかと提案しているのだよ」


「…は?頭お花畑すぎるし、意味が分からん。俺から助けを求めなくても助けはくるだろ。俺がなんで助けなきゃいけない。むしろ俺が助けて欲しいくらいだ!」


「助けに来て欲しいとはそもそも頼んでないからね。むし、ほっておいて欲しいのだ、親には。それはともかく、先程もいったけど一緒に逃げる方が助かる確率はあがるぞ?どうせ狙われるなら僕と一緒の方が下手な事してこないだろうから。


それでも嫌なら、取引として一緒に来てくれないか?

僕と一緒に来てくれたら、君の欲しいお金を払うからさ。ある場所まで来たら護衛とも話す予定だからね。それまで着いてきて欲しい。」


「……途中で逃げるだろ、どうせ」


「しないさ。信用できないかもしれないけど。そうだね、とりあえず此処から出れたら100万くらい渡せば信用してくれないかい?」


「100まぁん!?そんなお金どこから!?お前の荷物はアニキ達がもっていったぞ」


「あるサイトに隠してるからね。手持ちにはないよ」


「ほんとかよ…」


「さあ、そろそろ決めてくれない。おそらくいままでの経験上、もう数十分したら来るだろうから」


「はあ…わかった。とりあえずお前の案に乗る。どうせここに居てもヤバいだろう。」


「ありがとう!」


ようやく理解してもらえたようなので、僕は最初から外してた手錠を捨てて、誘拐犯くんに手を差し伸べたけど、それは断られてしまったよ。寂しい。


それでも後ろから着いてきてくれるから一応信用はしてくれたと思うな!


「誘拐犯くん、ここから近い駅に向かうね。そこから京都まで行こう」


「なんで京都なんだよ。もう色々ツッコミたい。」


「なんで京都か?それは修学旅行だね!」


「…はい?」


その頃…


語部の実家では父がイラつきと不安を露わなにしていた。


「お父さん、大丈夫よ。すぐに見つかるわ」 


そう言って宥めているのは、嫁…ではなく娘である。

そう、私のことですね。


ワタシは兄が見つからないことに左程焦ってはいない。むしろ帰ってこなくてもよいとすら思ってる。

でもそれを父には黙っている。父は兄を溺愛しているからそんな事を言ったら勘当されるだろう。


「だが遅すぎるだろう!もしあの子も失ってしまったら…!」


項垂れる父の背中をさすりつつも、私は至って冷静に考えていた。そもそもいつもが早すぎるだけで、今回は少し遅れているだけなのだ。時々遅くなることは過去にもあった。そこまで心配しなくても、あの兄の事だろうから気が済んだらなにくわぬ顔で帰ってくる。


「お父さん、落ちついて。いままでも大丈夫だったでしょう?それにワタシも心配だから、私からも調べてみるわ」


「今まで大丈夫だったと信じてたらあんな事には……!!

…お前は優しいな。どうにかして見つけてくれ。私は色々と手を打つ。すぐに見つけてやるからな。秘書!!どんな方法使ってもよい!見つけ出せ」


「はい!!」


意気込む父とその周り、そして堂々と嘘をいって優しい娘を演じるワタシは調べるフリをする。



―――――――


「いやはや、楽しみだな!誘拐犯くん!」


僕たちはネカフェにいる。京都に行く前のお金調達ぢ。


逃げるにしても、お金が必要だ。なにより約束としてのお金も渡さないとそれは不義理だ。僕はネカフェのパソコンを使い、あるサイトにアクセスして、誘拐犯くんの口座にお金を移動させていた。


手持ちのお金はそれとは別に普通に駅近のコンビニから引き落とししたので、これが終わればようやく修学旅行として一緒に楽しめる。


「楽しみより不安の方が大きいけどな。てか誘拐犯くんっていい方やめろ。怪しすぎる」



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