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カレーになったじゃがいも  作者: じゃがいも
6/7

改心するじゃがいも。

グツグツとお湯が湧き上がる。


蓋を閉められ一気に上昇する温度に角ばっていた頭のところがどんどん丸くなり、脳が溶け出して行く。周りの身体も溶け出しお湯が濁ってきた。


人間が蓋を開けて茶色の固形物を中に入れてきた。茶色の固形物はどんどん溶けて周りの動ける自由が失われてゆく。もはや、玉ねぎ爺さんのきつね色より濃くなり、どこに行ったかさえも分からない。


ぐるぐると人間にかき混ぜられて目を開くことも出来ずに必死で自分の過ちを見つめなおした。


兄弟だけではなく根っこにも意地を張っていたこと、幼稚園児から、特別扱いされて調子に乗っていたこと、荷物の荷台から、嫌いだと思った奴を振り落として車輪に絡ませたこと、デカイ奴に対して嫉妬して、死んでしまえと思った事、玉ねぎ爺さんの言葉を仇で返した事、俺の一つ一つが自業自得であり、全ての罪が自分自身に振りかかっている。


そう思った時、人間が俺をお玉で引き上げてくれた。

そして、お皿の上に広がる白いつぶつぶの上に勢いよく流し込まれた。


人間は、俺が入った器を子供達に手渡し、トレーの上に乗せて、机まで運んだ。


先生らしき人が、今日収穫した貴重な野菜です。手を合わせて頂きまーす。と言っているようだ。


目の前をみると俺を特別だよと台に乗せてくれたあの子だった。俺は、助けてくれと祈った。この子なら、助けてくれる。俺を助けろー! そう思ったがスプーンで救われ容赦なく口の中に入れられた。


口の中で脳が引きちぎられて目も潰された。俺は細かに砕かれてやがて形がなくなり、魂のような心だけになった。


最後まで助けてくれとお願いした俺は、本当に表面だけの男だ。心の底から反省をしていなかった自分に気づいた。


心だけとなった俺だから、素直に自分の過ちに気づき見直す事ができる。もう見栄を張る体もない。相手もいない。俺は心の全身が安らかになって行くのを感じた。

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