恐ろしく顔が良い二人
続きました。よろしくお願いします。
とまあ、こんな感じで私の異世界転生は始まったのであった。まだなんで自分が悪役令嬢か言ってないって?もう少しかかるからちょっと待ってて!!
この後、さっきノックしてきた(と思われる)女性と二人の男の人が勢い良く入ってきた。
「ああ、私のリディアーナ、よく目が覚めたねぇ。いい子だ。お父様の方においで?抱きしめてあげよう」
とか
「お嬢様お目覚めになられたのですか?本当にようございました。ファントレめが診察をさせていただきますぞ。どうぞ御安心ください。」
とか心配ムーブを起こしている大人達がぞろぞろと入ってきた。ふしゃーーっっっ!誰だ!お父様?私のおとんはそんなイケメソじゃないぞ!
私が怯えている(本人は威嚇しているつもり)のを感じとったヴィンセントさんが少し抱きしめる力を強くして、
「ちょっと、リアは寝起きなんだからあんまり大きい声出さないで。それでも医者なの?父様も少しはリアの気持ち考えて。」
ああ、優しいヴィンセントさんの声に私は言わなければいけないことを思いだした。別に忘れていた訳ではなく、純粋に周りが潤滑に回りすぎていたせいである。断じて未来の美人ボーイに見とれていたということでは無い!はず。
それでは、意を決して
「えと、皆さんどちら様ですか」
静まり返る周囲、刺さる視線、皆さんの魅力的な眼がこぼれ落ちそうになるくらい開かれる。親バカそうな(自称)お父様を除きて声が揃った。
「「「なんだって……!」」」
そんな揃いずらそうな言葉で揃えなくても。
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そこからは怒涛の勢いだった。青ざめるヴィンセントさん、崩れ落ちる(自称)お父様、呆然と立っているメイド服っぽい服を着ている女性とお医者さん。彼らだけが時が止まったかのように数秒あるいは数分経つと、以外にも最初に回復したのは(自称)お父様で、私を抱き上げ、さも悲しそうな顔をして状況を説明してくれた。流石に、五分十分で済む話でも無く、三日振りの目覚めだからと色々と世話をされながら数日にわたって話された。
皆で交互に話す上あれはああだった、これはそうだったと、余りにもグダグダだったので、まとめると……
まず私の名前はリディアーナ・マルセロ、マルセロ財閥本筋の長女らしい。貴族制が廃止される前からの大企業でお父様の代になってからもニョキニョキと成長を続けている。
そのお父様……アレクサンデル・ド・マルセロは苛烈で豪胆、という名の魔王っぷりを発揮し、マルセロ財閥を発展させる立役者である。とは言いつつ、私に対しては話してる間ずっと優しい眼を向けてくれるので真偽のほどは分からない。濃い栗色でちょっと長めのサラサラヘアーと、迫力のある深緑の瞳、子供がいるとは思えないほどの洗練させた佇まいに財閥を支えるに相応しい様である。正直私(幼女)の部屋にすぐに入れるくらいだから、休みの日のはずなのにそんなにキラキラオーラMAX、さぞ会社の女性社員の皆さんを脳死にしていることでしょう。
今は長男であり、後継者候補のヴィンセントさんにあれやこれやを仕込んでいるとにこやかに告げられた。その様子にヴィンセントさんはそっと目を逸らしていた。
ヴィンセントさんもとい、というか長男と言うからには彼は私のお兄様だという。私にドロ甘であなた、お父様に扱かれてるハズでは?という時も私が一人寂しくぽけ〜っとしていると面白そうなものを何かしら持ってやってくる。まあ、覚醒した時の同衾でやべ〜やつな感じは出てたけど……
薄茶色の癖毛とお父様譲りの碧眼で、今年十四歳になる、どちゃクソエリートである。ちなみに私は五歳で九歳差。日々お父様の課題をこなしつつ
、後継者としての教養も身につけないといけない中、九つ離れたかわゆい妹がいたらそりゃ愛でるし吸うしスハスハもするわ。
空のコップから水が出てきたことについて尋ねると、なんでそんなこと聞くんだ?とばかりの顔で説明された。
「何って、あれはああいう商品だろう?」
お医者さんな人に記憶喪失は人の顔や名前以外に物の使い方とかも忘れちゃう人もいる〜的な話があったので堂々と家の中にあるものの使い方を聞けるようになったのだ!……まあ、その度にお嬢様おいたわしや……みたいな眼で見られるのが玉に瑕だけど。
そして、これが最重要ポイントと言っても過言ではないハズの魔法の有無についてそれとな〜く聞いてみる。
「ああ、リディアーナも今度魔力暴走予防接種しなくちゃね」
と、インフルの予防注射のような話をされた
それを聞いた時、私は思ったのだ。
「異世界」 「魔法」 「令嬢」 「イケメン」
これを結ぶ鍵は……そう!乙女ゲーム!ここは乙女ゲームの世界なのかもしれない。
ただ、ここでひとつの問題が生まれる。色々な事から総合的に考えて乙女ゲームが最有力候補だと思うが、私は乙女ゲームと呼ばれるゲームをほとんどやったことがなかったのだ。悪役令嬢ものやモブ転生の乙女ゲーム小説、漫画の類はそこそこ読んできた自負はあるが、実際にプレイをしたことがあるか、と聞かれるとNOと答えるしかない。
漫画や小説に出てくる乙女ゲームは九割がた作者様の創作であることが多いので、世の中に出ている乙女ゲームの知識はほとんどないと言っていい。よって、ここがもし実在する乙女ゲームの中であっても私はプレイをせずに転生してしまったというわけだ。
……だめだろ!それ!なんで攻略対象もヒロインも今後の展開も分からずこんな所まで来てしまったんだ!
そもそも、既プレイでルートも完全に分かっている人が転生の方が確率的には低いんだろうからしょうがないかもだけど……
お読み頂きありがとうございました!




