出汁が足りない
異世界転生で食事革命といえば、定番はプリン、マヨネーズ、味噌の三点セットだ。プリンでデザートの新境地を切り開き、マヨネーズで調味料に一大旋風を巻き起こし、味噌で和食ブームの大波に乗る。
いや、ちょっと待ってくれ。おかしい。おかしいじゃないか。こんなのは間違っている。和食で大事なのは出汁だろう。
自分で料理をされる方はきっと分かってくれるはず。お湯に味噌を溶いたって美味しくない。いや、最近の味噌は出汁入りも多いから美味しいんだけれども。そうじゃないんだ。出汁を取ったお湯に味噌を溶くから味噌汁は美味しいんだ。味噌汁の本体は出汁なんだ。味噌なんてただのオマケだ。味噌風味の出汁汁なんだ。
何はともあれ、出汁である。私は料理をする時は出汁をよく使う。よく使うというか、ほぼ毎回使っている。出汁といっても、昆布の顆粒出汁なのだが、これがなかなか便利だ。
以前は昆布から出汁を取っていたのだが、どうしても用途は限られる。煮物と吸い物以外には使いづらい。その点、顆粒出汁は使い勝手がいい。本当に何にでも使えるのだ。炒め物に入れても水っぽくならない。これホントに大事。
出汁を入れると、何というか、味の基礎ができるのだ。あくまで基礎なので、それだけで美味しいというわけではないけれども。基礎の上に味を作っていくと、料理の輪郭がはっきりとする。
出汁を入れないと、これがなかなか上手くいかない。調味料を入れても味がぼやけているので、ついつい調味料を足してしまう。それでも味が決まらないので、塩も追加。濃い味付けになりがちだ。
私は和洋中に関係なく、とりあえず昆布の顆粒出汁を入れる。炒め物はもちろん、煮物、汁物など何にでも。クリームシチューにも使っている。クリームシチューに使うとミルクの味だけで割としっかり輪郭が出るので、他の調味料を減らせるのだ。お手軽にミルク感が増せる。
異世界チート主人公に、声を大にして言いたい。
魔物を斬って喜んでる場合じゃない。その剣は昆布を刈るためにあるんだ。
敵の大群を吹き飛ばして満足するな。その魔力でいい感じに昆布を乾かすんだ。
冷蔵庫の魔道具なんて普及の大変そうなものを作ってどうする。そんなものよりも顆粒出汁だ。湿気にさえ気をつければ、すぐにでも流通に乗せられる。
昆布を持って出直してこい。
このエッセイに関して、誤りを指摘して頂きました。
昆布から出汁を取るには熟成させる必要があるそうです。
詳しくは感想欄を参照して頂けると助かります。