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 放り投げてしまったジャガイモを拾う。先ほどまでは確かに人型で動いていたにもかかわらず今は普通のジャガイモだ。


「砂地だからどちらかと言うとサツマイモかと思ったけどジャガイモなんだね」


 鑑定


※※


 ゴラ芋

 引っこ抜くと悲鳴をあげる。悲鳴は聞いても死なない。どこででも育つ芋。食べると頭痛、腹痛、吐き気を引き起こすのであまり食べられない。


※※


 ゴラ芋って言うのか。悲鳴を聞いても死なないのか。じゃあ不快なだけだね。ゴラってマンドラゴラのゴラかな?安直過ぎじゃない?誰が考えたんだろう?もしマンドラゴラのゴラならマンドラゴラがどこかにいるって事になるけど‥やっぱり根菜かな?芋類かな?悲鳴を聞いたら死んじゃうのかな?‥架空の植物ならいいんだけど。はぁ、ジャガイモなら芽と緑色の部分が毒なんだけどな。


 ゴラ芋の芽と緑色になっている部分を意識して鑑定してみる。


※※


 ゴラ芋

 芽と緑色になった部分に毒がある。


 ゴラ芋の芽

 ゴラ芋のここに毒がある。加熱してもこの毒はなくならず、頭痛、腹痛、吐き気を引き起こす。


 ゴラ芋の緑色の部分

 ゴラ芋のここに毒がある。加熱してもこの毒はなくならず、頭痛、腹痛、吐き気を引き起こす。


※※



 やっぱりそれはそうなんだ。じゃあ芽と緑色の皮を取り除けば食べられるね。


「ゴラ芋をじっと見てどうしたの?大丈夫?」


 リーダーのペンコルドが心配そうに聞いてくる。そうか、鑑定中は別に時間が止まっているわけでもなく普通に時間が経過しているんだ。私は慌てて返事をする。


「大丈夫だよ。鑑定で見てみたらこのゴラ芋、緑色になってる部分と芽の部分に毒があるみたいで取り除くと食べられるみたい。」


「そうなの?鑑定が使えるの?」

 リーダーのペンコルドは首を傾げている。かわいい。


「うん。まだ覚えたてだからレベルは低いけどね」

 私は答える。


「レベルは関係ないよ、鑑定を使える事がすごいんだよ!人族がどうかは知らないけど、僕たちは一人も使えないからね。でもそうか、緑色の部分と芽か‥聞いたところで僕たちには取り除く方法はないかな‥手はこんなだし。時間はかかるけど無理じゃないかな‥?うーん。教えてくれてありがとう、僕たちは今まで丸呑みにしてたからお腹が痛くなってたんだね」

 短い腕をパタパタとしながらリーダーは嬉しそうにしている。今までは毒があって食べ物として食べられないと思っていたものがリスクなく食べられそうなのだ。それはとても嬉しいだろう。


「私も欲しいんだけど、このゴラ芋、どのくらい貰って行っても大丈夫?」

 大事な食料。欲しい、欲しい欲しい欲しい。でもペンコルド達にも必要だろう。ほとんどの場所が雪に埋もれているのだ、この寒い中育つ食べ物は貴重だろう。


「そうだなぁ‥ここからこの辺りまで残しておいてくれてたらいいよ。お嬢ちゃんの収納庫アイテムボックスがどのくらい入るのかはわからないけど」

 この、どこまでも続くゴラ芋畑のほんの一部を指してリーダーは言う。


「本当にそれだけでいいの?一株で大きなゴラ芋が30個くらい付いてたけど、それだけだと百株くらいしかないよ?群れで足りるの?確かに私の収納庫がどれだけ入るかはわからないけど。もしかして美味しくないの?」


 ペンコルド達が心配で聞く。私の収納庫がどれだけ入るのか、時間の経過はするのか知りたい。日持ちするものよりもすぐに腐るもので試した方がわかりやすいかな?


※※


 収納庫 (4)

 温度はそのまま保たれる。時間の流れは1/10程度


※※


 木を沢山入れたからレベルが上がったのかな。なるほどこれならたくさん持って行っても腐らないかな?日本なら収穫からお店に並ぶまで数日くらい、それから数日後に売れて、数週間家で保管できるよね?途中で収納庫のレベルが上がれば半年くらいは持つかな?じゃあとりあえず十株くらい収納庫に入れとこう。後で食べるんだ。ふふっ。


「一個二個その辺に放り投げておけば100日くらいで増えるから大丈夫だよ。お嬢ちゃんが収穫した後で少し放り投げておくから。それに手間がかかるみたいだから毎日大量に食べるわけじゃないからね。キノコや草、魚もあるし。まあ一応シャクシャクして美味しいんだよね。」


「放り投げるの?埋めないの?」

 私は疑問を口にする。


「わざわざ埋めなくても大丈夫だよ?ああ、見てて」

 説明するよりも見せた方が早いと思ったのか、リーダーはゴラ芋を引っこ抜くと少し海側の開けた所に1つ放り投げる。すると、ゴラ芋がギャーギャー言いながら走り回り、海が嫌なのか平行線よりこちらにきて元々埋まっていたであろう所に潜っていく。


「なるほど元のところに埋まるんだね」

 私は納得して頷く。


「違うよ。こちら側で空いているのがこことさっきお嬢ちゃんが引っこ抜いた所だけだったからより近いここに潜っただけだと思うよ」

 

「そうなの?向こう側には潜らないの?」


「僕も気になって子供の頃に無理やり埋めた事があったんだけど、次の日には腐ってたよ。海の水をかけたやつもすぐに枯れちゃったから、多分海が嫌なんだと思う。前にちょっとずつ海の水を近づけてみたら、自分達で出てきてちょっとずつ離れていったよ。しばらくして抜いてみると他の動かしてない株に比べて実が小さくて緑っぽかったんだよね。普通波はここまで来ないから、体力使ったのかな」

 リーダーも気になったらしく、子供の頃に色々と試したらしい。


「そんな事してたの?でも確かに気になるよね。とりあえず十株くらい収穫しようと思うんだけど、何個か放り投げておいた方がいいかな?いつからここでゴラ芋がいるか知ってる?連作障害とかないの?」

 面白い話を聞いた。他に気になる事は連作障害だ。食べてないって事はずっとここにいるんだよね?砂だけど連作障害気にしなくても大丈夫?自分で場所選ぶんだもんね?ゴラ芋達は土の良し悪しがわかるのかな?


「連作障害って何?ゴラ芋は爺さんの爺さんの‥100年くらいはここにいると思うよ。最初は数株くらいだったのが、勝手に増えたり、引っこ抜いた時の小粒が勝手に潜って行ったりとかでここまでなったんじゃないかな?」



 すごい生命力だな。ゴ◯ブリみたいだな





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