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 木に跨っているせいか股関節が痛くなってきた。

 慌てて周りの手の届く実に魔力を注いで収穫する。


「ポロン ポロン ポロン ポロン ポロン‥」


 収納庫アイテムボックスに移しながら10個ほど収穫してゆっくり木から降りる。飛び降りるなんてできないよ?身体能力もちゃんと把握できてないからね。体大事に体大事に体大事に


 鑑定


※※


 魔力 [58]


※※


 ん〜1個収穫で魔力が1くらい?小数点かな?


※※


 魔力 [59]


※※


 考えている間に魔力の数字が増える。



 回復してるのかな?回復早くない?まぁ、魔力の回復が速いのはいい事だよね?


 収納庫から先ほどの実を1つ取り出す。


 両手で包んでみると少し自分の匂いがする気がする。コレって自分の魔力かな?食べても大丈夫だよね?栄養あるといいな。


 あれ?コレってどうやって食べるの?武器もナイフも無い。持たさせて貰えなかった。この硬い皮を剥けるの?難題じゃない?



 ふと昔のことを思い出した。そういえばおじいちゃんがチョップで胡桃を割ろうとしてたなぁ。あれ、私にもできるかな?



 手の中の実を見る。



 とりあえずやってみようかな。そう思い実が置けそうな安定したところを探す。


 ‥木と雪しか無いな。丸っこいこの実が安定して動かないように固定できるところは無さそうだ。ん?ヘタの部分、おへそって言うのかな?それが無くなっている。これは益々滑りそうだ。表面がザラザラしてるっていってもコロコロと転がりそうな形だ。油断はできない。大事な食料だ。失敗するとおむすびころりんみたいに誰かに取られるかもしれない。コマンド、食料を大切に!


 まぁ、身体強化してるとはいっても割れるかどうかはわからないもんね。失敗して痛いのは嫌だし。


 早々にチョップは諦めて他の手段を探す。



 枝をぶっ刺す?いや、硬いから枝では傷も付かないかもしれないな。硬い雪に叩きつける?う〜ん跳ね返りが怖いよね。雪を掘って石でも探そうかな?それを削れば皮ぐらい切れるかもしれない。よし、妙案だ!


 思い立ったらすぐ行動!足下の雪を触る。


「つるつる滑るくらい固まってるのにどうやって掘るの?」


 振り出しに戻ってガッカリだ。涼子は考える。



 そういえばこの靴滑らないな。


 鑑定


※※


 皮の靴

 履き心地抜群。滑らない。


※※


 なんか表記の仕方変わった?まぁいいや。片方の足を上げて靴の底を見てみる。

 靴の裏はゴムではないけれど、なんだか特殊な素材で作られているような感じだ。まぁ魔法があるくらいだから特殊な素材も色々とあるよね。


 さて、どうするか、だ。魔法で雪でも掘ってみるか。


 地面の形を変えていくイメージをしながら近くの雪に魔力を流して掘っていく。しばらく掘ると手頃な石が見つかった。

 コレを削って磨くんだよね?切り落として割れても困るしな。う〜ん石の形も土や氷みたいに変えられないかな?よし、ものは試しだ!


 石に魔力を流して形を変えていく。

 ちょっと細長くして、持つところは丸く、先は鋭く切れやすくしてっと。


 30分後



 ててーん!石のナイフができたよ。



 ナイフと呼びたい打製石器みたいなのが。磨いてるから磨製石器かな?私にしては頑張った。初めてにしては上出来。辺り一面雪だから座れないし、立ちっぱなしの作業だけどよく頑張ったよー。と自分を褒める。


 うん、誰もいないからね。自分で褒めなきゃ。



「さぁ、この妖精の実、中身はどんっなっかな〜?」

 

しゃがんで妖精の実にナイフを当てる。



「っぶねー。」

 ナイフを洗って無かった。危ない危ない。これでは中身が食べられぬ。洗うには水と中性洗剤かな?‥クリーン



 妖精の実とナイフが眩い光に包まれる。



 ついでに地面の雪を少し盛り上がらせてクリーンをかけておく。


 これでキレイになったね。準備は万端!

 

 妖精の実にナイフを当てる。


 ザクッザクッザクッ


 中々硬いね。カボチャくらいかな?あっでも中身は柔らかいな。


 妖精の実が2つに割れた。側面はガタガタだ。


 中身は白く柔らかい。自分の手にもクリーンをかけて触ってみる。


 モッチモチだな。私はコレを知っている。匂いも確かめてみる。あぁ、これはあれだなあれ。割れた実を閉じて魔力で接着する。果物かと思ったけど違うみたいだ。とりあえず収納庫に片付けてこの場を離れよう。次は寝床だ。他の食料を探しながら寝床になりそうな、雨風凌げる所を探そう。あぁ、ここらだと雪風か?とりあえず上に行って高いところから見渡そう。下に行くと人がいるかもしれないし。



 緩やかな斜面を登る。


 少し進むと振り返り、先ほどの拓けた場所に鑑定をかける。ちょっと気になってたんだよね。妖精の木に囲まれた拓けた場所だなんてそれだけで危なそう。関わらない事第一だよね。関わらない為にはしっかりと知らないとね。


 鑑定


※※


 妖精の踊り場

 たまに妖精が集う場。可愛い妖精の悪戯でこことは違う別の場所から人が飛ばされてくることもある。


※※



 背筋がひんやりとする。こことは違う?それって安全な場所とは限らないよね?確かに自分が今いる場所がどこなのかはわからないけれど、わからないまま違う場所に飛ばされちゃうとさらにわからなくなる。あれ?でも一方通行なのかな?じゃあ妖精の悪戯で強いモンスターとか飛ばされて来ることもあるって事??

 ここは女神様が選んでくれた場所だもんね、他の場所よりは安全にしてくれてるよね?テンプレがどうとか言ってたからたぶんモンスターとかもそんなに強くないはず。始まりの村くらいのはずだよね?他は?確か魔王がいるって言ってたよね。たぶん相当強いよね?テンプレだもんね。



 ガクブルしながら足を進める。緩やかな坂道を。とりあえず早く離れよう。少し足早になる。





 妖精の木々が笑った気がした。










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