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 内臓の抜かれた子豚と向き合う。先程クリーンをしたためか、内臓が無いためか、臭いが少ない。


「次は肋骨を外すんだっけ?」

 解体の仕方を思い出しているうちに、はたっと別のことを思い出した。

磨製石器ナイフどこだっけ?」

 さっき木陰に走って行くときにどこかに置いたのかな?と辺りをキョロキョロと見回す。


「はい、どうぞ。さっきそこに落としてたよ」

 近くにいたペンコルドが拾ってくれたらしい。


「ありがとう」

 私は笑顔でお礼を言う。


「ありがとうはこちらだ。昨日、お嬢ちゃんの防御魔法がなけりゃー尻の骨は粉々だったろうからな。ありがとさん」

 ペンコルドは少し照れくさそうにそう言ってそそくさと他のペンコルドの所へ向かった。

 そうか、あのペンコルドは昨日豚の首と共に海に吹っ飛んで着水に失敗したペンコルドだったのか。元気そうで良かった。



 微笑ましい気持ちで肋骨と肉の部分に磨製石器を滑らす。まだ温かい気がする。腕を肉と骨の間に突っ込むと、刃が進まなくなる。これが背骨かな?反対側も同じ様にして、刃を滑らせて背骨で止める。肋骨が肉と離れたら背骨を肉と離し、適当な所で背骨を風魔法で切断する。

 収納!

 肋骨と背骨にはまだ肉がついているけど今は面倒なので片付ける。

 足と尻尾を切り落として皮に残ったお肉を磨製石器で削ぎ取る。皮の周辺は脂肪っぽかったので鍋が手に入ったらラードでもとろうととりあえず収納する。どれがどこの部位だかわからないけど、脂の少なそうなところを適当に切り取り、残りを収納する。


 パンパカパーン!解体終了〜。

 解体が終わったのでまな板を出して周辺をクリーン!

 お肉を磨製石器で食べやすいサイズにカットして置いておく。

 フライパン欲しいな。私は辺りを見回して大きな石をみつけると魔力を流して形を変える。少し薄く、フライパンみたいな土手を作って石のお皿みたいなのを作る。

「あとは火だね」

 そう呟いて石を積んでいると


「火を起こすの?手伝うよ」

 と言って他のペンコルド達も石を積み上げてくれる。下に空洞を作って木切れを入れてから点火!

 火が着いたのを確認するとさっきの肉の乗った石のお皿を置く。

 

 ジュージュー


 木のお箸で炒めていると脂でギトギトになり出した。いつもならキッチンペーパーで拭きとるのに今はない。


「このギトギトの油だけ収納できないかな?」


 石の上に出来た油溜まりを意識する。


 シュンッ


 油が消える。


 おお、できた!ヘルシーだぞ。これで胃もたれしない。とりあえず焼き上がったので味付けなしに一個だけ小皿にとり、フーフーするとかぶりついた。


「はふはふ」

 外はカリカリで中は柔らかい。口の中に日本で食べたあの味付けしていない豚肉の風味が広がる。

 ごっくん

「うん、不味くない」

 異世界物でご飯が美味しいとか正直疑っていたけど、まあ、無くはないかな。コレは普通に豚肉だ。自分で解体したからもっと血生臭いかと思ったけど普通に美味しい。素材としてはそんなに変わらないのかな?解体したばかりな分新鮮で美味しいって事かな?勝手に中世ヨーロッパ頃のご飯は美味しく無いと思っていただけなのかな?あ!コレが貧富の差かな?貧しいと新鮮で美味しい物が食べられないから。貴族とかは美味しい物食べてたのかな?この世界では魔法があるから実は文明が発達しているかも知れない。女神様は何をもって中世ヨーロッパみたいと言ったのかだ。


 私は色々と考えながら先程用意した調味料とキノコを石のフライパンに乗せて一緒に焼く。


 ジュージュー


 キノコに軽く火が通ったので少しお皿に移し、残りは焦げ付かないように別のお皿に乗せてから座って食べる。


「いっただっきまーす!」

 豚とキノコの炒め物は味は塩だけどクセの強い葉っぱで少し味が変わっている。ピリッとする中に酸味があり、なかなか美味しい。葉っぱを乾燥させてなかったらクセが強すぎて食べられなかったかもしれない。


「ご馳走様でした!」


 リーダー達がこちらを見ている。生臭い内臓を持って。



「ご、ごめん。昨日から何も食べていなかったからお腹が空いてて‥あの、どの部位を食べるか決まった?」

 私は食べ終わって漸くペンコルド達の事を思い出す。だって、調理中に話しかけて来なかったんだもん。


「このお皿使って」

 そう言って木皿を渡してあげる。


「ありがとう。確かに昨日は寝てたもんね。この心臓と肝臓を頂戴。この長いのは喉に詰まりそうだから僕たちは食べられない。それに臭いし」


 ペンコルド達は胃腸を持って困っている。ああそうだ、腸は確か開いて洗わないと。


「あ、それとこれ」

 ペンコルドの一匹が綺麗な小石を差し出してくれる。


「これは?」

 何となく察しは付いている。異世界でモンスターの内臓付近から出て来た物。それは


「魔石だよ。小さいけど質は良いと思うよ」


「ありがとう。貰っていいの?」

 私は魔石を受け取り、掌に置いて見る。それはビー玉くらいのゴツゴツとした青っぽい石だった。


「僕たちには使い道が無いし、消化もできないからね。もっと小さなクズ石ならみんなポケットに入ってるから貰うと良いよ。人間には使い道があるだろうし、小さくてもお小遣いくらいにはなると思うよ」

 そう言ってペンコルド達が肉を捲り、ポケットに手を突っ込むと、BB弾みたいな小さな青い石をザラザラと出して掌に置いてくれる。


「ありがとう。集めてたんじゃ無いの?貰っても良いの?」

 みんなが掌に持ちきれないくらい出してくる。


 収納!収納!


 丸出しのまま収納していく。


「僕たちは良く魚を食べるんだけど、一匹につき一個ついてくるから溜まって行く一方なんだよ。ある程度溜まると穴を掘って埋めてたんだけど、そうすると魔石を吸収出来るモンスターが寄って来るから困ってたんだ。吸収すると強くなるみたいで倒すのが大変なんだ」


 じゃあ遠慮なく貰えるね。テンプレだと何かに使えるはず。




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