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 ヤッホーーー


 風船が割れるような大きな音と共にヤッホーの実が弾け飛ぶ。不思議な破裂音だった気もするけれど、たぶん気のせいだ。



「ぐぎゃー、目が、目がぁぁあぁ」


 目に入った。顔はもちろん、壁や椅子、ベットに白い塊や液、茶色い殻みたいなものが散乱する。


「クリーン!クリーンクリーンクリーン!!」


 最初に顔、特に目にクリーンをかけてから部屋中にクリーンをかける。すると椅子の上に茶色い殻と白い実のかけらみたいなのが固まって置かれている。魔法は万能だけど物質を消す事はできないのかな?白い実のかけらを一つ摘んで食べてみる。


「ん!甘くて美味しい」

 甘いのにさっぱりとしていて美味しい。夏にシャーベットにして食べるといいかも。今は考えるだけで寒くなってきた。ブルブル


 ココナッツみたいな雰囲気でココナッツみたいな味がする。食感は思っていたほど繊維質じゃなく桃みたいだ。あれ?スーパーのお菓子コーナーで売ってたあの白いの何?空炒りしてからお菓子に使うやつ。あんなのを想像してたからもっと繊維がガジガジするのかと思っていたよ。いや、食べた事ないから想像だけどね。

 でもなんで爆発したんだろう?魔力を注いだだけなのに。今度からはもう少し気をつけよう。穴とかを開けて中の液体を出せば良かったのかな?これ美味しいな。果物が収穫してからすぐに食べられるとか素晴らしいよね。明日もっと取ってこよう。グフフ

 気がつけば白い部分が全部無くなっていたので、椅子にクリーンをかけて茶色の殻を収納する。

 もう一つ椅子の上に置いておく。常温(たぶん氷点下)で日持ちはするのか試したい。


 次は玄関から入って正面の部屋だ。入ってすぐ左に穴を掘る。地下室を作るのだ。歩いて降りれるように階段をつけて掘り進めていく。小さな体育館くらいの広さにして、高さはそんなに無くても良いからとりあえず5メートルくらいかな?最後に魔法で崩れない様に固める。


「よし、できた!」

 上に戻って落ちない様に硬い木で作った少し大きめの薄い板を置く。ついでに板にお花や木を彫る。うん、可愛い。カムフラージュできてるね。



 そこには何とも言えない珍妙なデザインの板が置いてあった。



 この部屋にもベットと椅子を置いて、輪切りの机を置く。磨きには余念が無い。だって引っかかるの嫌じゃ無い?


 次は玄関を出て、玄関に斜めに薄い板を立て掛ける。これで中が見えにくいはず。

 チャチャーン、完成!


 穴掘りがひと段落した頃には外は紫色になっていた。


「無くは無い色かな?」

 そう、地球の、日本で見た夕焼けに近い色だ。まあそれよりはちょっと紫感が強い気もするけどまあ無くは無いな。異世界だしね。月はまだ出ていない。


 そうだ、一応真っ暗になる前にリーダー達におやすみの挨拶をしなくちゃ。見える範囲だけど今から火も使う予定だし、びっくりさせちゃうかも知れないもんね。



「リーダー、崖を掘ってしばらくこの辺りで滞在しようと思うの。夜に火は使っても大丈夫?」

 私は群れの中でおしくらまんじゅう状態のリーダーに話しかける。


「わかった!お嬢ちゃんがいると楽しいからいつまででもいていいからね。火はどうかな?僕たちは使わないから良くわからないけど、最近この辺りではちょっと厄介なモンスターが出るからやめておいた方がいいかも知れないね」

 私もペンコルドの群れの中で揉みくちゃにされながらリーダーの言葉に耳を澄ます。臭いよう。とりあえず表面だけクリーン。

 眩い光がペンコルド達を包み込み、光と共に臭いが消える。


「表面だけクリーンしたから毒の息には影響は無いと思うよ。火が使えないのか‥厄介なモンスターってどんな感じのモンスターなの?」

 大事なモンスター情報だ。ペンコルドにはもう情が移ってしまったので除外すると初のモンスター(敵)だ。できればテイムできるものか、美味しいもの、あとはペンコルドには脅威でも、私には難無く倒せるものがいいな。


「そんな事もできるの?ありがとう。効果は多少薄れても、今の僕たちにはあまり関係ないから。全員揃ってる群れの中では使えないからね。全員死んじゃうから」

 嬉しそうにお礼を言った後、しょんぼりしながら言う。


「厄介なモンスターは浄化の魔法が使えるから毒の息は効かないんだよ。それに僕たちの雛や卵が大好きらしく、全てを食べ尽くすまで止まらないらしいよ。そういえば海の掃除屋なんて呼ばれていたよ。ここではない遠くに住むペンコルド達から聞いた話だから僕は実際に見た事はないんだよね。ただ、仲間のペンコルド達がこの辺りで数頭見たらしいから警戒はしておかないとね」

 


 ペンギンの卵や雛を狙うのってカモメかな?アザラシもかな?キューキュー言いながら浄化の魔法使うとか私の心が洗われるわー。それはそれでかわいいだろうな。今はペンコルド達の味方だから、もしもの時には私も戦わなくちゃいけないね。れるかな。私に。つぶらな瞳で見つめられたら厳しいな。でも、食べられるお肉なら確保したい。最初に首を落とせばいいのかな?魔法で眠らせてからの方がいいかな?海から来た場合はどうしようかな?


「見た目はどんなのか知ってる?」

 心を構えたい。それで、る覚悟を決めないといけない。


「手足は短くて、成体は体が僕たちよりも大きくなるみたいでお腹とかも分厚いらしいよ、水の中を泳ぎ回れるらしい。このくらいしか僕は知らないなぁ」

 アザラシっぽいね。つぶらな瞳の人気者ですね。あれ?それはアシカだったかな。


「そっか、見たことないなら知らなくてもしょうがないよね。それよりこのペンコルドのおしくらまんじゅういいね。あったかい。やっぱり今日はここで寝ようかな。横向きならここで寝るのに。あ、でも卵割っちゃうかな?」

 寝てる間に卵を割っちゃったなんて嫌だ。


「横向きが良いなら横向きになろうか?」

 リーダーとの会話を聞いていた他のペンコルド数羽が伏せをする。


 いや、遠慮する。

「卵割っちゃうよ!」

 最もらしい事を言って回避する。

 


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