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「ヤッホーって言うとこの実をくれるらしいよ」

 私は手に持っている実を見せながら言う。



「やってみる。ヤッホー」

 リーダーも試してみるけど何も起こらない。


「もしかして人族の言葉で言わなくちゃダメなのかな?僕たちだとどうしても鳴き声になっちゃうから認識してくれないのかもしれない」

 リーダーは少ししょんぼりしながら言う。



「ヤッホー、ヤッホーヤッホーヤッホーヤッホーヤッフー」

 リーダーにも実をあげたくて頑張ってみる。すると、実が5つふわふわと降りてくる。あれ?さっきよりも実の数が増えてる?上を見上げると、ヤッホーの実がたわわに実っている。

 私はとりあえず一つを残して全て収納庫に入れる。


「はい、これはリーダーの分。さっきいろいろな事を教えてくれたからね。ありがとう」

 私は笑顔で手に持っている実をリーダーに差し出す。


「僕が貰ってもいいの?ありがとう」

 リーダーも笑顔で受け取ってくれる。


「この木は妖精の木みたいに魔力を養分にしてるのかな?魔力、注いでおいた方がいいかな?」

 私はヤッホーの木に触れ魔力を注ぐ。すると、ヤッホーの木がふわっと光り、声が聞こえてくる。


「魔力をありがとう」

 黒いビー玉みたいなものが降りてくる。


「海の近くに埋めて欲しい」

 そう言うと光が消えていく。


※※


 ヤッホーの種

 海の近くでしか育たない。砂浜でなくても育つ。魔力を込めて埋めると発芽する。


※※



「ヤッホーの種だって。ここら辺に埋めてもしょうがないからまた今度遠くの海へ行った時にでも埋めるよ」

 そう言いながら収納庫にしまう。


「そうだね、ここら辺だと発音できるモンスターはいないし、周りにも数本あるからね。じゃあそろそろ僕たちの群れへ行こうか」

 そう言いながら手を差し出してくれるので私はその手に捕まる。二人仲良く手を繋いで歩き出す。しばらく進むとペンコルド達が50羽くらいいる場所に着いた。リーダーは手を離して一羽のペンコルドの下へ向かうと卵を2つ持って私に差し出してくる。


「はい、約束の食料。2つで足りなければ他の者にも声をかけるから言ってね」

 リーダーは言う。

「珍しく2つ産まれたんです。少し温めてますが、産みたてほやほやの新鮮なやつですよ。自分達で食べる事はありませんが、他の生き物には美味しいらしく人気があるんですよ。こちらは攻撃したのに夫達の命を助けて下さってありがとうございます」

 リーダーの奥さんらしきペンコルドが微笑みながら言う。



「えっと、卵は今は食べないのでいらないです。温めてあげてください。私は魚が欲しかったので魚の捕り方を教えてくれると嬉しいです」

 いらない。卵は今のところ鶏以外受け付けていない。だって、ペンギンの卵って火を通しても白身の部分が透明のみなんだよ?鳩もだったかな。美味しいらしいけどちょっと見なれないものは口に入らないと思う。ス◯イムカレーみたいな、美味しいけど見た目で食欲がなくなる物は受け付けません。まだ異世界生活1日目だからね。それに相手もいるし、温めてるって事は有精卵だよね?温め続けると雛鳥ちゃんが生まれるよね?キツイわー。


「そうなの?わかったわ」

 そう言ってリーダーの奥さんは2つの卵を足の下に戻して温め直す。


「もう日が暮れてきて危ないから魚の捕り方は明日でいいかな?今日の夜はこの群れで過ごす?それともどこか他の場所で寝るのかな?」

 リーダーが言う。


 海を見るとオレンジ色に染まっている。海も砂浜もキラキラしている。綺麗だな。


「そうだね、魚は明日捕り方教えてね。今日はこの辺りで寝ようかな?この辺りは風を凌げる所ある?」


「じゃあその崖の下はどうかな?僕たちの近くだし他の場所に比べると風は凌げると思うよ」


「本当だ!ちょっと行って見てくるね」


 見てみると崖の下にヤッホーの木が2本生えていて、風も避けれそうだし目印にもなりそうな場所がある。

 群れを離れて崖の下に行き、魔力を流して穴を掘る。崖が崩れないように慎重に掘っていくと、何となく掘り方がわかる様になってきた。とりあえず十畳くらいの広さに掘って、中に入り内側を固める。次に、入って右側と正面に穴を開けてそこには12畳くらいの広さを開けて固める。入って左側には3畳くらいの小部屋を作り、深い穴を掘り、便座を作る。座るところにはとりあえず硬い木をおいて固定する。


「扉欲しいなあ。しばらくはその都度土で壁を作るしかないかな?」


 土で壁を作り便座に座る。クリーンで綺麗にしてから穴の底を風魔法で乾燥させる。うーん臭いは残らないかな?何か香りのあるお花とか飾りたいな、今度見つけたら摘んでこようかな。雪の積もる中でも咲くのかな?不思議な世界だからあるかも知れないね。

 トイレを出ると、玄関から見て右側の部屋に入り、作っておいたベット(ただの板)と椅子(ただの板)を置く。これは流石にひどすぎるので、椅子(ただの板)の下に輪切りの木を魔法で削って磨いて置いて高さを出す。


「あれっ?これ椅子(ただの板)いらなくない?この輪切りの木だけで重たいけど椅子になるよね」

 これはまな板の予備にしよう。輪切りの椅子を何個か作って適当に配置する。その上に一個、さっきのヤッホーの実を置いて観察する。


「よし、魔力を注いでみよう」









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