08話 試験に備える
「え〜っと……ここか。」
ラインは店の前に立ち、宝石を改めて凝視した。
“しっかし、そこまで価値があるようには見えないが……。形が綺麗だからか……?どちらにせよ、オーガの宝石にはそこまでの価値があるとは思えない。臭いし……”
店の中に入ると、がたいの良い人達でいっぱいだった。
「僕、ここで何してるの?」
若い女性の人がラインに話しかけた。
「あ、宝石を売りたいんですけど」
「宝石ね。ちょっと見せてくれる?」
「はい。」
ラインはその若い女性に宝石を手渡した。
「え、これって。」
「?」
若い女性はとても驚いて、目を泳がせながら言った。
「これって、オーガの宝石?」
「はい。そうです。ここに来る途中に力試し程度に闘って、結構苦戦してしまいましたが。」
「あわ、あわわわわわわ!!た、大変で〜す!店長!店長!!」
若い女性は宝石を片手にどこかへ走って行ってしまった。
「ちょ、ちょっと…!!」
“どっか行っちゃったよ……そんなに珍しいのか…?”
「え〜っと、あなたが例の少年かい?」
今度は50歳くらいのおじさんが出てきた。
「例のと言うと……?宝石の件ですか?」
「そうだ!あれはとても価値のある宝石なんだよ。とてもこの店の全財産でも足りないが、頼む!!今、払えるだけの分は払う!足りない分はちゃんと後で払う!だから、この宝石を売ってくれ!」
「わ、分かりました。売ります売ります!」
「ほ、本当ですか?!やったー!」
おじいさんは、まるで子供のようにはしゃいでいた。
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
「うへぇ〜……」
ラインは袋いっぱいお金を貰った。
「こんなにいらないんだけどなぁ。まぁ嬉しいけどね!」
「あ、ライン!!」
ナナがラインに向かって、手を振りながら走って来た
「オーガの宝石ってのはこんなにも価値ある物なんだな。」
「ん〜。これじゃ足りないくらいだと思う笑」
「まじか」
“前世だったら銀貨1枚程度だったのに、今は金貨何百枚って数あるぞ。よし!これで特待生になれなくても、学費は払えるようになった。嬉しい想定外だったな。”
「助けてもらったお礼に、この金で剣を買ってやるよ。」
「本当?ありがとう!」
ラインは店で一番高く、使いやすい剣を買った
「試験は明日だよな。近くの旅館にでも泊まって、明日に備えよう。」
「うん!」
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
“とうとう明日か。どんな人達がいるかな〜。そもそも受かるかなぁ。前世と同じ難易度なら高確率で落ちるな。それに俺の水晶の色は『赤』。本当は良いのだが、この時代の人たちは無能色だと言って、試験では−50。油断は出来ない!”
前世のラインは、5年の準備をしてギリギリ合格したのだ。
“取り敢えず寝よう。今日は疲れた”
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