01話 転生、そして水晶
偶然なのか、転生先でも名前はラインだった。前世から約3000年の時が経っており、地形や言語など、様々な物が変わっていた。
俺は今日で12歳をむかえる。
“前世は500歳くらいだったからな。今回はもっと長生きするぞ!最大限まで力を伸ばするだ!”
ドタドタと階段を駆け上がる音がした。
「ライン、今日は水晶の日だぞ!準備だあ!」
このテンションが高めの人は、俺の父親のロイ。こいつと話してると耳が痛くなる。
“俺の誕生日より水晶かよ……”
「あ、ライン、誕生日おめでとう。水晶はどんな色になるか楽しみね。」
この人は俺の母親のシユ。とっても優しいがおっちょこちょいだ。
「水晶か……」
“前世の俺の水晶の色は、魔法との相性が非常に悪かった。お願いだから、良い色出てくれ……もうあの魔法陣を展開するのは……面倒だ…!”
「ところで、鑑定士さんはいつ来るの?」
「もうすぐだ。」
「来るの早いなぁ……」
“うぅ……緊張してきたなぁ……前世と同じ色は嫌だ!俺がどれだけ苦労したか、あの体験はもうしたくないなぁ……”
ピンポーン
「おっ!来た来た!ライン、下に行くぞ。」
「はーい。」
階段を一段ずつ下がって行くにつれ、心臓の鼓動が強くなっていくのを感じた。
“どんな結果であれ、努力はしないといけないんだ!気合を入れろ〜!”
俺は自分の両頬を叩いた
「ふぅ……入るか。」
俺は部屋のドアを開けた。中には水晶が机の上に置かれていて、20歳くらいの若い女の人が座っていた。
「ラインさんですね。本日は水晶による鑑定をさせていただきます。」
「よ、よろしくお願いします!」
「それでは水晶に手を。」
“こんなに緊張したっけなぁ……”
ラインは水晶に手を伸ばした。水晶に手が触れた瞬間、水晶は"赤色"となった。
“よっしゃあ!赤!良かったぁ、前世と同じ白じゃなくて。赤は、魔法との相性も良ければ、剣との相性も抜群の人に現れる色だからな。これからの人生に大きく期待だ。”
ちなみに赤は、魔法と剣の相性が良く、近距離型を得意とする色。
青は魔法特化型の遠距離型の色。
緑は魔法陣や武器の生成を得意とする色。
白は剣を得意とする超近距離型の色は。
「な、なんて事だ……」
“おっ!父さん、驚いてるな!超優秀な色だ。そりゃ誰だって喜ぶ。”
「ライン、お前はもっと、才能があると思ったのに……白じゃなかった。」
「え?」
「それでは私は失礼します。」
彼女はそう言って、この場を後にした。
「ちょっ!父さん!どういう意味!?」
「良いか?赤色はな、無能を表す色なんだ。剣も魔法も得意としない色……まぁ努力すればなんとかなるのが唯一の救いだが……。よし!これから毎日訓練開始だ!!!」
「え、あ、うん!」
“おかしい!3000年経って変わったのか…?いや、それは有り得ない!水晶という物質は変わらないからだ。だとしたら何でだ…?取り敢えず、これからの訓練で赤が優秀である事を証明しなければ。”
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