プロローグ
時短のため小説の書き方が少し砕けているのはご了承ください。時間があったら清書したいですが、続きを書くことを優先します。長いかもですが、なるべくサクサク進むように文章を簡易なものにしました。
気になるところや誤字脱字は気を付けてはいますが、あれば教えて下さると助かります。
ニックネーム:ジル
年齢:21歳
血液型:B型
兄弟姉妹:長男
話せる言語:エルフ語、ドワーフ語、人語
居住地:ニューラインランド
勤務先:冒険者ギルド
出身:エルフの森
学歴:第1級指定魔法学校卒
職種:盗賊
身長:166cm
体型:やや細身
結婚歴:なし
子供の有無:無
登録。
『基本ステータス登録が完了しました。詳細設定を行ってください』
「登録終わった」
ジル・カルヴァンはスマホをテーブルに置き、喉に酒を一気に通した。
「このさぁ。写真設定なんだけどさぁ」
童貞が何か言っている。
ジル含め、酒場の端のテーブルを囲んでいる4人は同じ冒険者であり、パーティー仲間である。
ジルの向かいに座る筋肉質ポッチャリの男はタンクのアッキ・デストロイ、童貞である。
ジルの隣でジュースを飲んでいる男は魔法使いのタナカ・カナタ、童貞である。
ジルの斜めに座る男、キス顔がアナル顔と評判の狩人、カキ・タカ、童貞である。
ニックネーム:アッキ
年齢:20歳
血液型:O型
兄弟姉妹:末っ子
話せる言語:鬼語、人語
居住地:ニューラインランド
勤務先:冒険者ギルド
出身:鬼の里
学歴:寺子屋卒
職種:タンク
身長:160cm
体型:ポッチャリ
結婚歴:なし
子供の有無:無
ニックネーム:タナカ
年齢:19歳
血液型:A型
兄弟姉妹:末っ子
話せる言語:人語
居住地:ニューラインランド
勤務先:冒険者ギルド
出身:ヒューマン都市
学歴:第1級指定魔法学校卒
職種:魔法使い
身長:170cm
体型:普通
結婚歴:なし
子供の有無:無
ニックネーム:カキ
年齢:20歳
血液型:O型
兄弟姉妹:一人っ子
話せる言語:タカ族語、人語
居住地:ニューラインランド
勤務先:冒険者ギルド
出身:タカ村
学歴:タカ村狩人学校卒
職種:狩人
身長:170cm
体型:普通
結婚歴:なし
子供の有無:無
「良かったな。童貞って書く欄がなくて」
3人を煽るジル。
「いや、ブーメラン!!」とタナカがツッコむ。
「そんなことより写真どうする?」カキが問う。
「ど、どど童貞じゃねーし」ジル……。
「詳細書いたんか童貞!」アッキがジルに迫る。
言い合いをするジルとアッキ。
絶対に童貞であることを認めさせたい童貞と絶対に童貞だと認めない童貞の日常会話である。
「そんなことより写真写真! ねぇ! 写真!」アッキの肩を揺らすカキ。
「ネットから画像引っ張ればいいだろ!」アキはご乱心である。
「ダメに決まってんだろ!!」タナカはただただツッコむ。
話が全く進まない。
とりあえず、ジルは載せるべき写真を簡単に説明する。
「まずは、上半身が映ったキメ顔かな。二枚目以降は、顔がアップの写真と全身の写真、女子受けしそうな料理や絶景、後は趣味に没頭してる写真とかみんなでワイワイしてる写真とかかな。はいそこ自撮りしなーい!」
カキが斜め45度の角度でキメ顔をしてる。取れた1枚を見てみると、ザ・ナルシルトと言わんばかりの顔面である。
「きしょ」とアッキは思ったままを口にする。
「ちょっとあれだね」言葉を濁すタナカ。
「しかも加工してるじゃん。一番やっちゃダメなパターン」追い打ちのジル。
これを完璧な1枚だと確信していたカキの心はズタズタである。
今の段階で気づけてよかったな。1人で登録進めてたら大惨事になってたな。
ジルはスマホのカメラをアッキに向けた。
「とりあえず1枚ずつみんなの撮るよ。アッキ、キメ顔して」
「はい!!」
「変顔しなーい!」
「いや、これ真顔です」
……ごめん。
まあ、皆イケメンではないけれど、よく撮れた方だと思う。
彩度、温かみ、コントラスト等は調整しておこう。ちょっとでもよく見せた方がいい。これくらいなら加工のうちには入らないだろう。バレない程度の自然な仕上がりにするし。
「ジルこっち向いて」
「はいチーズ」
撮れた1枚を皆で覗きこんだ。
「クスリ、キメてる?」アッキが問う。
「イケメンスマイルだろ?」ジルが応える。
「冗談でも言っていい事と悪い事はある」アッキが真面目に怒ってしまった。
取り敢えず、ジルの写真は真顔で取り直しになった。
絶景の写真は冒険で撮った最高の1枚を。ご飯屋は行きつけの店と他国の映えそうなメニューを。それぞれ指定の枠を全て埋めていった。
そしていざ恋人探しに!!
と意気込んで一週間が経過。
4人はこの1週間休暇をとって暇を持て余していたにも関わらず、ほとんど『いいね』をもらえていない。
ネットの口コミ・評判を漁るジル。
マッチングアプリはやはり顔が良くないとだめなのか?
「プロフィールちょっと見ていいか?」ジルは、プロフィールに問題があるのでは? と踏んだ。
「ええけど」アッキが即答してくれた。
「第3者の客観的な目線で見た方がダメな部分が見えてくると思うんだ」ジルがそれっぽい事を言う。
「なるほど」アッキは取り敢えず納得することにした。
皆納得して、一人一人見ていくことにした。
一人目、ポッチャリのアッキ。
始めまして! アッキです!
プロフィール最後まで読んでな!
冒険者でタンクやってます。収入はまあまあ。
周りからは優しい、寛容、穏やかって感じといわれます。
趣味はジャズバーでシャズを聞く事です。
休日は家でオンラインゲームしてます。
恋人ができたらしたい事は、遊園地とか水族館とか行きたいと思ってます。
趣味とか共通点がある方いたらお話しましょう!
「完璧やろ?」
「普通だね」とカキ。
「そこらへんに同じ人いそう」とタナカ。
「趣味ジャズだけじゃストライクゾーン狭くないか?」とジル。
言いたい放題の3人である。
ジルがさらに付け足す。
「休日ゲームだけじゃなくて、ジャズセッションとかもしてるだろ? あと、見てなくても、とりま映画は見てることにしとくといい。ネタバレ見れば話合わせられるし、本もそうだね。あと、文章が全体的に小学生の作文みたいだからもうちょい具体的にした方がいいと思う」
「赤ペン先生!!」
と、言ってくれてるけど実際こっちも『いいね』来てないんだよなぁ。
「童貞が童貞に教えを乞うてる」とタナカ。
「世紀末だな」とカキ。
次はカキのプロフィールである。
どうも! カキです。
普段は冒険者:狩人として活動しています。
趣味はゲームなので、休日はゲームに没頭してます笑笑
好きなゲームは、銃が出てるゲームは全部好きです笑笑
同じ趣味の人がいらっしゃったら是非オンラインでもいいんでやりましょう!!
「うん? 終わり?」とジル。
「長々書いたら読んでくれなそうだから短く纏めた」とカキ。
「笑笑がきしょい」とアッキ。
「短っ!!」とタナカ。
「銃のゲームならゲームセンターにもあるから、そういうのも付け加えるといいかも。そういうの好きな女子はいるだろうし。プリクラもゲームセンターあるから、デート案として書いたら?」
ジルが提案すると、天才か? と一言言って手直しを始めるカキ。
次は、タナカである。
初めまして、タナカです。
冒険者をしています。魔法使いとして、パーティーを支援しています。一応、火炎系、水系、風系の3つの最上級魔法を使用できます。また、簡単な回復魔法も使えます。支援魔法のバフ掛けもできるので、パーティーの要になっています。自然系統魔法は国家資格なので、取得のは大変ですが、残りの雷系と大地系も取得できるよう日々勉強しています。休日もパーティーメンバーと呑むか勉強しかしていません。あと、童貞です! 今まで女友達はいましたが、恋心を抱いたことはありません! どうすれば——————
「一旦、読むのやめよう」とジル。
「どうした?」とタナカ。
いや、お前がどうした?
「童貞です。から一旦消そうか」とジル。
「「それな」」
「本当の事書いただけなのに」と悲しそうな眼をするタナカ。
「ピンポイントに童貞好きな奴は少数派。あと、女をちらつかせるのは良くないかも」とジル。
「ひどい」とタナカ。
許せタナカ。
「率直に言うと、魔法のお話のところは、俺たちは凄い! ってなるけど、女子の反応は多分……」
「反応は?」
一同沈黙を保ち、ジルの解答を待つ。
ジルは得意げに、上から目線でサバサバと言い放った。
「で? だから? それで? ナニコレ? 自分に酔ってる? 自慢? ウケる」
アッキは机を叩く。「そんなに言わなくてもいいだろ!!」ジルの胸ぐらを掴むアッキ。
「現実を見るんだ! 眼をそらしちゃダメだ! これが女の子なんだ!」
「嘘だ! タナカは誠実で優しくて高学歴で俺たちの中で一番いい奴じゃないか! タナカがモテないわけないだろ!」
「だったらなぜ『いいね』が来ない!!」
酒場全体にジルの声が響き渡った。
無駄に辺りに沈黙が漂う。
ジルはその沈黙にそっと言葉をのせた。
「たったらなぜ『いいね』が来ない……」
ジルの掠れた声に震えを感じたアッキは、ジルから手を放し、椅子にすとんと腰を落としてしまった。
「何この茶番」とカキ。
ジルはとりあえず、座って茶番を続けることにした。
「まだ1週間、もう1週間。捉え方は人それぞれだけど、諦めなければ希望はある。マッチングアプリ『恋来い』で顔が普通、通称フツメンで彼女ができた先人達が道を示してくれている。俺たちは諦めさえしなければ、必ず報われるんだ」
「ジル、お前……」
「頑張ろう皆」
「ほな、お前のプロフィール見てこうか」
「ああ、よろしく頼む」
ジルのプロフィールである。
初めまして! 冒険者のジルです!
恋人が欲しくて『恋来い』始めました。
仕事:人並みには稼げています。
趣味:映画鑑賞や読書です。映画はアクション系も好きですけど、ミュージカルもよく見ます。本は雑食なので、おすすめのがあったら教えてください。
休日:カラオケやダーツは良くいきます。カラオケは1人でも行きます! 歌うの好きなので。後は、友達に勧められたジャズバー!! めちゃめちゃ良くて休日の夜は結構行きます。ジャズ好きな人、お酒好きな人、よかったらお話しましょう!
あとあと、歴史的建造物見るのとかも結構楽しいです。仕事柄良く見たりするので色んな国を観光するのにもハマってます。
自分の事:結構好奇心旺盛。人のハマっている趣味にもどっぷり浸かるタイプです。色んな事しないと人生もったいないと思っています。なので、恋人ができたら相手の好きなこともたくさんやってみたいです。
共通点がある方、無い方、ぜひお話しましょう。
「ドヤッ」とジル。
「嘘しかついてない」とアッキ。
「あとで大変な思いしそう」 とタナカ。
「なんか違う気がする。なんかやだ」とカキ。
あれ、なんか低評価……。なんで?
「映画、読書、ジャズ、バー、歴史的建造物、観光は嘘」と断定するアッキ。
「ジルいつも休日は家でゴロゴロしてるでしょ! それか俺たちと呑むか!」とタナカ。
「お前が好奇心持つときは大体金銭がらみじゃん。それ以外興味ないだろ」とカキ。
おいおいおいおい。ちょっと待って欲しい。
「嘘ついて何が悪い?」ジルがしれっと言う。
「お巡りさーん! この人反省してませーん!」アッキ。
「みんなどうせ嘘ついてんだからいいだろ。こんな嘘で女が釣れるならテンプレート上等だわ!」
「1回捕まろう? 考え方変わるよ?」カキ。
「嘘臭さのせいで『いいね』ついてないんだろ!!」タナカ。
「違う、これで『いいね』が来ないってことは結局……」ジル。
「「「結局?」」」
「顔でしょ」
「一生童貞おめでとう! みんな魔法使い!」拍手するアッキ。
「やっぱり俺達に恋人は無理なんだな」タナカ撃沈。
「ブスならワンチャン」カキ現実逃避。
各々手直ししてやっと1,2件『いいね』が来た。といっても、それはこちらにとって必ず喜ばしいものではない。
「サキュバスだったわ」とカキ。
「業者だね」とジル。
「アラクネは?」とポッチャリのアッキ。
「食料がオチ」とジル。
「魔女は?」とタナカ。
「人体実験ですね」とジル。
「もうだめだー!」アッキが絶望する。
恋人ってこんなに作るの難しいのか……。魔王倒す方が簡単なんじゃないか?
と、そこにジルに一件の『いいね』が届いた。しかも、メッセージ付きである。
こんにちは、初めましてなのじゃ。童の名はドーラ。
このアプリで恋ができると聞いてな。
かしこまった事はせんでええ。
ラブラブな関係がどういうものか童は興味がある。
妥協して其方と語り合ってみたい。
少々遠いが鬼の都まで来てはくれないだろうか?
手前勝手で申し訳ない。
ナメてんのか!
「良かったな、妥協だってよ!」ジルの肩を叩くアッキ。
「翻訳使えばいいのに、わざわざ人語でメッセージ打ってるね」とタナカ。
おかげで、なんか人語に違和感がある。
ジルはその違和感から妙なことに気付く。
「これさぁ、文の頭文字とったらさぁ」
「とったら?」
「ここからだして。になるんだが……」
「は?」
一同固まってしまった。
プロローグ読んでいただきありがとうございます。
続きが出来上がるのをお待ちください。
すぐ見れるように設定していただけると嬉しいです。
※この作品はマッチングアプリに触れているので、マッチングアプリ使用年齢を鑑みてR18にすべきかなと思ったのですが、より多くの方に見ていただきたいため、設定しておりません。なので、高校生以下の皆様はマッチングアプリへの登録はご遠慮ください。事故ります。