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カーネリア王国物語

男爵家三男の婿入り

作者: 太郎

初投稿作品にポイントが入った嬉しさで書いた、またもや作者の妄想増し増し作品第2弾。

勢いで書いておりますので、温かい気持ちでお読みください。

◆レイモンド・エリッツィオ


 扉を開けると、目の前には見事な華。あ、違う。美しく着飾った僕の婚約者のローザだ。


「レイ! 来てくれて嬉しいわ! さぁ、抱きしめて?」


 婚約者が尊い……! こんな太った僕にもハグを許してくれるなんて女神だ! なんて思いながらも僕の両手は汗でびっしょりだ。だって綺麗な女性に抱きつくなんて、醜い僕にはハードルが高すぎる!

 だからと言ってハグしない訳にもいかなくて、ぎこちなくローザを抱きしめる。耳元で、服も似合っていて素敵よ。なんてお世辞を言ってくれたけど、僕はドキドキし過ぎて上の空だ。


 ……当たってる。当たってるよローザ!


 無邪気に抱き返してくれた彼女の胸が、ムッチリと僕の胸に張り付いてる! これから夜会だってのに、僕は及び腰になってローザから離れた。……何だか情けない。


「待っててくれてありがとう。その、ドレスよく似合ってる。とても綺麗だね……! そっそれじゃ、準備出来てるなら行こうか?」


 何も気付いてないフリでそう促すと、ローザはムッとして頬を突き出した。


「挨拶がまだじゃないの!」


 あ、うん、分かってた。ほっぺにチューだよね! でもどうしても照れてしまって慣れないんだ。


「ご、ごめん……」


 思い切って頬に一瞬だけ口付ける。さっきの事で赤くなっていた僕の顔は、更に真っ赤になっている事だろう。夜会に出かける前なのに、僕の心臓は既に疲労困憊だった。






 改めまして、皆さんこんにちは。僕はレイモンド・エリッツィオ。豪商から成り上がった、所謂成金男爵の三男です。って誰に言ってんだって話だけど。

 テンプレな感じにトラックに轢かれて転生。でも神様に会ったり、チート貰ったりなんてテンプレはなかった。だいたい、前世の記憶って言ってもよく見てた映画を覚えているって感じで、僕の認識はレイモンド・エリッツィオなんだって思ってる。

 知識チートしたくても、電気をどうやって作るかとか、電車が走る構造なんて知らないし、自分の暮らしてた世界の事、全然知らなかったんだって思い知らされただけだった。

 そんな、前世? 何それ美味しいの? 状態な僕なんだけど、何故か太りやすい体質は前世から引き継いだみたい。


 まぁ、それは置いておいて、夜会に向かう馬車の中、隣に座るローザ。正式な名前は、リシュナー辺境伯息女、ロザリエッタ・リシュナー。僕の婚約者だ。

 ちょっと癖のある黒髪は艶やかで、ほんのり朱を差した黒の瞳と相まって、その姿はまるで夜の女神の様。ちょっと目元がキツめで気が強そうに見えるけど、何時も僕に抱きついて甘えてくる可愛い女の子だ。


「レイモンド!貴方に決めたわ!」


 女系の辺境伯家の婿候補を決める茶会で、ローザが僕に言った言葉。僕は成金男爵の父に、歴史ある血筋と縁を持つために連れてこられていた。子供の頃から太っていた僕は、まさか選ばれるなんて思ってもいなくて、会場に用意されていたお菓子に夢中になっていたっけ。

 可愛いな。仲良くなれたらいいな。なんて本当は思ってたけど、茶会に集まった子供達は皆細身でカッコ良くて、僕にチャンスなんて絶対無いって思ってたから……。


 会場は騒然となったけど、辺境伯はローザが気に入ったなら。と、そのまま僕を婿候補に決めた。茶会に参加できた時点で、既に人物調査などは終わっていたんだと思う。未だに何で僕に決めたのか分からないけど、口さがない人達には、領地運営に口を挟めない箸にも棒にも引っかからない相手だから。なんて言われてるみたいだ。僕もそう思うけど。


 そんな出来事から8年。僕は今ちょっと困っている。

 婚約を結んだ時、僕は10歳、ローザは9歳だった。それから8年も経てば、小さかった女の子も今では素敵なレディに成長している。それでもローザは昔と変わらず、抱きついて甘えてきてくれる。そう! 成長した女性らしい柔らかな身体で!


 ローザに言いたい。僕今18歳だよ? 女性の魅惑的な凶器を当てるの本当無理! 無邪気にニコニコしながら何時も抱きついて来るけど! 当たってるからね!? 嬉しいけど!

 こんな事言うのあれだけど、精通してるからね!? 思い余って間違っちゃえるからね!? 嬉しいけど! 本当嬉しいけど!!


 ちょっと本音が漏れちゃったけど、婚約者だから手を出したって構わないなんて言ってられないよ? だってローザは、……ローザは本当は。


 ……王太子殿下の事が好きなんだから。














◆ロザリエッタ・リシュナー


「またダメだったわ!」


 わたしは忌々しげに手袋を外しながら叫んだ。


「そっそんな!『当てているのよ!』作戦の効果が無いとは! ……もしやレイモンド様のお腰のモノは……」


 侍女のライラが痛恨の表情で項垂れてしまう。


「いいえ、効果はあったわ。気にしていたし、ちょっと反応もしていたもの。……ただ、レイの自制心に勝てなかったの!」


 いや、ED違うし! わたしは慌てて言い募る。ライラはホッと表情を緩めた。

 わたしはリシュナー辺境伯の一人娘、ロザリエッタ・リシュナー。一人娘のわたしは後継を産まなければならい。婚約者のレイが勃起不全だなんて思われたら、婚約解消まっしぐらだ。


「とにかく、反応はあったもの。『当てているのよ!』作戦、もう少し続けてみるわ」


 夜会用の豪華なドレスも着替え終わり、わたしはそう結論付ける。ライラには脱いだドレスを持って退出してもらう。夜会から帰って早々ライラに愚痴っていたが、ちょっと泣きそうだった。


 わたしってそんなに魅力無いのかしら……。


 あのどっしりとした身体。何時でも抱きしめてその柔らかい腕に閉じ込めて貰いたい。モチモチしてぷにぷにして温かくて……! 堪らなく興奮する!

 ずっと触っていたいのに、レイは何時も困った顔で離れてしまうの。ちょっと反応して腰が引けてるところがまた……っ! 最高に可愛い!


 いけない、興奮し過ぎたわ……。


 我が辺境伯家は所謂女系。元々女児ばかり生まれやすく、男児での爵位の継承が難しかった為だ。

 母は身体が弱く、わたし1人しか子供が産めなかった。という事は、わたしの産んだ子供がそのまま後継になるという事だ。婚前、婚姻後に拘わらず、わたしが産んだ子供。それこそが後継の証。

 16歳でデビュタントを終えているわたしは、既に一人前の女性。それに女性は16歳、男性は18歳で成人する。レイは何時でもわたしに手を出して良い状態だ。とはいえ学生のうちは婚姻を控え、卒業してから結婚する風潮ではあるのだが……。


 わたしは卒業なんて待てない!くんずほぐれつレイを堪能したい!


 あの肉厚な指で、もっと色々触って欲しいし触りたい。上目遣いで見つめてみたり、更には目を閉じてみたり、果ては色々当てているのに! レイは! レイモンドは! ちっともそんな雰囲気になってくれない!

 性的に健全なのは知っている。後継に関わることだからそこはしっかり調べてある。……という事は。


 やっぱりわたし、魅力、無いのかなぁ……。


 

 

 










◆レイモンド・エリッツィオ


 どっしりしたソファーに身を沈ませて、僕は物凄く落ち込んでいる。今日の夜会には王太子殿下が来ていた。銀糸の髪に青い瞳、程よく鍛えられた細身の身体。そして更にはイケメンだ。僕なんかがたちうちできないのなんて分かってた。それでも実物を目の前に見ればため息もでる。

 婚約者のアンガスティ公爵令嬢のフィリスティーナ様と、仲睦まじいのが唯一の救い。だって、ローザを盗られる心配が無くなるからね。……女々しいなぁ。


 王太子殿下は僕と同じ18歳。そりゃもうお年頃真っ只中だ。チラチラ向ける視線の先は、フィリスティーナ様の胸部。

 フィリスティーナ様、巨乳だもんね。そりゃ見るよね?

 他にも豊かな胸の女性は居たけど、フィリスティーナ様の胸だけチラチラ、チラチラ、チラチラ見つめるものだから、周りの人達は生温い微笑みを浮かべていた。

 女性はそんな視線に敏感だって言うけど、フィリスティーナ様は元来の穏やかな性格のせいか気付いてないっぽいのが、また、なんか、こう、青春だよね~。みたいな感じで、僕もつい半笑いの変な顔しちゃったよ。







 ローザは相変わらずモテモテで、男達からダンスに誘われていたけど、何時ものように全部断ってた。まぁ、僕に成り代わって辺境伯家の婿養子を狙う奴なんかも多いから、鬱陶しかったんだと思う。

 ローザは黙って立っていれば美人で、ニコッと笑えば可愛らしい。女性らしく成長した身体は、ボンキュッボンのナイスバディで、女神みたいに魅力的だ。ローザ自身の魅力に惹かれた男ももちろん多かったんだけどね。

 でもローザは僕の婚約者だ。このまま問題なく学園を卒業すれば、この美しくて可愛らしいローザは僕のもの。僕とだけ踊ってくれるのが嬉しくて、何時も安心していた。


「そうね、殿下は素敵だわ。本当に素晴らしいと思うもの!」


 聞かなければ良かった。

 今まで男性を褒めた事など無かったのに。

 仲の良い令嬢達が、誰が良い、彼が素敵。と女性らしい賑やかな話をする中で、何時もキョトンとしていた。何が素敵か分からないなんて言っては、友達に子供だなんだとからかわれて……。なのに。


 初めて男性に好意をみせたのは、周りの令嬢達の驚きようですぐ分かった。ちょっと通りがかっただけの物陰で、そんな場面に遭遇する自分が恨めしい。

 続きを聞く勇気が無くて、僕は足早にその場を去った。


 結局僕は、辺境伯家の種馬みたいなもので、何時でも取り替えられる様なちっぽけな存在で……。

 男爵の三男なんて、ローザの一言が無ければ辺境伯なんて上位貴族と縁づく事も無く、ましてやローザと婚約するなんて夢のまた夢だ。


 ローザ、可愛いローザ。本当は初めて会った時から好きだった。


 父は男爵の爵位を手に入れて間もなく、更に商売の地盤を固めるため各領地に赴き、領主への顔繋ぎや営業の為に走り回っていた。僕はその時まだ6歳で、良く一緒に連れ出されていたものだ。

 今思えば、成り上がりと下に見られることの多い新興貴族家。後ろ盾の為、その頃から尊い血筋の上位貴族と縁づく事を狙っていたのだろう。


 連れていかれる茶会では、デブだブタだとはやし立てられる。大人の目が無ければ子供達は残酷だ。

 だが、映画のような記憶でも、前世の記憶があったお陰で聞き流す事が出来た。一応、前世では成人していたからね。


 ローザに出会ったのはそんな茶会のひとつ。辺境伯家にほど近い、伯爵家の開いた茶会。


「貴方、ブタゴリラなんですって?」


 いや、ブタとは言われたが、ブタゴリラとまでは言われていない。

 その言葉にびっくりして振り返ると、そこには妖精みたいに可愛らしい女の子が居た。

 何故か蔑称を口にしながら、笑顔で横に座る女の子。彼女は如何にブタゴリラが強く危険で、最悪の害獣であるか話してくれた。


 あ、実在したんだ。ブタゴリラ……。


 ゴリラの体にブタの頭。それってオークじゃ……。と思ったが、名前はブタゴリラだそうだ。そのまんまだね。

 ゴリラの握力は人間の頭蓋骨を簡単に砕き、豚の鼻は200キロ程度のものも持ち上げ、食べ物に関する嗅覚は犬すら超える。

 雑食の奴らに食べ物と思われれば、ブタゴリラはどこまででも追ってくる。

 更に大きく育った個体には3mを超えるものもいて、そんな時は軍が出動して対応する程なのだそうだ。


 確かに危険だ。


「ブタゴリラなんてこわいなまえでよばれるなんて、貴方ってつよいのね! すてきだわ!」


 そんな言葉と共に僕の手をキュッと握ってくる小さい手。凄い人に出会ったみたいに目はキラキラ輝いていて、僕にはもうそれだけで充分だった。






 それから相変わらず茶会では馬鹿にされ続けたけど、彼女に会いたくて参加していた。でも結局、次に会えたのは4年も経った、彼女の婿候補決めの茶会の時だった。

 選ばれたかった。傍に行きたかった。でも周りはカッコ良い男の子達ばかりで……。彼女が5歳の時に会っただけ。もう忘れられてる。そんなふうに、結局僕は気後れして、会場の隅でお菓子を食べてたんだ。夢中になってるフリをして。……バカみたいだね。


 ローザが婚約者を決めるとき、既に王太子殿下はフィリスティーナ様と婚約していた。いくら辺境伯家ただ1人の後継とはいえ、ローザが王家に嫁ぎ、外縁から養子を迎えても良かったのだ。

 それでも、例え既に婚約者のいる殿下を諦め、僕を選んでくれたのだとしても、または、新たにローザの心を奪う男が現れたとしても、僕はこの、ローザの婚約者という地位を手放すことはできない。


 ローザが選んでくれなければ、会場の隅で気後れしていただけの僕なのに、都合の良いことばかり言ってる。でも、一度手にしてしまえは手放せない。


 ローザ、僕、ブタゴリラみたいに強くなったよ? 剣術も、騎士団長の息子にだって勝てるんだ! ……痩せなかったけどね。


 ローザに嫌われないためなら、ずっと紳士でいるよ? 安心して傍に居れる、完璧な紳士でいる。だから、だからローザお願いだ。このまま、君と結婚させて欲しい……。















◆ロザリエッタ・リシュナー


 我・慢・の・限・界・だ・わ!


 ムラムラする。我慢し過ぎてレイを見るだけでムラムラする。

 そのぷにぷにの身体に色々擦り付けたい。そりゃもう色々擦り付けたい! 全身ピッタリくっ付いて、スリスリ、モミモミ、そのムッチムチな身体を堪能したい!

 なんならそのまま卑猥な部分まで擦り付けたい。……いや、流石にそれは閨の中まで我慢しなくちゃよね。うん。


 適度な運動に栄養のある食事。睡眠のゴールデンタイムをしっかり補完した睡眠で育て上げたこの胸。フィリス様には負けるけど、立派に巨乳と言える。

 ムニッと押し付ければ、腰が引けてちょっと前屈みになるレイ。


 それって反応してるよね!? 性的対象に見てるよね!? 完全に周りに人居ないし、婚約者なんだし、グイッと来ちゃって良いのよ!? なんで離れちゃうの!?

 ……なんなら押し付けてくれても良かったのに!


 レイの紳士な態度がどうあっても崩せない!!


 これで反応すらしてくれなかったら、既に打ちのめされて諦めてたかもしれない。

 どうにかあの素晴らしいぷにぷにを思う様堪能する術は無いものか……!








 だと言うのに! 何とも信じられない話を聞いた。レイと、男を侍らせている、と噂の男爵令嬢が、会っている……というのだ。

 貧しい下位貴族では稀にある話、彼女は高級娼婦を目指していて、貴族の集まるこの学園に顧客確保と人脈作りの為に来ている。

 娼婦といえど高級ともなれば、外交の接待を任されたりと国の信頼も厚く、下手な上位貴族より権力を持っていたりするものだ。


 そんな高級娼婦志望の令嬢とレイが会っている? まさかそのぷにぷになお腹を触らせたりなんてしてないでしょうね!? レイはわたしの婚約者なのよ!

 それとも娼館? 娼館に行きたいの!? わたしに手を出さないのに!? ……もしや、愛人にしたいとかじゃ、無いでしょうね……?


「……話、付けてやるわぁ……! フッフフフ……フフフッ!」


 ただの噂話だと言うのに、わたしは鬼気迫る勢いで、噂の男爵令嬢、マリアンヌ・グリモールを呼び出した。色々溜まり過ぎて周りが見えていなかったのだ。


 結果、わたしはレイの態度の訳を知る。


 レイはわたしが王太子殿下の事を好きだと誤解していて、普段のアプローチは無邪気な何の下心も無い偶然だと思っていたらしい。ごめんね? 下心どころか欲望まみれだったわ……。

 そんな私に手を出して嫌われたくなくて、どうにか性的欲求を我慢してた……って、何それ可愛い! それならもう遠慮は要らないわよね? だって両思いだもの! 両思いだもの!!

 ……女豹のごとく追いかけていたのに、それで遠慮していた……だとぅ!? って今の誰よ!


「誤解してごめんなさい。さっそくレイと話してみるわ! ありがとう!」


 レイがマリアンヌ様と会っていたのは本当だったが、わたしとの関係について相談していただけだったのだ。マリアンヌ様にお礼を言うと、彼女は、お気になさらず。と、死んだ魚のような目で見送ってくれた。














◆レイモンド・エリッツィオ


 ローザに、大事な話がある、と呼び出された。


 正直帰りたい。まさか婚約解消とか言われるんじゃ……!

 考えが悪い方に行ってる自覚はある。でも、改めて呼び出されるなんて初めてなんだ。


「さ、お嬢様がお待ちです。どうぞこちらへ……」


 ローザの侍女のライラが先導してくれる。

 てゆうか、ここ、ローザのプライベートルームじゃない? そんなに周りに聞かれたくない話があるの!?

 戸惑っているあいだに、無常にも扉が開かれる。もう、入るしかない……。


「……ローザ、来たよ。それで、大事な話って……」


 僕が部屋に入るとライラが退出しようとする。

 ライラ待って! 1人にしないで! って扉閉めた!? え? 2人っきりなのに!?


「レイ!……待ちくたびれたわ」


 密室に2人きり。扉の閉まる音に気を取られた隙に、僕の手が絡め取られた。

 ふにっとする触感。凄く気持ちがいい。


 そして気付いた。……胸触ってる! いや、触らされてる!? てかちょっと思わず揉んじゃったし!


「ロッローザッ! どっどうしたの!? ネグ……ネグ……ネグリジェだし!」


 ローザはネグリジェだった。ネグリジェで胸揉ませてくれるってどんな状態!? ここは天国なの!?


「レイ、誤解させてごめんなさい。……だから、ね?」


 何がだから? おっお腹サワサワしないで!? って掴まないで! 何をって言えないけど! ナニだよね!?


 もう何がなにやらさっぱり分からない! テンパってる間に押し倒された。……ローザのベッドに。って待って! 乗らないで! 押し付けないで! そりゃもう色々と!


 あまりの出来事にあわあわして言葉も出てこない僕。これ幸いと僕の服を脱がしにかかるローザ。え? これなんてエロゲー?


 これ以上は流石にダメだ! 意を決して突き放そうと……。する前に口を塞がれる。しっ舌! 唇舐めないで! 本当待って! これ以上は、これ以上は本当無理! 襲っちゃう! 襲っちゃうから! 待って! まっ……!



 あ―――――――――――――――――っ!!









 ハハッ朝日が眩しいや……。


 意外と穏やかな気持ちで窓の外を見てる僕。絶賛賢者タイム中。


 無邪気だと思ってたローザが、実は超肉食系とか思わなかったし。結局手を出してしまったけど、好きな女性にあんなに迫られたら、止めるなんて無理だよね?

 めちゃくちゃ色々揉まれたり撫でられたり擦り付けられたりしたけど、なんかそれ以上に無茶苦茶弄り倒した気がする。我慢に我慢を重ねた結果暴走しちゃった感じだけど、最後の方はノリノリで貪っちゃったもんね。僕って結構スケベだったみたいだ。


 ……初めてで7回はやり過ぎだったかな?


 そんなこんなで、僕は誤解の真相を知る。

 結局あの言葉は、散財して一時領地を傾けさせた、彼女の祖父を思い出して言った言葉だった。


「そうね、(祖父と違って、地位に胡座をかかずに政務をこなす)殿下は(執政者として)素敵だわ。本当に(見習いたいくらい)素晴らしいと思うもの!」


 いや、そこまで細やかに行間読めないし! でも誤解で良かった!


 それにローザは覚えていてくれた。僕を素敵だって言ってくれた事。

 実はあの後、本当のブタゴリラが出て、怯える彼女を抱き締めていたんだ。ほんの子供のブタゴリラだったから、さっさと大人達が退治してくれたんだけどね。彼女は辺境領に暮らしてるから、ブタゴリラの被害が身近だったみたい。

 ……僕は可愛い女の子を抱きしめてることで頭がいっぱいで、ローザから聞くまで忘れてたんだけど、その時から僕の事好きだったって! ローザが僕の事を好きだったって言ってくれたんだ!

 それを聞いたせいでローザを貪る回数が増えちゃったけど、仕方ないよね?


 僕は幸せな気持ちでローザを抱きしめた。身動ぎするローザ。寝ぼけているのか、僕の胸に擦り寄ってくる。擦り付けられる胸。絡みつく足……。賢者タイム短くない?


 まぁいいや、今はこの幸せな時間を、もう一度堪能しようと思う。














◆ロザリエッタ・リシュナー


 隣で眠るレイの横顔を見ながらわたしは満足気なため息を吐く。無理やり始めた行為だったけど、最後はレイも自分から求めてくれた。睦言の中で誤解も解けたし、わたしは声を大にして言いたい。


 満・足・し・た!!


 レイが起きちゃうから言わないけど。

 初めて好きになった時が一緒だって分かって、何だか幸せな初体験だった。


 ……なんて本当は嘘。わたしはあの時よりもっと、も~っと前から好きだったもの。


 貴方がトラックから助けてくれたあの時から。


 貴方のおかげでわたしは無事で、わたしを抱き締めて守りながら儚くなっていく姿に涙が止まらなかった。太った身体で一生懸命わたしを包んで守ってくれて……。

 でもごめんね? 衝撃で緩んだ荷台から、鉄骨が落ちてきたのに気づかなかったの。だから言わない。貴方はトラックから女の子を守って死んだんだもの……。


 この世界で出会って、抱きしめられて、直ぐに貴方だって分かった。ぷにぷにの身体に包まれる感じが一緒だったし、気弱で、でもいざとなれば必死に守ってくれるのも一緒だったから。








 レイモンド・エリッツィオ。わたしの大切な大好きな貴方。

 どうか貴方がこの世界で幸せな一生を終えるように……。


 わたしが一生、そのぷにぷにごと愛し尽くしてあげますからね!!



お読み下さりありがとうございます。

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