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スキルが美味しいなんて知らなかったよ⁉︎  作者: テルボン
第6章 味方は選べと言われたよ⁈
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84話 再びデピッケルの街

デピッケルの道のりは順調に進み、8日目にしてデピッケルの手前までたどり着いた。

途中、幾度か魔物に遭遇したが難無く撃退する。カオリさんも起きていた時間帯があり、広範囲魔法を見せつけて、彼女の株が急上昇し冒険者達から絶賛されていた。


初遭遇の魔物は、鼻先が角のジャイアントモール(巨大モグラ)と、スライムイーター(アリクイに似た魔物)で、どちらも【弱肉強食】を使い、同技能以外では【魔導感知】と【溶解耐性】【強化胃酸】を食奪獲得(イートハント)した。【魔導感知】はモグラの魔物が持っていた技能で、目が退化したモグラはこの技能を使い獲物を捕食していたようだ。

使用してみると、今までの気配感知とは違い、生物に流れる魔力を感知し、姿だけでなく魔力を持つ量で色の濃さまで変わる。それは、サーモグラフィーの画像に似ている。

気配感知の上位互換らしく、経験値として吸収し魔導感知LV 2になった。

スライムイーターは二足歩行するアリクイ顔の魔物で、主食がスライムだったようで、溶解液と毒には耐性があったようだ。【強化胃酸】は体内に吸い込んだスライムを溶かす程の胃酸のようだ。これなら、鉱石や金属も食べて大丈夫そう…かな?



「アラヤさんが、川にアースクラウドで橋を作った近道のおかげで、明日にでもデピッケルに着きそうですね」


普段なら大陸を横切る川に沿って、石橋がある領地の境まで南下しなければならないのだが、アラヤが即席の橋を用意したのだった。


「早いとこ着いて、お風呂に浸かりたいなぁ」


「良いですね。良かったら、また家にいらして下さい」


「良いの?やったね!ガルムさんところのお風呂は広いから、また入りたかったんだ」


ソーリンと2人、御者台で操縦しながら着いてからの話で盛り上がってると、アラヤの脳内に【操縦士】の技能を修得しましたと通告が来た。

やったね!この操縦士という技能、乗り物認定なら生物や機械でも効果がある。もしも、前世界に帰ったなら戦闘機のパイロットにもなれるというわけだ。


「暗くなってくる前に、今日はこの辺りで野営をしようか。この場所からなら、明日の朝に出発しても昼頃にはデピッケルに着くだろう」


「賛成~。今日も夕食が楽しみだ~」


すっかりサナエさんの料理に惚れ込んだ冒険者達。食材はまだ亜空間に沢山あるんだけど、日持ちし過ぎている点を疑われたく無いので、5日を過ぎた辺りから肉や果物は現地で探してもらう事にしたのだ。


「兎ではダメだ、量が少ない。今日はサナエちゃんの最後の手料理だからな!スタン、鹿か猪を狙うぞ!」


「私は木の実と香菜を探すね~」


「毎回言うが、魔物が出たら呼べよ?」


嫌がらず、全員がやる気を出してくれているから助かる。一緒に旅してみて、意外と良い人達だったと素直に思ったよ。


夕食の時間も、今日で最後とあって宴会のように賑やかになる。


「いや~、熊見つけた!と思ったらフォレストベア(魔物)でガックリだったけど、熊肉より意外とあっさりとした味でびっくりしたぜ」


「そりゃあ、サナエさんの腕が良いからだろうな。魔物肉は、下処理が大変だと友人から聞いた事がある」


「ねぇ、クララちゃん。今日も撫でて良い?」


「お、俺も…」


今日も、アルバスとアニに毛を撫でられるクララは、尻尾を振り振りとはしない。例え気持ち良くても、尻尾を振るのはアラヤだけと決めてるらしい。


「アラヤ君、今日も剣の訓練をするかい?」


「はい、お願いします」


これは、アルバスから言い出した事で、4日連続で夕食後に2人は木刀で打合いをしている。

ここでもバルガスさんの教えが活きていて、剣技では上にいくアルバスに何とか食らいついてる。


「魔法剣士で、それだけの剣の腕を持ってるのは、ちょっと狡い気がするな」


「アルバスさんも、魔法使えるんですよね?そちらも鍛えれば良いじゃないですか」


「俺が使えるのは、土属性のアースシールド(土盾)だけだからね。うちのパーティには魔術士の仲間がいるし、他を覚えてもあまり使う必要がないよ」


「そうですか」


手段が増える事は、パーティとしてもプラスになると思うけど、これ以上口出しするのは余計なお世話ってもんだよね。


翌朝、予定通りに出発して、昼前にデピッケルの入り口まで辿り着いた。

一度来たことがあるとはいえ、デピッケルの街並みには、無言で見入ってしまう。今度、またあの展望所に行く事にしよう。


馬車はバルグ商会の倉庫で止まる。従業員達がやって来て荷降ろしを始めると、冒険者達はガルムさんに連れられて事務所へと入って行った。


「これで、護衛依頼の件は半分は任務達成です。お疲れ様でした」


「はい!こちらとしても、とても良い任務でした」


「王都への帰りの任務は、3日後の出発を予定しています。よろしいでしょうか?」


「はい、問題ありません。当日まではゆっくり観光でもしときますよ」


報酬の金貨の袋を受け取ると、4人は笑顔で手を振り繁華街へと消えて行った。

3日間滞在するなら、繁華街でバッタリまた会うかもしれないな。


「さてと、【土竜の帽子邸】に宿の手配に行こうか」


アラヤ達は、バルグ親子に後でお風呂を借りに行くと告げて、前回泊まった【土竜の帽子亭】に向かった。因みにカオリさんは仮死状態だったので、今は亜空間収納に入っている状態だ。


「こんにちは~」


「はーい、いらっしゃいませ?って、お客さん久しぶりだね!また来てくれたんだね」


店主のカカさんは、アラヤ達を見るなり思い出してくれたみたいだ。


「また2部屋を5日間頼みたいんだけど」


「ああ、空いてるよ!おや、今回は赤髪のお姉さんは居ないんだね?代わりに従獣かい。まぁ問題を起こさなきゃ、うちでは従獣を泊めても構わないよ」


メリダさんと変わって、今回はカオリさんとクララがいるわけだが、カオリさんの姿は当然無いので三人と一匹で借りると思ったらしい。


「5日分で、大金貨2枚と金貨5枚でしたよね?」


「ああ、ちゃんとあるね!部屋は前回と同じで良いね?荷物運びは…って、全員手ぶらだね。ネネの出番は無いか」


しまった。運び仕事が無ければ、チップが渡せないな。まぁ、何かお使いを頼んで渡すとしよう。

二階の部屋に行き、部屋割りを決める。まぁ決めるまでもなく、カオリさんとクララが別部屋だ。クララが何か言いたげだけど、大人しく従っている。


「アラヤ君、この宿に5日泊まった後は、どうするんですか?」


「しばらくデピッケルを拠点としたいから、手頃な家を買おうと思ってるんだ。その家を、5日以内で探してみようって事だよ」


「家ですか。ヤブネカ村の家よりは大きい家が良いですね」


「まぁね。最低でも、六畳が三部屋は欲しいね。とりあえず、不動産屋に行ってみようよ」


中古物件を探しに、アラヤ達は不動産屋を一軒一軒回って行く事にした。因みに不動産屋は住宅街の入り口にある。

今日選んだ不動産屋には、手頃な物件は無くて、新築建売住宅ばかりであった。

それでも一応、新築の5、6件を見て回ったが、納得できなかった。


「今日はこれくらいにして、バルグさんの家にお風呂借りに行こうか」


住宅街を更に上へと登り、豪邸通りへと向かう。バルグ邸の前で、執事のバスティアノさんが待っていた。


「お待ちしておりました、アラヤ様」


「お久しぶりです、バスティアノさん」


バスティアノにより門が開かれ、アラヤ達は中へと入って行った。

その様子を、遠巻きから見ていた馬車がある。


「あれがバルグ商会に新たに入ったと言われている者達です」


御者から説明を聞いた馬車に同席しているドワーフの男が、見てるだけでイライラすると、双眼鏡を隣に座っている人間の男に渡す。


「フッ、まさか3人も生きていたとはな…」


その男は、細く釣り上がるキツネ目を少し開き、とても楽しそうで気味の悪い笑顔を見せた。


「さて、楽しみが増えそうだね…」


その馬車は、更に奥の豪邸へと入って行った。その豪邸の門には、ヴェストリ邸と書かれてある。デピッケル商工会の会長を務める、ヴェストリ商会の社長の豪邸だった。

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