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スキルが美味しいなんて知らなかったよ⁉︎  作者: テルボン
第6章 味方は選べと言われたよ⁈
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83話 嫁入り審査会議

昼食の時間には、サナエさんがカオリさんからレシピを教えてもらい、この世界の素材を使用したニラ鯖のソテーと、豚バラ肉の甘辛炒めを作った。

前世界の素材と、この世界の素材の特徴の違いを、カオリさんの知識が全て解決してくれる。つまり、調味料やソース作りも、より前世界の味に似せられるという事だった。


「あれ?反応が増えてると思ったら、1人増えてる」


ザップが、いつのまにかカオリが居る事に気付いたが、自分の仲間達は配られた料理に夢中で気にしていない。


「こんな内地で魚?魚料理だよ⁈しかも美味っ⁉︎何これ、止まんない!」


「この肉料理のソースも甘いのにピリッとしていて美味いぞ!」


ここにきて、サナエさんが遂に料理LV 1の技能を修得した。毎度、アラヤの為に作る量は多かったし、料理のレパートリーも増えて技術も向上したおかげだろう。


「俺も結婚して無ければ、申し込んでるレベルだな」


「おっさんが何言ってる?奥さんにチクるぞ?なぁ、リーダー。俺と2人で後でアタックしに行かないか?」


「え、いや俺は…」


「何だよ、好みじゃなかったか?じゃあ、調教士(テイマー)の子ならどうだ?」


「ザップ、そういう事じゃ…」


超聴覚で丸聞こえなんだけど、こういう時に先にこちらから結婚してますって言うのも、なんだかおかしい気がする。


「ねぇ、アラヤ君」


拳闘士のアニが、料理の皿を持ったままアラヤの隣に座った。


「アラヤ君さ、以前、何処かで会った事ない?」


それは、新手のナンパですか?…じゃなくて、そんな記憶は無いんだけど。


「いえ、王都で見かけたとかじゃありませんか?」


「ん~、そっかぁ。気のせいだったかな?あ、そうだ!アラヤ君てそんなに強いならさ、君以外の強い人でししょって人知らない?」


「ししょ?図書館の司書の人かな?」


「ううん、違う。ちょっと前にね、フユラ村ってところに討伐依頼で向かったんだけど、その討伐対象だったゴブリンキングが先に倒されててね。先に倒した人ってのが、ししょさんて名前なんだ~。小さな女の子が教えてくれたんだけどね」


あら~、それってばハルちゃんだなぁ。しかもキング倒したの俺だし。そういえば、ハルちゃんが俺の事を、ししょって言ってたな。


「そうなんですね。すいません、その人の事は知りません」


「そっかぁ、仲間に誘いたかったのに残念。でも、アラヤ君でも良いよ?お姉さん達と一緒に冒険する気ない?」


「いえ、お誘いは光栄ですけど、冒険者になる気はありませんので」


頑なに断るアラヤに、アニはむ~っと口を尖らす。そして、視界の端にいたソーリンに目が止まると、今度はソーリンの隣に座る。


「ねぇねぇ、お兄さんさ、ひょっとして槍の戦闘職だったりする?」


「いえ、私の職業は商人ですよ。それに、お兄さんでもありません。私はドワーフですが、まだ10歳ですからね。アラヤさんの方が、17歳と大人ですよ?」


「えっ⁉︎私より歳上なの?全然見えないよ⁈」


「失礼だと思いますよ?」


いいんだ、ソーリン。もはや慣れっこさ。きっと背が伸びないまま、ネクタイの長さのあの人にも負ける大人になるんだ。

悲しくないやい、グスンと悲しむ振りをする。

その時、男性陣達から驚きの声が上がった。


「ええっ⁉︎2人共結婚してるの⁈しかも、あの少年と⁉︎」


嫁さん2人が揃って結婚指輪を見せている。とても落ち込むザップは、キッとアラヤを睨む。いや、睨まれましても困るんだけど。


「さぁ、息子や我が社の有望な人材の引き抜きはそれくらいにしてもらいましょうかね?」


怖い笑顔で仁王立ちするガルムさんに、Aランクの冒険者達も流石に平謝りしかできなかった。

後片付けを済ませて、再び馬車に乗り出発する。


「私だけ、口説かれなかったんだけど?」


少し進んでから、カオリさんがボソッと愚痴る。そりゃ、仕方ないよね。戦闘時には居なかったし、食事中は無表情で食べてたし。


「それはそうとカオリさん、昼食前の話なんだけど、嫁入り審査会議って何の事?」


すると途端に目が泳ぎだし、カオリさんはそっぽを向く。本人の口から聞きたかったけど、らちがあかないのでアヤコさんを見る。


「アヤコさん、説明して?」


「…はい。簡潔にに説明しますと、彼女とクララがアラヤ君のお嫁さんになりたいと頼んで来ました」


アラヤは、はぁ~っと深いため息を吐く。その様子にクララの尻尾もしゅんと縮こまった。


「いや、本人省いて話進めたらダメでしょ?大体、カオリさんは俺の事嫌いだったんだよね?」


「えっ?き、嫌いってわけじゃなくて、ただ単に許せないって思ったって言うか、…ううん、嫌いじゃないよ⁈」


「はい、そんなんじゃダメ。好きでもないのに結婚したいって、玉の輿を狙ってる人みたいじゃないか。俺は君の事をあまり知らないのに、結婚したい気になると思う?」


「わ、私は知ってるよ?朝はごはん派で三回おかわりするとか、帰り道で食べるのは、お好み焼き以外にもコンビニチキンも食べてるとか…」


何それ、何で俺の1日のルーティーンを知ってるの?俺の事は避けてたんじゃないの?背筋が冷やっとするよ。


「彼女は、アラヤ君を気にするあまり、ストーキングしてたんです」


「えっ、怖っ。大体、俺は、無くした本とかは、ちゃんと弁償して返してたよ?俺を尾ける必要無くない?」


「にいやが、本を入院してた母親に読ませる為に借りてる事も、荒垣達に本を捨てられて無くした事も知ってる。知ったから余計に気になってたの」


「り、理由はともかく、俺は君の事を成績が良いけど友達が居ない人としか知らない。だから、結婚なんて考えられない」


彼女には悪いけど、ここははっきりと断っておこう。すると、アヤコさんも賛同してきた。


「ええ、私もお断りしますと前回の会議で言ったんです。でも、サナエちゃんが反対したんです。彼女は1日9時間しか生きられないのに、可哀想だって。そんな彼女の面倒を見れるのはアラヤ君しかいないって言うんです」


「いや、だからって、結婚する必要は無いじゃん…」


だって、仮死状態時の保護と、ある程度の生活の手助けをすれば済む話だよね?


「うう、2人には無理矢理迫られて結婚したくせに、私の事はダメなんだ…。そんなに私の事は嫌いなのね」


「嫌い…ではないけど、好きというわけでもないかな」


そんなアラヤの通告に、カオリは眼鏡を外して泣き出してしまった。サナエさんが彼女の背中をさすりながら、悲しそうな目でアラヤを見る。


「……」


「アラヤ君、彼女は断るにしても、クララはどうするんですか?」


「え?クララもダメでしょ。クレアさんから預かってる身だし、いずれはコルキアに帰らなきゃならないからね」


クララも、口をあんぐりと開けながら涙を流し出した。前足で目を隠す姿は猫が顔を洗っている姿と似ている。


「私、帰らない。母は、子孫増やせ、言った」


「それなら、同じ人狼か銀狼をつがいにするべきだよ」


「嫌、ご主人様、が良い!」


クララはそこで人狼へと変身した。

銀髪の巨乳獣美少女が、紐サラシと紐パン姿でアラヤを押し倒す。


「だ、ダメなものはダメ!」


アラヤは押し返そうにも、触れる場所が無いので顔を背ける。目のやり場にも困るな。


「アラヤ君、とりあえずこの事は保留でどうですか?」


アヤコさんが、クララをゆっくりと離れさせて、俺の腕を引っ張って起こす。


「保留?」


「はい。ただ断るのでは、後々の生活に影響が出てきます。彼女達にもアラヤ君に好かれる為のチャンスを与えて下さい」


「…うん、分かった。でもアヤコさん、アヤコさんはそれで良いの?」


「はい。アラヤ君は、独り占めして良い人では無い事が分かりましたから」


アヤコさんは、菩薩像のような優しい笑顔でそう答えた。

内心では、正室の座は私で揺るぎないものになると思ってるに違いないと、サナエは冷ややかな目で彼女の背を見ていた。

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