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スキルが美味しいなんて知らなかったよ⁉︎  作者: テルボン
第4章 魔王と呼ばれているなんて知らなかったよ⁈
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46話 俺、魔王?

メリダさんとガルムさんは、二人で何かを話し合って今後の対応を決めたらしく、成人式の際にはガルムさんと友人という立場になるように言われた。


「一体、どういう事か説明して欲しいんですけど」


バルグ商会を出た後、ガルムさんの指示で四人はバルグ商会が所有する物流倉庫の一つに足を運んでいた。


「ああ、すまないね。アラヤを領主様に取られないように話あってただけさ」


「ちょっとメリダさん、その話詳しく!」


「ど、ど、どういう事ですか⁉︎」


二人がメリダさんに詰め寄る。その光景に、周りの人達が何事だと気になり始めたので、中の休憩所を借りさせてもらった。


「順追って説明するとね、ヤブネカ村はポスカーナ領の領地にあるの。そこの領主が、マジドナ=イヤネン男爵といういけ好かない男でね。ヤブネカ村やフユラ村が凶作や飢饉に苦しんでいた時も、自分の領土なのに一切の援助や手助けも無かった。そのくせに、税収は毎年取るんだよ?自分が居る街だけが潤っていれば、遠方にある村になんて興味は感じないんだ、その男爵は」


「どこにでもいるんですね、ダメな政治家みたいな人」


「まぁね。でも問題なのは、急に現れたアラヤの存在さ」


「俺?」


「フユラ村が取った、冒険者ギルドにゴブリンキングの討伐を依頼した件で、キングを討伐したアラヤの存在がバレる可能性が出てきた」


「それ自体は別に問題無いのでは?」


「むしろ、アラヤ君が有名になれば、村にも訪問者や住民が増えるかもしれませんよ?」


「貴女達はそれで良いかもしれないけど、世間はそう考えないわ。キングクラスを倒せる人材を、軍や冒険者ギルドが放って置かないもの。もしそうとなったら、暮らしは良くなっても自由な行動はできなくなるわよ?」


「それは、アラヤが可哀想だ。アラヤには好きな事をやって欲しい」


「そうですね。軍で戦地へ強制的に送られたり、ギルドから厄災級な魔物討伐を依頼されたりとか、悲惨ですものね」


サナエさん、素直に嬉しいよ。アヤコさん、悪いイメージが強過ぎない?


「それで、どうして領主様が関係してくるんですか?」


アラヤを利用しようとする動きが出て来る事は分かった。しかし、そこで特に領主を危険視する意味が分からない。


「理由は、アラヤが鑑定できないステータスを持っていると言えば分かるかな?」


「「「えっ⁉︎」」」


三人は顔を見合わせた。


「その様子だと、二人も知っているようね」


「いえ、アラヤ君が特殊な技能(スキル)の持ち主なのは分かっていましたけど、鑑定できない点は知りませんでした」


「それって、何かマズイんですか?」


「…この際だから教えておくけれど、鑑定でステータスを見る事ができない者達は、世界で14人しか居ないの」


「14人…⁈」


何、その決められた数字⁈俺は一体、何に選ばれてるの?


「まぁ、それでも鑑定LVが5以上ならステータスを見れるらしいけど、そんな最高位鑑定士は教団の最高幹部にしか居ない。しかも、その呼び出された者達は、召喚時にその場に居る最高位鑑定士によって、その者に合った照合の地へと保護移送されるの」


「召喚⁉︎」


「そうよ。貴方達、滅亡した国の貴族なんてのは真っ赤な嘘で、本当は異世界から召喚されたんでしょう?私もガルムさんも、最近になって確信が持てたんだけどね」


三人は驚愕して言葉を出せない。アラヤを鑑定できないというだけで、貴族の嘘を見抜かれて、しかも異世界人と認識されていたなんて。


「アラヤ、大事な事だから本当の事を答えてね?貴方の職種は大罪?それとも美徳?」


大罪?美徳?どこかで聞いたようなワードだな。職種の事を聞かれているのだから、名前を言えばいいんだよね?


「暴食王です…」


「ん!【大罪の魔王】か…‼︎」


「⁉︎」


魔王⁈しかも大罪の⁉︎生まれてきてごめんなさい的な展開なのか⁈分からない事だらけで頭が混乱する。


「そうか。尚の事、領主に知られる訳にはいかないな。今は、何故か違うステータスを表示できるようになってるみたいだけど、上級鑑定士には看破されるからね」


「あの、その領主様はアラヤ君が魔王だと知ると、何かするんですか?」


「ああ、幽閉して【勇者】を呼ぶだろうね。奴はフレイ美徳教信者だからね」


「俺、勇者に討伐されるの⁈何も悪いことしてないのに?」


アラヤは頭を抱えて落ち込む。そんなアラヤをサナエとアヤコが抱き締める。


「そんな事はさせない」


「ええ、絶対に!」


「別に、7人居る【魔王】の存在が悪いとは決まってはいないのよ?」


「7人?魔王は7人も居るんですか?」


「そうよ。二百年を迎える度に、この世界には7人の勇者と7人の魔王が召喚される。勇者はフレイ美徳教団が、魔王はフレイア大罪教団が召喚の儀式を執り行ってきたらしいわ。そして、今年は前回の召喚から二百年目の年だった」


「ちょっと待ってください。一体、何のために私達は召喚されたんですか?」


「魔王と勇者が召喚される理由は、両教団共に同じで、「どちらがより優れているか。どちらがより世界を改変することができるか」よ。その方法は様々で、殺し合いも含まれるわ。貴女達については、残念だけど巻き込まれたとしか言い様がないわ…」


その事実に二人も打ちのめされる。勝手な理由で召喚された挙句、その7人以外のクラスメイト達は巻き込まれた被害者だった。


「俺、俺、…ごめん!」


二人に申し訳無かった。ただただ頭を下げる。俺にはそうする事しかできない。しかし二人は、アラヤが謝るのは違うよと頭を上げさせる。


「アラヤは悪く無いわよ。悪いのは大罪教団の上層部のやり方ね。本来、かなり昔には7人だけの召喚を行なっていたという記録があったのに、前前回辺りからまとめて召喚した挙句に、召喚場所を特定されない為のデコイを用意するようになったようなの」


「でも、メリダさんはフレイア大罪教の信徒でしたよね?貴女も、アラヤ君を教団に引き渡すんじゃないんですか?」


アヤコさんの心配も当然だ。領主が勇者の為に動くように、メリダさんも教団に知らせる可能性がある。


「私とガルムさんは、君が魔王じゃなくて勇者だったとしてもそんなマネは絶対にしないよ。例え信徒であっても、今の上層部がやっている事は許せないし、助けたいと思っているからね」


「助ける?」


「そうさ。家族を助けるのは当然の事だろ?貴方達はもう、ヤブネカ村の家族と同様に私の家族だからね」


「メリダさん…」


「メリダさん…」


「メリダお母さん…」


「うん、うん…って、誰がお母さんだよ!そりゃ産んでてもおかしくないけれども!」


後半半泣きで怒ったけど、三人をしっかりと抱きしめるメリダさん。うん。この人は信じても良いのかもしれない。


「あ、誰か来ますね」


気配感知に反応があったので、四人は急いで平静を取り繕う。

ノックが聞こえ、入って来たのは受付の女性だった。一つの箱を抱えている。


「お待たせ致しました。ガルム社長より、お渡しするように言われている品をご用意しましたので、どうぞご確認ください」


箱の中から机の上に置かれたのは、一枚のカードと刺繍が施された襷、2冊の古い本、3つの指輪だった。


「それでは御説明させていただきます。先ず、ムシハ連邦国にあったナーサキ王国の貴族襷、それと貴族達が着用していた指輪が3点。王国の歴史書と貴族名簿本。あと、アラヤ=クラト様の銀行のカードでございます」


「銀行のカード?」


「はい、ラエテマ王国内にある商工会ギルドの銀行を利用できるカードでございます。アラヤ様から今回御購入頂いた、こちらの6点の代金は支払い済みとなっております」


「はい。ありがとうございます」


一応、礼は言ったけど、お金無いのに全部購入した事になってるの?それに、ナーサキ王国ってどこ?しかも、いつの間に銀行登録したの?

(ごめんね、昨日、寝てるアンタから登録に必要な髪と爪を取って渡したんだ)

 メリダさんが小声で教えてくれた。その為に相部屋にしたのかもね。


「アラヤ君、再び私達の故郷の品を目にできるなんて…流石、バルグ商会は品揃えが素晴らしいですね」


「え?あ、ああ。頼んで良かったよ」


突然、アヤコさんが芝居掛かった話し方になり、戸惑うも従ってみる。すると、アヤコさんが念話を繋いできた。


『彼女に疑われない為にも、私達三人はナーサキ王国の生き残りという設定で通すべきです』


『分かった』


「これで、散り散りなった叔父様や叔母様の所在が分かると良いのですけれど…」


「ムスカ様やアステム様…きっと探し出すさ」


貴族名簿本を開き、適当な名を呼んでみる。それを見ていた彼女は、深く頭を下げて笑顔を見せた。


「アラヤ様、ガルム様の御友人である貴方様に、我が商会は協力は惜しみません。また御要望の品がお有りの際には、是非我がバルグ商会をご利用下さいませ」


「ありがとうございます。では、ガルムさんに宜しくお伝え下さい」


バレてもおかしくない様な三文芝居をして、その後は急いで宿屋まで帰ってきた。


「ナーサキ王国の生き残りと信じてくれたかな…?」


「多分、大丈夫でしょう。アラヤとアヤコが本をスラスラと読めた事で信じた筈よ」


「へ?」


「だって、その字は私には読めないよ?」


言語理解を習得している二人には読めて当然だったようだが、どうやらムシハ連邦国の言語文字は頑張って覚えたラエテマ王国の文字とは違うらしい。


「これから、成人式の日までには、三人はナーサキ王国の歴史と文化、サナエは言語と文字もだけど、みっちり覚えてもらわなきゃね!」


三人は、ナーサキ王国の貴族になりすます為に、これから連日で猛勉強をする事になった。

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