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スキルが美味しいなんて知らなかったよ⁉︎  作者: テルボン
第3章 スキルが美味しいなんて知らなかったよ⁉︎
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35話 鑑定士の存在

予定通り夕方前に目的地に着いて、皆んなで野営の準備を始める。準備と言っても、荷馬車内に寝床を確保するのと、火を起こして夕食の準備をする事ぐらいだけど。


「これは凄いね!私を描いてくれたのかい?」


モドコ店長が、先程タオ君が描いたデッサンを絶讃している。


「タオ君、この木版を私にくれないかね?そうしたら、君に絵の具をあげようと思う」


「絵の具ですか⁈」


「うん。その絵の具を使って、これに色を付けて欲しいな」


タオ君の才能を認めてくれたみたいだね。


「おーい、アラヤ。焚き木用の薪を拾ってきたぞ。火を起こしてくれ」


気配感知で周辺に魔物が居ない事は分かっていたけれど、一応ザックスさんに薪拾いをしてもらっていた。

先ずは石を並べて円を作り、そこに薪を風通しの良い形に並べてフレイムで火をつける。

そして、亜空間収納から鍋や串を取り出して、鍋には油を少量入れて玉ねぎを炒め、ワイルドボアの肉を取り出して、手頃な大きさに斬り分けて、串を刺したら焚き火の近くに立てて置く。

鍋に水を入れ、サナエさんが事前にカットしてくれた野菜を投入して煮込む。亜空間収納内では時間が経過していないので素材は全て新鮮なままだ。


「ん?新鮮なまま?」


それなら、こんなやり方が可能かもしれない。先ず魔物を発見したら、体の一部を斬り取り亜空間収納へと入れて、誰にも見られる心配の無い時に食べる。

このやり方が可能なら、無理に一人になり食べに行く必要は無いし、好きな時に快感を得られる。おお、最高じゃないか。


「師匠、沸騰してるよ?」


「あ、ああ。じゃあ、仕上げにヤブネカ村食堂の秘伝のソースを入れて出来上がりだ」


今日の献立は、ワイルドボアのシュラスコと、野菜たっぷり煮込みスープだ。

全員に取り分けて、その時に両手にクリーンを掛ける。


「「「いただきます」」」


「美味しい!」


「んっ!」


うん、ちょっと癖があるけど充分美味しいね。皆んなもバクバクと食べて満足気だ。

さぁ、食事も後片付けも終わったら、魔法と技能(スキル)の練習を始めようかな。


皆んなに技能名と使い方を教えていたら、モドコ店長が隣に座って皆んなの頑張りを眺めている。


「アラヤ君も、村長と同じ鑑定持ちだったとはね」


「あんまり口外しない方が良いと思って、黙ってました」


「うん。あの村では村長が居るからそれで良いと思うよ。それとね、もし王都や大きな街に行く場合は、そこには鑑定士と呼ばれる人達がいるから、邪魔しないように気をつけるんだ。鑑定士達は、その人の職業(ジョブ)・技能を教えるだけでなく、品質鑑定や素材鑑定を行う事で商売をしている。その需要は王家専属から冒険者ギルドや一般商店と幅広い反面、誘拐や命を狙われる危険も高いんだよ」


「分かりました。これからは、信用できる人にだけ鑑定結果を教える事にします」


「うん。練習の邪魔したね。あの子達はとても良い子達だから、よろしく頼むよ」


「はい。任せてください」


モドコ店長は、年寄りは先に寝るよと寝床に入って行った。


「…ししょ~。…そろそろ私の技能を教えて?」


後ろからハルちゃんが、服の裾をチョイチョイと引っ張る。


「うん、そうだね。ハルちゃんの技能を試すなら、先ずはアースクラウドで土人形を作ってみよう」


「…うん」


ハルちゃんが魔法を使うと、モコモコと土が盛り上がりハニワみたいな形になった。アラヤも似たような土人形を作る。


「次はその土人形に傀儡と念じるか唱えてごらん?」


「く、くぐつ!」


すると、僅かに土人形が震えた。どうやら成功かな?


「俺の方の土人形にも掛けてみて」


「…んっ!」


俺の土人形もビクッと震えた。うん、成功はしている。後はどう動かすかだけど、ここでもう一つの技能を使う。


「次は、おままごとを使うんだけど、ハルちゃんの人形と、俺の人形に別々の命令を念じてから唱えてみて」


「別々…ん~っ…おままごと!」


すると、俺の土人形が走り出し、ハルちゃんの土人形を追いかけている。しばらくグルグルと回っていたが、やがてハルちゃんの土人形の体が壊れて止まった。


「傀儡で物に命を与えて、おままごとで司令を与える事ができるみたいだね」


「…直ぐに壊れちゃった」


「アースクラウドの土人形制作で魔力をだいぶ使ったからね。もっと練習すれば魔力が上がって、強度と持続時間も上がるよ」


「…頑張る」


「ああ、今日はもうダメね。毎日、練習する時間を決めよう。魔力が枯渇するのだけは危険だから気をつけないとね」


「…むぅ」


口を尖らせてもダメね。ここは守らせないと、後々大変だからね。という事で、ハルちゃんにはおやすみしてもらって、次はタオ君の番だね。


「タオ君、だいぶ上達したね」


「ありがとうございます」


タオ君にはウォータの力調整を練習させていた。少し離れた位置に、木のコップと桶を置いて、そこへウォータを力調整して放つ練習だ。コップにはチョロチョロと細く弱く、桶には量を増やして放つようにする。それを交互に行うのだ。


「次は空中で水の玉を制止して 静止させてみよう」


先ずはアラヤが手本を見せる。チョロチョロと掌から真上に打ち上げて、そこでグルグルと一塊りの玉にしていく。その玉を離れた木に向けて飛ばした。

バシャッ!と強い衝撃が木に伝わる。当然、威力は抑えてあるけど、タオ君は驚いたようだ。


「やってみます!」


早速、掌から真上に打ち上げるが、留まることなくそのまま落ちてくる。感覚共有を使えば簡単に教えられるけど、こういう努力が一番必要なものだからね。

楽しちゃいけないよね?と考えたけど、神様が聞いたら、どの口が言うかと思われるよね。

4回程試したところで、タオ君の魔力が残り少なくなったので中止にする。


「タオ君も、今日はここまでだね。今からは毎日、最初の練習だけでなく空間認識やデッサンの練習もやらなきゃね」


「はい、ありがとうございました!」


「うん、じゃあそろそろ寝なさい」


おやすみなさいと、タオ君も寝床に入って行った。アラヤもそろそろ寝たいところなんだけど、ザックスさんが期待の眼差しで待っている。流石にほっとくわけにはいかないかな?


「皆んな寝てるので、夜空に向けての試し打ちになりますけど、よろしいですか?」


「ああ、構わないさ。教えてくれ」


ザックスさんの練習する技能はトマホークと大木断だ。ザックスの真上に、ライトの玉を幾つか放ち、離れて配置した。ザックスさんは片手斧を取り出して構える。


「先ずはその光に、トマホークと唱えるか念じて斧を投擲してください」


「分かった。トマホーク!」


真っ直ぐに投げた筈なのに、片手斧は回転しながら弧を描くようにしてライトの光を端から破壊していく。


「うぉっ!凄ぇ!」


「静かにしてください。後、手元には返ってこないみたいなので、取りに行く必要がありますね」


ザックスさんは、おお、そうかと直ぐに走って回収に行く。

再びライトの玉を空中に浮かべて、今度は大木断の練習だ。息を切らしながら返ってきたザックスさん。だいぶ遠くに飛んだみたいだね。


「次は光に向かって、大木断と唱えてください」


「よし、大木断!」


ライトに向けて、大振りの横一文字斬りを繰り出す。ライトまで斬撃は届かなかったったが、風圧を受けたライトが少し後退した。


「威力はかなりのものですね」


「おお、凄いな!もう一度やらせてくれ」


「どうぞ、ライトは浮かべたままにしておきますので、大木断の練習をしてください。見張りの交代の時間まで、俺は先に寝ますね?」


ザックスさんは夢中になって練習したらしく、交代に起こされたのは予定よりも三時間も後だった。張り切り過ぎると明日がキツイと思うよ?続ける為には無理しないようにしないとね。

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