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スキルが美味しいなんて知らなかったよ⁉︎  作者: テルボン
第2章 魅惑の生活が怖いって思わなかったよ⁈
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20話 感覚共有の応用

村長は、材料も十分揃ったから、優先的に磁器便座の制作に取り掛かってくれるらしい。完成には4・5日程掛かる予定だそうだ。


夕飯も終わり、自宅に戻ったら訓練の時間だ。アヤコさんの、吹き矢の命中率は徐々に上がっている。


「吹き矢は、必ず相手の柔らかな場所を狙わないといけない。射速と距離は大分良いけれど、刺さらなければ意味が無いからね?」


「はい、柔らかい場所ですね。相手が人だったら、なんとなく狙う場所は分かるんですけど…皮膚の無い魔物とかも居るんですよね?」


「うん、アンデッドとかね。だから狙う場所が無い魔物が相手なら、迷わず相手にしないで逃げてくれ。吹き矢はあくまで、中距離暗殺武器でしかないから」


「このままでは、足手まといですね…」


彼女が近接武器を使うには、腕力が足りな過ぎる。続けて運動すれば、腕力も僅かずつだけど伸びて使えるようになるだろう。しかし、彼女は体力と俊敏も高くない。今すぐ戦いに参加できるかと問われれば、答えはノーだ。


アヤコ=シノサキ


種族 人間 (ノーマル) 女 age 17


体力 85/85

戦闘力 75/75

耐久力 72/72

精神力 90/90

魔力 171/171

俊敏 92/92

魅力 69/100

運 29


魔力値は高いので、やはり目指す戦闘スタイルは遠距離攻撃の魔術士なんだけど…。


「魔法が使えるようになるのが、理想なんだけどね」


「魔法ですか…?」


「あ、いや、ごめん」


思わず口に出してしまった。そう簡単に覚えられるなら、村人の誰もが覚えようとしてるよね。


「そんな心配しなくていいよ。アヤは私達が守ってあげるからさ。アラヤ、そろそろ合わせ稽古を始めよう?」


一人、考え込むアヤコさんに負い目を感じつつも、アラヤは稽古に打ち込むしかなかった。



翌日、昼食を済ませた後に、サナエさんに呼び止められた。


「あのさ。アラヤの今度の休みっていつ?」


「えっと、次の天神日だね」


「良かった、私と一緒だね。なら、村の外に出かけないか?行きたい場所があるんだ」


「うん。それは良いけど、アヤコさんにも休みを聞かないと…」


「バカ…二人で出かけようって言ってるんだよ」


「そ、それって…で、で、デート⁈」


「や、約束だからな!じゃあ、午後の仕事に行ってこい!」


サナエは、顔を赤らめて戸惑うアラヤを、自分の顔を見られないように無理矢理背中を押して食堂から追い出す。


「え、あっ、ちょっ⁉︎」


追い出されたアラヤは、デートに誘われた事が人生で初めてのことで、普通は男から誘うものじゃないの?映画が鉄板なんだよね?と頭の理解が追いついて無かった。

一方のサナエは、上機嫌でベスに今後の相談を持ちかけていた。





「ちょっと、アヤコ。アヤコに借りた本なんだけどさ?」


勉強会を終えたばかりのアヤコに、村長が客間から手招きをする。アヤコは子供達を全員見送ってから村長の元に行く。そこには、投票会の際にアラヤから貰った本が置いてあった。


「その私の貸した本がどうしたんですか?」


「ここの頁数の表記が、たまに読めない文字で飛び飛びに書いてあるのよね。これって何かしら?」


「えっと…」


アヤコも確認すると、頁数が順番通りに続かずに、時折文字に変わっている。しかも、村長が読めないのに私には分かる。という事は、知らず知らずに言語理解が訳しているという事だ。

ならば、言語理解を一度解いてみよう。


「あれ?これ、日本語だ!」


「何?貴女の故郷の言葉なの?という事はこの作家も同郷人⁈」


「はい。あの~村長。ちょっと調べたいので、この本返してもらって良いですか?」


「ええっ、まだ一冊しか読んでないのに…でも、しょうがないか。調べ終わったら、また貸してよね?」


「もちろんです!村長も良き理解者の一人ですから!」


ムフフと、二人して想像の世界へ飛びそうになる。アヤコの仲間が着々と増えつつあった。


夕食の時間中、サナエさんはソワソワしてこちらを見ずに食べていた。もちろん、俺も恥ずかしくて話しかけられなかったんだけど。

それでも、まぁ日課だから訓練はちゃんとするんだけどね。当然、気持ちを切り替えて二人共真剣にやったよ。


入浴と歯磨きも終え、三人は寝床についた。しかし、アラヤはデートに誘われた事を思い出してなかなか眠れない。そんな時、脳内を軽く触られた感覚がした。念話だ。


『アラヤ君、ひょっとして起きてますか?』


『う、うん。アヤコさんも眠れないの?』


『私はちょっと読書をしていました。眠れないなら、ちょっと話しませんか?』


アヤコは、サナエを起こさないように静かに部屋を出て、アラヤの待つ居間に現れた。


「読書をしていたの?」


「はい。一度は全部読んだんですけど、気になった部分が有りまして。読み直しているところです」


「そうなんだ…(BLなんだろうなぁ…)」


「アラヤ君とお話ししたいのは、それとは違うんですけど、以前村長から借りました魔法書を思い出しまして、その…魔法の手ほどきを受けたいなぁと思った次第…です」


「なるほど。う~ん、俺は本の知識は無いんだよね。あの場で急に出来るようになったから…一応、本に書いてある通りにはいろいろと試したの?」


「はい。体内にある魔力と、大気中にある魔素やエレメントを繋ぎ合せてて、具現化させる術だと書いてありました」


「う~ん。いまいち分かりづらいね。それなら実際に試してみよう。外に出てやろうか」


外に出ても、今夜は月明かりでとても明るかった。

アラヤはアヤコと向き合って、そっと手を取った。アヤコの顔がみるみるうちに赤くなる。


「今から、アヤコさんは俺に感覚共有を掛けてくれ。俺は説明が下手だから、今から俺の魔法を使う感覚を、説明代わりとして受け取ってくれ」


「分かりました」


「じゃあ、属性別に行くよ?これだと感じたら教えてね?」


アラヤは、火属性から始め、水・風・土と順番に目の前で発動していく。アラヤには、アヤコさんにはコレだろうという属性の予想はあった。


「これ!これです!体の中を何かが流れて行く感覚があります。これが魔力…」


「うん。そして、君に合った魔法という事だね。予想通り、無属性魔法だったね」


「無属性?何も属性が無いという事ですか?」


「ちょっと違う。火・水・風・土・光・闇とは違う力の事で、時空間や重力といった目に見えない力の属性だよ。アヤコさんの技能は、念話や感覚共有みたいに目に見えないものが多い。簡単に言えば超能力みたいだよね?無属性魔法には、使い方次第でお馴染みの超能力みたいな事もできるよ」


アラヤは、近くにあった大きな石にグラビティを掛けて持ち上げてみせる。この世界の重力より軽くすればこの通りだ。


「超能力みたいでしょ?」


「凄い!私もやってみる!」


グググッ…フワッ…


あれま⁉︎いきなり持ち上げちゃったよ!俺の魔力の流れを、そのまま掴んだらしい。言葉で教えるより、感覚共有は断然良いね。


「あっ、ステータスにも技能(スキル)無属性魔法LV 1で発現したよ。おめでとう!」


アヤコ=シノサキ


種族 人間 (ノーマル) 女 age 17


体力 85/85

戦闘力 75/75

耐久力 72/72

精神力 90/90

魔力 171/171

俊敏 92/92

魅力 69/100

運 29


 技能 念話LV 2 念写LV 1 コールLV 1 メッセージLV 1 感覚共有LV 2 言語理解LV 1 無属性魔法LV 1


これで、自分に合った努力次第では、新たな技能を習得する事が分かった。


「ありがとうございます!」


ガバッと勢いよく抱き付かれた。いや、身長差的にヤバイですって⁉︎柔らかいものが当たってますよ⁈


「ウフフ、おやすみなさい!」


「お、おや、おやすみ~」


彼女が部屋に戻るのを見た後、ベッドで再び感触が蘇って悶々としたその後は、どうやって眠れたのかは覚えてません。

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