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スキルが美味しいなんて知らなかったよ⁉︎  作者: テルボン
第13章 初顔合わせにドキドキですよ⁈
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188話 新居作り②

 浮遊邸の建築が始まり3日目。

 初日は敷地内いっぱいに、鉱石化した土に魔力粘糸でコーティングを施した防護壁で凹字型に囲み、凹み部分を入り口とした。

 その中には、三階建の住居棟・鍛冶場や錬金を行う多目的棟・大浴場・大食堂・応接間や来客者用の宿泊部屋もある来賓館・従獣や従魔を飼う為の飼育場・野菜や植物の為の畑を建てる計画である。

 そう、かなりの広さがあるからと、これでもかと思いついた建物を全て計画に入れたのだ。

 基礎・スラブ・柱は、アースクラウドを鉱石化するだけなので2日目に終わっている。前世界では絶対に考えられない早さだ。魔法様々だね。


「基礎の養生期間が要らないからと言っても、建物外壁を全て鉱石壁にしたら少し味気無いね。手間は掛かるけど、板壁やガラス窓も所々加えていこうか」


 硅砂・粘土・鉄鉱石・木材は充分足りている。足りない人手も精霊達の手伝いで賄えている。日数は流石に掛かるが、何一つ問題無く進んでいる。

 それも、カオリによる設計管理 (知識・資料・製図は本によるもの)、アヤコの工程管理 (人員を上手く振り分け、役割分担)、アラヤの生産加工 (製材加工・錬成)と、建築するにあたっての条件が揃っているからだ。


「皆様、食材をお持ちしました!上がっても宜しいですか?」


 アルディスが、浮遊邸の下から呼んでいる。確かに、建築に取り掛かりだしてからは、食料調達に人員を出していない。前もって集めた量も少なくなっていた。


「お待ち下さい!今、ゴンドラを下ろします」


 浮遊邸の地面は、支える脚の長さがある為、まるで巨大樹の上にあるエルフの村の住宅の様に高い。故に地上からは通常には登れないので、昇降用のゴンドラを設置していた。

 ゴンドラの仕組みは至って簡単で、グラビティで重くなる魔鉱石と滑車を利用している。

 馬車並の大きさのゴンドラに荷物を積み込み、アルディスと荷物運びの村人が上へと昇って来た。


「こ、これは⁉︎」


 村人はその光景に驚き、自身の目を疑い擦る。それはそうだろう。未完成とはいえ、大豪邸とも言える建物を僅か2日でここまで作り上げているのだから。


「村長、ありがとうございます」


 彼女達を迎えたのはハウンで、受け取った荷物を一瞬で亜空間に収納した。村人は、もはや驚き過ぎてこれは夢だと目を瞑っている。


「いえ、私にできる事はこの程度ですから…」


 そう言って、アルディスはキョロキョロと辺りを見渡している。


「イシルウェさんをお探しですか?」


「あ、いえ…。出来れば見学させていただけたらなぁと…」


 ハウンは、アラヤに念話で一報を入れる。彼の返答は、『食料品を頂いて、断わる訳にもいかないよ。ハウンが一緒に案内して、その都度イシルウェに居場所を教えてあげて?』と、許可したのだ。


「では、私が案内します」


 ハウンは、アルディスを連れての案内を始める。と言っても、住居棟以外を回る予定だ。住む人以外に見せるべきじゃないからね。


 大食堂の厨房建設の現場には、材料を運ぶアスピダと組み立て・調整をしているアラヤがいた。

 先ずはアラヤに会わせるべきだろうと、ハウンが判断したようだ。


「ようこそ、村長さん。食料の支給、ありがとうございます。順調に進んでいるので、後3日程で出発できる段階まではいきそうです」


「それはとても早いですね。我々としては、エアリエル様との別れを惜しむ者達も居るので、まだゆっくりしていただいて構いませんよ?それと、私はもう村長ではありませんので、アルディスとお呼び下さい」


「えっ?村長をお辞めになったのですか?」


「ええ。エアリエル様を匿う役目が終わった今、私も外の世界を見てみたいと思いまして、後任の村長を選出して引き継ぎも終わりました」


 それはまた急過ぎやしないかな。村人達もいきなり自由にして良いよと言われても、きっと戸惑っているだろう。


「あれ?そう言えば風精霊(モース)は一緒では無いんですね?」


「それが…ここに張ってある結界に阻まれて入れないらしいのです」


 どうしてだろうと思い、精霊達に念話すると、無精霊(スカルゴ)から抗議の念話が返って来た。


『あの精霊は乱暴なんだなぁ!呼ぶのは反対なんだなぁ!』


 どうやら、追いかけられた事を根に持っているらしい。魔力玉をあげる事で怒りを抑えてもらい、どうにか呼ぶ事ができた。


『やっと入れたわ~。この結界ヤバ過ぎでしょう⁉︎硬過ぎる上に、追加効果も多すぎて、隠蔽以外は分からなかったわ』


 モースは、来て早々に疲れた表情をしている。アラヤは、アルディスが来た時点で結界への侵入を許可したのだが、嫌われる行動をしていた本人が悪いのだ。


「アラヤ様、では引き続き、彼女の案内をしますね?」


「ああ、頼んだよ。アルディスさんも、改善点を見つけたら言って下さいね?」


「フフッ、私には何処をするべきなどと分からないですよ」


 森生活視点から見たら、どれも便利過ぎる物ばかりで、彼女は改善など痴がましいと思っていた。


 食堂に続いて、浴場・農園と見て回っていると、馬達を世話していたチャコと出会った。


「ああ、パパのお姉ちゃんさん、こんにちは!遊びに来たの?」


「ええ、チャコさん、こんにちは。今日はは貴女の様子を見に来たのよ?」


 ギョッとするハウンを他所に、アルディスはチャコの横でしゃがみ目線を合わせる。


「身体の調子はどうかしら?怠さや眠れないって症状はある?」


「ん~ん、無いよ~?」


「髪色も耳も変化無しみたいですね。モース、どう?」


『至って良好ね。見た目の変化はまだ出ないのかも』


 アルディスはチャコの足のむくみや耳の付け根をチェックしている。


「お姉ちゃん、チャコは元気だよ?」


「ええ、そうみたいで良かったわ。ちょっと心配になっただけ。エアリエル様の加護は、種族を変えてしまう程の大きな力。エルフ、もしくはハーフエルフに変化する可能性もあったのよ」


「パパやお姉ちゃんみたいに、髪ピカピカになれるの?」


 その可能性は充分にあった。ただ、エルフの場合、生まれながらに加護を受けている。今回の様なチャコやアヤコ達のケースは、前例が無くて分からなかったのだ。

 その為、気にしていたのは、急に覚えた加護魔力による肉体と精神への負荷だった。

 見たところ、身体に変化を与えるの影響は無いようだ。


「髪が金ピカになるかは分からないけど、パパやお姉ちゃんみたいに不思議な力を使えるかもしれないわよ?」


「本当?」


「ええ、本当よ。だけどその為には、身体の中の力をコントロールしなきゃいけないわ」


 どういう事?と、チャコは首を傾げる。無理もない。見えない力の説明など、ただ怪しいだけである。

 アルディスはチャコの手を取り、微量の魔力を流してあげる。


「御手手がホワホワする。面白~い」


「フフッ、今はこれだけで良いわ。徐々に魔力を馴染ませて、身体の中を巡る練習をしなさい」


「うん!また明日も教えてね、お姉ちゃん」


 チャコは、アルディスにギュッと抱きつく。彼女は確かに()()()と言った。証人にハウンも居る事だし、イシルウェも文句は言わないだろう。


「それでは明日、また伺うとしましょう」


 アルディスは、チャコのおでこにキスをしてから手を振って帰って行った。

 彼女が帰ったと聞いたイシルウェは、念話を元に避けていたけれど、自分に会いに来なかった、探していなかった事を不思議に思った。


「はは…まさかな…。私からチャコに狙いを変えたなんて事…」


 当のチャコは、明日もまた会いに来てくれるってと楽しみにしている。イシルウェは複雑な気持ちで、良かったなと娘の頭を撫でるのだった。

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