冬がきた(続き) 1982年2月19日号掲載
欠号分の続き。見つかれば割り込み投稿をします。元稿は写真つきなので、欠号分が見つからなければいずれカットするか、写真を追加するか。
新浜だより(行徳新聞再録) 1982年2月19日号掲載
冬がきた(続き)
立春をすぎて、カモの求愛は盛ん、というのを通り越して、必死の様相を帯びてきた。どちらを見ても、オナガガモやコガモの雄たちが、一羽の雌をとりまいてぴょこぴょことおじぎをしている。そのうちに、たまりかねたように飛びたった雌を追って、雄たちがばらばらと飛んで行く。一方、スズガモの大群の方は平静そのもので、求愛動作らしいものはほとんど見られない。
前回に続き、今回もカモたちを簡単にご紹介しよう。
ハシビロガモ
まるでシャベルのように大きな嘴のため、どうも品格に欠けるうらみがある。英名はそのものずばり“ショベラー”。大きな嘴のへりに、ヒゲクジラのようなひげ状の突起があり、水をバシャバシャと吹き出すようにして、水中のこまかい有機物やプランクトンなどをこし取って食べる。雄は緑の頭、黒い背、胸から脇は純白で、頭が栗色、オレンジ色の足という派手な色をしており、遠くからはまるでのりまきのような模様に見える。
ホシハジロ
スズガモに近縁のカモたちは、どれも翼に太い白帯があり、飛ぶと翼が白く透けて見えるので、ハジロガモ類と呼ばれる。ホシハジロはスズガモによく似ているが、頭が赤茶色をしているのが特徴。内陸の湖(印旛沼など)には特に多い。鴨場内に入ることが多いが、スズガモ群中にまじることもある。
キンクロハジロ
体が黒くて目が金色のハジロガモ。スズガモよりわずかに小さく、脇から腹にかけて純白、あとはまっ黒というダンディ。頭にある冠羽も特徴。やはり内陸の湖が好きらしく、印旛沼、手賀沼、夏目の堰などに普通。鴨場内に多いが、スズガモ群中によく見られる。
スズガモ
言わずと知れた保護区の“目玉商品”で、特に狩猟期間中には数万羽が群れている。もともと波静かな内湾部を好む種類で、内陸にはめったに入らず、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などに多い。名は、羽音からつけられた「鈴鴨」であるとも、数の多さから来た「数々鴨」であるとも言われている。別名ドブハジロ。雄は頭と尾が黒、背が銀灰色、脇は白という遠目ではごま塩のような色
雌はこれら三種とも、おもに暗褐色の地味な鳥。