ユリカモメの定期便 1987年2月13日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1987年2月13日号掲載
ユリカモメの定期便
1月27日の午後4時すぎ、水質調査と鳥のカウントをやりながら新浜鴨場の脇にさしかかった時のこと。ご近所の奥さんと立話をしていると、突然頭上に鳥の編隊が現われた。およそ一七〇羽、ほとんど一列の横隊で、整然とはばたきながら通過して行く。細長い翼とかろやかな翼動からユリカモメとわかった。夕陽をうけて金色と白に輝くみごとな編隊は、ほとんどま北からま南をさして飛んで行く。見送っていると、保護区上空でやや西よりにむかい、浦安の埋立地方向に姿を消した。
一群を見送る間もなく、次の群れがやってきた。三〇羽、次は一一〇羽、今度は一五〇羽、どれも行徳の町なみの真上を横断して整然と飛び、浦安埋立地方向へ消えた。あまりのみごとさに、二人で空を見上げてずっと立ちつくしていた。
このユリカモメの群れの上空通過は、その後もほとんど毎日見られている。合計数は四〇〇から五〇〇羽、午後3時半から4時半ごろ。おそらく篠崎あたりから関が島、押切の上空を通過し、行徳駅前4丁目から保護区、浦安埋立地に向かうのだろう。その先はわからない。浦安のどこかで夜をすごすのか、葛西の海上公園あたりまで動くのか。
地図を見ると、江戸川を下って海へ出る最短コースがこの「行徳横断ルート」にあたる。このユリカモメたちは、江戸川をさかのぼって餌をさがし、夕方安全な寝場所へと戻ってくるのだろう。
2月2日、埼玉の方からこんな電話をいただいた。
「このごろ川にユリカモメが来ているのですが、夜はいなくなります。どこへ行くのでしょうか。」
とたんに夕方の「ユリカモメ定期便」が頭に浮かんだ。江戸川のかなり上の方まで、三々五々と連れ立って餌を漁りに出かけたユリカモメが夕方川を下る。はじめはほんの数羽、少しずつ小さなグループが合流し、やがて百羽をこす大群になる。
実のところ、ユリカモメがさかのぼる川は、水が汚れてきたために餌が多くなったわけで、美しいユリカモメは残念ながら汚染の指標になっている。でも夕方、行徳駅の近くで空を見上げると、編隊を組んだユリカモメが通過して行くなんて、考えただけでも楽しくなる情景ではないだろうか。
なお、夕方が「復路」の飛行にあたるのだから、当然朝の「往路」があるはずだ。午前6時か7時ごろ、北へむかう群れをごらんになった方、いらっしゃいませんか。




