表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/54

47 サプライズにも、ほどがあるよ

河童かっぱスーツ、深く静かに潜行せんこうせよ」

 おれはちょっと映画のワンシーンのようにキメたかったのだが、返事は相変わらず「了解ちまちた」だった。

 もう、調子くるうよ。

 そんなことより、近づくにつれ、黄金神殿の威容いよう、いや、異様な形がハッキリと見えて来た。明らかに、周辺にある列石メンヒル部分と、中央のドームは異質なものだ。時代も違うのではないか。

 常識的に考えると、原始的なメンヒルが先にでき、近代的なドームが後に建ったはずだが、配置は逆になっている。どう見ても、先にあったドームを囲むようにメンヒルが立てられているのだ。

「拡張現実を表示してくれ」

「残念でちゅが、【黄金神殿】に関ちゅるデータはありまちぇん」

 ま、そりゃそうか。だから、行くしかないのだ。イヤな、あ、いかんいかん。予感は封印だ。

「河童スーツ、慎重にドームのあるテーブルマウンテンに降下こうかしろ。そうだな、周辺のメンヒルのすぐ外側ぐらいがいい」

 おれは同じ内容を水中スピーカーでプライデーZにも伝えた。

 むき出しの岩肌いわはだに降り立って気づいたのだが、どうやらこの元は島だった湖底の山は、エアーズロックのような一枚岩のようだ。だから、一気に湖底に沈んでも、上に乗っている構造物がくずれなかったのだろう。

 おれはこの巨岩の上を、ゆっくり歩いて行くことにした。

 黄金化しているメンヒルは、如何いかにも無造作むぞうさに石を切り出したもので、本来は素朴そぼくな信仰の対象だったに違いない。

 それにくらべ、ドームはあまりにも人工的だった。

 大きさは学校の体育館ぐらいあり、きれいな半球の形をしている。正面に三メートル四方ぐらいの入口らしい穴がある。穴の中は真っ暗だ。見るからにあやしい。

 おれが躊躇ためらっていると、いつの間にか横にプライデーZが来ていた。

《わたしが先に入って様子をうかがいましょうか?》

《いや、内部の映像を亜空間通信で荒川さんたちに送りたいから、おれが行かなきゃ。おまえは外で待っていてくれ》

《お一人で、大丈夫ですか?》

《うーん、まあ、何かあったら、すぐに呼ぶよ。あ、そうだ。万が一の場合に備えて、何か命綱みたいなものを持ってないか?》

《荒川さまから、スプリングパンチのスプリングを記念にもらいました。それでよろしければ》

《おお、いいじゃないか。河童スーツのベルトにつないでくれ》

 一応、何かあった場合には、合図としてスプリングを二回続けて引くことした。

《まあ、基本的には、ドライドン以外の生き物はんでいないと思うけどね。一応、何かトラップが仕掛しかけてあるといけないから、危険だと感じたら、すぐ合図するよ。その時は、思い切り引っ張ってくれ》

《了解しました。ご無事のご帰還きかんを、おいの》

《あ、やめて、そいうの。フラグ立っちゃうからさ》

《なるほど。それじゃ、しんちゃん、行っちゃってー、チェケラ!》

 意味不明のダンスをおどりだしたプライデーZにはそれ以上構わず、おれはドームの入口に向かった。

「河童スーツ、照明を頼む」

「あい」

 再び正面に回ったお皿の照度を目いっぱい上げても、入口の向こうがまるでブラックホールであるかのように何も見えない。

 ええい、もう思い切って入るしかないぞ。

 中に入った途端とたん、クラッカーがってハッピーバースデーを歌われたら、どれだけ幸せだろうと、バカなことを想像した。残念だが、今日はおれの誕生日ではない。

 おれは周囲を警戒しながら、入口に足をみ入れた。

「えええええーっ!」

 ある意味、ハッピバースデー以上のサプライズが待っていた。

 入口はある種のバリアになっていて、中には水がなく、空気でたされていた。おれの体が中に入った瞬間に照明がき、様々な機械や設備が黄金化をまぬがれて、そのまま残っているのが見えた。

 だが、そんなことは問題ではなかった。住民がいたのだ。それも、その相手は……。

「驚かせてすまない。コミュニケーションをスムーズにするため、きみをモデルにして分身アバターを作った。決してドッペルゲンガーじゃないよ」

 そう、そこに立っていたのは、まさにおれ自身だった。

「お、お、お、おまえはおれ。すると、おれは誰?」

動揺どうようするのはわかるけど、時間がもったいない。説明を始めるよ。いいかい?」

 なんだよ、このおれは。ビジネスライクすぎるぞ。

「あ、ああ、いいよ」

「中の空気は地球の大気の成分に合わせてある。とりあえず、その変なスーツを脱いで、座ったらどうだい。地球人向きの椅子があるだろう」

 おれはおれのすすめにしたがって、スーツを脱ぎ、手近な椅子に腰掛けた。

 もう一人のおれも事務用の回転椅子に座り、ニッコリ笑った。

「さて、自己紹介しておこう。おれは地球人の言うところのAI、つまり、人工知能だ。もっとも、つくったのは当然地球人じゃないがね」

「ちょっと、待て。どうして日本語を知ってる?」

 もう一人のおれはおかしそうに笑った。

「そうか、まず、そこが気になるのか。簡単に言うと、アニメで覚えたんだよ」

「はあ?」

「おれは独自の通信網を持っててね。きみたちの亜空間通信とやらとも違う、超次元通信だ。ああ、ちなみに、この中にいる間は亜空間通信は遮断しゃだんさせてもらった。きみにキチンと説明したいのでね。話を戻そう。その超次元通信網で、日本のアニメがれるんだよ。おれはサ◯エさんが好きでねえ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ