表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/54

28 逃げるが勝ちって、ありかよ

 尻から糸を引きながらスーッと一匹のオランチュラが降りて来た。胴体にオレンジ色のストライプのような模様もようがある。口には服のようなものをくわえていた。

「チャッピー? チャッピーなのか?」

 おれの言葉が終わらぬうちに、咥えていた服を離して、おれに飛びついて来た。思い切りペロペロめてくる。

「わっ、ひっ、くすぐったいじゃないか。でも、そうかあ、おまえ元気になったんだな。良かったなあ」

 おれはチャッピーの頭をでてやりながら、持って来てくれた服を見た。カラス天狗スーツのボディ部分だ。

「そうか、ありがとよ。おまえはホントにかしこいやつだな」

 おれはチャッピーの気持ちがうれしくて、ちょっとウルッときてしまった。

「あのー、感激の再会は結構ですが、こっちもなんとかしてもらえませんか?」

 必死にボルゲをめているプライデーから泣きが入った。

「ああ、そうか。うーん、胴体部分だけでも、動けば飛べるはずだな。ドクターは無力化したと言っていたが、破壊はかいしたとは言ってなかったし」

 おれはスーツの内側を探り、ボタンのようなものを見つけた。それを押すと、ブーンと音がしてスーツは透明になった。

「これは光学迷彩のスイッチか。これじゃないな」

 上の方から「グアーッ!」という咆哮ほうこうがし、見ると、ボルゲがきばのある大きな口をひらき、プライデーの残された一本の腕にみついた。

 プライデーは、逆に噛まれた腕をボルゲの口に押し込んで侵入をふせぎながら、こちらに向かって叫んだ。

「すみませんが、急いでください!」

「う、うん、わかってる」

 一旦、光学迷彩を元に戻し、その奥のあったボタンを押してみた。

「わっ」

 いきなりパーツに分解すると、スーツがおれの体に向かって飛んで来て、ピタリと装着した。

「ふーっ、ビックリした。胴体部分だけでもおれの音声は認識するかな。試してみよう。えーと、ウイングを少し開け!」

 バサッと背中からウイングが出てきた。

「よし、いいぞ。あ、おれがいいと言うまで、絶対に飛ぶんじゃないぞ」

 おれはチャッピーに向かって「おれはプライデーを助けなきゃいけない。おまえ、自分で帰れるか?」といた。

 通じるだろうかと思う間もなく、降りて来た糸をつたって、スーッと上がって行った。本当に賢くなったようだ。

 だが、感心している場合ではなかった。

 プライデーは、ボルゲに完全に腕を飲み込まれ、身動きできないようだ。スプリングが伸び切った方の腕も回収できていない。

「プライデー! あとで荒川さんになんとかしてもらうから、一旦、両腕とも切り離せ!」

「ええっ、そんなあ」

「仕方ねえだろ! 今逃げなきゃ、ボルゲ以外のゴルゴラ星人が戻って来たら、おれたち助からないぞ!」

「わかりました。でも、後でちゃんと腕を付けてくださいよ」

「約束する! いいか、イチ、ニの、サン!」

「はい!」

 バチンと音がし、プライデーの両腕が根元からはずれ、ゴロンと胴体がころがった。

 ボルゲは咥えていたプライデーの腕をき出し、「ギャオオオオオオーン!」と遠吠とおぼえのように叫んだ。仲間を呼んでいるのだ。

「カラス天狗スーツ! プライデーの胴体をキャッチして、全力飛行せよ!」

 補助ジェットが吹き出して前進し、おれはプライデーをかかえ上げ、そのまま急上昇した。

「やったぞ!」

「おお、ありがとうございます!」

 おれが下を見ると、逃げていたゴルゴラ星人たちがポッドに向かってワラワラと集結しゅうけつしていた。

「危機一髪だったな、プライデー!」

「でも、安心するのは、まだ早いと思います」

「え? なんでだよ?」

「高度がどんどん下がっています。すみません、わたしが重すぎるようです」

「大丈夫さ。とりあえずゴルゴラ星人たちからのがれられれば、後は歩いてだって帰れる」

「残念ですが、もう日が暮れます」

「な、なにい!」

 おれが西の空を見ると、地球の太陽より大きめの夕日がしずむところだった。

 プライデーがポツリとつぶやくように言った。

「……夜が来ます。恐ろしい夜が」

おどかすなよ!」

「脅しではありません。ドラードの夜の森を徘徊はいかいするという、ホワイトクローラーのうわさをご存知ないですか?」

「マジかよおおおーっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ