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22 第九地区って、どんなとこだよ

 カラス天狗スーツは森の上空に出ると、おれがギメガ星人とたたかった第六地区とは反対側に向かって、フルスピードを出した。

 モフモフたちの住む第七地区と、隣の第八地区とおぼしきあたりまでは似たような景色がつらなっていたが、いきなり未開のジャングルのような、無秩序むちつじょに植物がしげっている場所に出た。

「第九地区に入りました」

「だろうと思ったよ」

 よく見ると、ドラード人が生活の基盤にしているアゴラ(=巨木の空洞化したみきに金や土砂が堆積たいせきして地面のようになった場所)らしきものはあるのだが、他の地区と違ってまるではなく、かなりいびつな形をしている。いかにも急ごしらえで作った感じだ。

 遠目とおめにも、アゴラごとに違う星人を住まわせている様子がうかがえる。

「拡張現実表示をオンにしてくれ」

「了解しました」

 最初に見えたのは、立ち上がったネコのような姿の【バステト星人】、次はイヌともオオカミともつかぬ顔をした【アヌビス星人】、他にも様々な種族の難民キャンプがあったが、この地区の最大規模のアゴラを占有せんゆうしているのは、なんと【ゴルゴラ星人】だった。

 思い出してもゾッとする、あの凶暴な小型肉食恐竜のような姿が何十人も見える。その中心に、彼らの何倍もでっかい恐竜がいた。

「あれが、彼らのボスかい?」

「いいえ、あれは食料です」

「はあ?」

 すぐに拡張現実表示が出た。

【バグケラス。別名、史上最強の冷凍食品。ゴルゴラ星人の主食である。繁殖地はんしょくち以外では、通常冷凍保存されている。食べる場合は完全に解凍かいとうして蘇生そせいさせ、古代から伝わる狩りのやり方でたおした後、参加者全員に切り分けて与えられる。しかし、バグケラス自身が凶暴な肉食恐竜であるため、逆にゴルゴラ星人が食べられてしまう場合もある。尚、あまりにも残虐ざんぎゃくであるとして、星連で何度も非難決議ひなんけつぎが出され、制裁措置せいさいそちがとられている。また、これを一つのきっかけとしてリンカーン条約が結ばれたため、ゴルゴラ星では根強く条約反対運動が続いており、一部はテロリスト化している】

 むずかしい問題だ。地球上でも、何をどういう風に食べるかで、色々とめ事が起きる。ただ一つ言えるのは、いかなる理由があるにせよ、テロにうったえてはいけない、ということだろう。

 がらにもなく、そんなことを考えていると、突如とつじょ目前もくぜんに円盤型宇宙船が出現し、有無うむを言わさずトラクタービームを発射して来た。

「いきなりかよ! 一応、警告ぐらいしろよ!」

 おれはあせってポケットからカラーボールを出そうとし、最初の一個はそのまま落としてしまった。

「ああっ、落ち着けバカ!」

 自分をののしったところで仕方ないのだが、カラス天狗スーツが反応した。

「落ち着いておりますが?」

「おまえじゃないよ。お、そうか。頼むから、逆噴射ぎゃくふんしゃかなんかで、船内に取り込まれるのを少しでも引きばしてくれ!」

「了解しました」

 スーツが支えているかんにボールを出し、投げつけたが、まだ遠すぎた。

「もう少し近づいてくれ!」

「はあ? 先ほどのご命令と矛盾むじゅんするようですが?」

「それぐらい忖度そんたくしろ!」

「やってみます」

 今度はいきなり抵抗がゆるみ、グーッと距離が近づいた。あまりに目の前に円盤が見えて動揺どうようし、三個目はポロリと手から落としてしまった。

「近い近い。ほどほどに逆噴射だ!」

「わかりましたよ!」

 さすがに、紳士的しんしてきなカラス天狗スーツも逆切ぎゃくぎれしたが、ほどよい距離ができた。フォアボールだけはけなければ。おれは慎重しんちょうねらいをさだめ、アンダースローで投げた。

「頼むぞ!」

 最後のカラーボールが円盤の船体に当たってパシャとつぶれた瞬間、「もう限界です」とカラス天狗スーツがギブアップし、おれの体は船内に吸い込まれて行った。

「うああああああーっ!」

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