40 僕と姉さんとぬこさん
本日5話目。
ぬこさん・・・
「はぁ・・・」
自然と出るのは疲労からのため息・・・結局、あのあと瑠璃さんの部屋で理性との戦いにからくも勝利(だと思う・・・)をしてから瑠璃さんと瑠璃さんのご両親と夕食までご馳走になって現在は帰路についています。
本当は夕食までいただく予定はなかったんだけど・・・瑠璃さんのお母さんである弥生さんに「達也くんの分も作ったから食べてね」と笑顔で言われたら断れないよね。うん。
見送りをしてくれようとする瑠璃さんを瑠璃さんのお父さんである啓介が止めてくれなければまた家まで送られていたところだけど・・・さすがに今日は色々ありすぎて、ひとりになって考える時間が欲しかったのでありがたい。
まあ・・・一人の帰り道が若干というか寂しい気持ちになるのはやっぱり僕の生活の一部にすでに瑠璃さんが溶け込んでいるからだろうけど・・・
「まあでも・・・いい人達でよかった」
いや本当に啓介さんも弥生さんもいい人達でよかったとしみじみ思う。もしこれが『娘が欲しければ私を倒してからになさい!』みたいなタイプの親だったら絶対に無理だったよねうん。
非力な僕にそんな男らしい展開を求められても専門外もいいところだもん。コメディ系の小説にシリアス展開を求めるぐらいの無謀さだよね。
まあとりあえずこれで大きな要件は終わったししばらくは平穏な生活が送れるはずーーー
「にゃー」
・・・おや?おかしいな・・・自宅の前につくと何故か段ボールが置いてあって、そこに入っていたのはーーー
「にゃーにゃー」
「うん捨て猫・・・かな?」
このご時世によりによって他人の家の前に猫を捨てる不届きものがいるとは思いたくないがーーーどうみてもそこには段ボールにはいって寂しそうに鳴いてる猫がいた。
まじですか・・・
「ただいまたっくーん!・・・て、どうかしたの?」
途方にくれていると後ろから茜姉さんの姿が・・・僕は猫を指差して聞いてみた。
「茜姉さんが出掛けた時にこの子いた?」
「この子って・・・きゃー!にゃんこちゃんだー!」
ハイテンションに猫を抱き上げる茜姉さん・・・うん、この反応だと茜姉さんが出掛けたときにはいなかったんだろうな。
「たっくんが拾ってきたの?」
猫を抱き上げてしばらく騒いでいた茜姉さんは落ち着いてからそう聞いてきたが・・・もちろん違うので首を横にふっておく。
「今帰ってきたらいたんだけど・・・茜姉さんはどこに出掛けてたの?」
「私はコンビニに行ってきただけだよー」
・・・つまり、茜姉さんがコンビニに行ってる間に誰か捨てていったのか・・・ふむ・・・
「どうしようかこの子・・・」
本来なら保健所とかに連れていくべきなんだろうけど・・・何分こんな経験は生まれてから一度もないので正直対処に困る。いや、頻繁にこんな経験あれば逆に問題なんだけど・・・
「家で飼おうかー」
「本気なの茜姉さん?」
確かに僕も一時的に家には入れるべきだとは思ったけど・・・そこまでの覚悟はしていなかったので戸惑いがちに聞くと軽く頷いて猫を撫でる茜姉さん・・・
「こんな夜中に一人じゃ寂しいだろうからねー・・・それに別に家はペット厳禁じゃないからね」
「うーん・・・とりあえずは寒そうだし中に入ろうか」
春先とはいえ夜中は結構冷える。それに猫も寒いのは苦手なイメージがあるし、こんな状態で外に放置して翌朝には死体になってたら目覚めが悪いしね。
猫は大人しく茜姉さんに抱っこされていた・・・結構人に慣れてるみたいだけど・・・だとしたらますます捨てた理由がわからない。赤い首輪をつけてることから確実に飼い猫だったことは明白だが・・・
「じゃあ、とりあえずお姉ちゃんがこの子お風呂にいれてくるねー」
そう言って茜姉さんは早々に荷物を置いてから猫を風呂場へと連れていった。
僕はそのすきにスマホを使って猫について色々検索をかける。
ふむふむ・・・結構色んな猫のページがあるんだね。食べ物は・・・専用のものもあれば手作りする人もいるのか。
そんな感じで僕はしばらく猫について検索をその場で行っていたのだが・・・本気で部屋に戻っておけばよかったと後悔することになったのはこの後のすぐのことだった。




