39 僕と彼女と女の子の部屋
「まったく・・・ごめんねお母さんが」
あれから啓介さんと話してから戻ると、瑠璃のお母さんである弥生さんに瑠璃さんの昔話をされたりして・・・・現在僕は何故か瑠璃さんの部屋におります。
瑠璃さんの部屋は家の敷地に違わぬ広さの部屋で・・・内装はシンプルながら女の子の部屋と意識せざる得ないくらいに凝った内装をしているので嫌がおうにも意識してしまう。
女の子の部屋に・・・ましてや彼女の部屋に入るなんていう初めてのイベントにドキドキが止まらない僕ではあるが・・・
「い、いや・・・瑠璃さんの昔話が聞けたのは楽しかったよ」
「むー・・・恥ずかしいから忘れてね」
すみません。多分無理です。
弥生さんから色んな昔の瑠璃さんの話を聞いたが・・・意外と甘えん坊な瑠璃さんのエピソードが聞けたりしたので当分は忘れられそうにない。
アルバムを取り出そうとした辺りで避難の名目で瑠璃さんの部屋に案内された訳だが・・・女の子の、ましてや、彼女の部屋に二人きりというのは健全な男の子としてはもはや色んな意味で意識せざる得ない状況な訳でして・・・現在内心ではかなりテンパっておりまする。
「とりあえずこっちに座ってよ」
ポンポンと合図されたのはベットの上・・・はい?
「そ、そこに?」
「うん。床より楽に座れるでしょ?」
ごめんない瑠璃さん。精神的には床の方が楽に座れます。
躊躇していると瑠璃さんは僕の手をとってそのままベットに座らせて・・・・隣に自分も座った!
「ふふ・・・ようやくタツを独り占めに出来た」
笑顔でそう言って抱きつく瑠璃さんには悪いが・・・僕は緊張でどうにかなりそうです。
瑠璃さんの柔らかさと、このシチュエーション・・・あとは部屋に入ってから感じる瑠璃さんの女の子的な香りとかとにかく、色んな意味で期待とかピンクなことが脳裏を過り・・・なんとか理性を総動員して抑えるように頑張る。簿脳退散簿脳退散・・・僕は紳士です。狼さんではありません。安全な羊さんです。
そんな僕のことをお構いなしに瑠璃さんはさらに密着度を高めて言った。
「お父さんもお母さんも私のタツのことを構いすぎるんだもん・・・少し嫉妬しちゃったよ」
「そ、そうかな?」
「お父さんなんて、特にタツのこと気に入ったみたいだし・・・だから、二人きりになりたかったの」
「そ、そうなんだ・・・でもそんなに気に入られてたかな?」
すみません瑠璃さん・・・内心いっぱいいっぱいな僕は今気の聞いたことは何も言えません。
というか、そんなに気に入られてたかな?確かに啓介さんとはそこそこ仲良くなれた気はするけど・・・
「だって、お父さんが同性に対してあそこまでフレンドリーに接するの初めて見たもん。まあ、私はあんまり同年代の男の子とは知り合ってなかったから比較は出来ないけど・・・」
「そ、そっか・・・」
少し安心する・・・瑠璃さんが過去にあんまり男の子と知り合ってないというだけでなんとなくちょっといい気分になるのは独占欲なのかな?
「ちなみに・・・私の家どこか部屋に男の子入れるのも今日が初めてだよ」
・・・・・このタイミングでそれを言わないでよ瑠璃さん。ますますドキドキして赤面が隠せなくなるから。
「そ・・・それを言ったら僕も女の子の部屋に入るのは初めてだよ」
「茜さんの部屋には入ってるんじゃないの?」
「茜姉さんと瑠璃さんじゃジャンルが違うというか・・・」
姉と彼女ではまた別というか・・・姉に特別な感情があれば同じなんだろうけど、生憎と普通に家族愛しかないので、ドキドキはしない。
その僕の返事に瑠璃さんは嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ・・・そっか・・・ねえタツ。私のこと好き?」
「・・・・好きだよ」
「本当に?」
「本当に大好きだよ」
「そっか・・・ふふ・・・私も大好きだよ」
間違いなく赤面している僕に甘えるように抱きつく瑠璃さん・・・・本能と理性の戦いは始まったばかりのようだった。




