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4 僕と彼女の噂

本日2話目です。



瑠璃さんが烈兎隊のリーダーであることを知る人間は少ない。

それは組織のリーダーを不明瞭にすることにより、組織全体を見れるように・・・という先代からの掟だそうだ。


さて、ここで瑠璃さんにそのステータスが無いと何が残るのか?


抜群の容姿に、才色兼備なスーパー美少女高校生・・・裏の顔を知らない人にとっては瑠璃さんの存在はそんな眩いものだ。


つまり何が言いたいのかというと・・・


「おい、鈴木!お前が雲雀さんと付き合ってるて本当か!?」


その一言にクラスメイトが殺気だつ。

それを聞いてくれたKYさん・・・クラスメイトの河田安雄かわだやすおはイニシャルとあだ名の通りまさしく最悪の場面でそれを聞いた。


それに対して僕はなんとか自然に・・・内心で冷や汗を流しながら聞いた。


「どこでそれを聞いたの?」


「隣のクラスの佐藤だよ!お前の幼馴染の!」


うん。余計なことをしてくれたあいつには後で報復しよう。


「で、本当か?」


「まあ、そうだけど・・・」


隠せそうもないので正直にそう答えるとクラス中が一気に騒がしくなる。

聞こえてくるのは、「嘘だろ!?」とか、「そんな・・・あんな地味な奴に・・・」とか、「わが校のアイドルが!」とかそんなのばかり。


そのあまりにも予想通り過ぎる光景に僕はため息つく。


瑠璃さんとしては隠すつもりはないのだろうけど、僕からしたらこれを周囲に知られるとかなりまずいことになるからだ。


男子の嫉妬?いや、それは別にいい。いや、良くはないがまあ大丈夫。問題なのは「わが校のアイドル」たる超絶美少女瑠璃さんと僕が釣り合わないという話を瑠璃さんが聞いてしまうことだ。


もし、仮にその話を誰かがしたら次の日にはその人の机の上に花が手向けられることになるような展開が見えてしまい僕は黙っていたのだが・・・それも今日までのようだ。さらば日常。フォーエバー。


「くそー!羨ましいぜ!俺なんてこないだ彼女に振られたばかりなのに!」


河田はそう言って僕の背中を叩く。

痛いよ、馬鹿力!


「タツ」


そんなことをしていたら騒がしい教室でも通るような凛とした声が響いて僕は恐る恐る振り返ると・・・そこにはもちろん僕の愛しい彼女たる瑠璃さんの姿が。


な、なんで?こんなタイミング良く僕のクラスに?


いつもは別のクラスの瑠璃さんとは待ち合わせをして帰るのだけど、教室まで・・・しかもこんなにタイミング良く現れるなんて・・・


そんな風に内心疑問に思っていると、瑠璃さんはさっさか僕の側にきて、僕の手をとって上目使いで言った。


「遅いから・・・来ちゃった♪」


そのあまりにも可愛い仕草に・・・しかし、僕は冷や汗をかいた。

ヤバイ。これはまずい。


僕は慌ててクラスメイトに避難を呼び掛けようとしたが・・・時すでに遅く、入り口はいつの間にか表れた瑠璃さんの部下に封鎖されて、逃げられる状況ではなくなった。


突然の事態に唖然とするクラスメイトに瑠璃さんはてへりと天使のように笑って聞いた。


「私の彼氏をバカにしたしようとしたのは誰かな?」


ヤバイ・・・普通の声音なのに、これは返答次第で何人か確実にあの世行きだ。


クラスメイトも何やら察したのか気まずそうに視線を反らす中で・・・やはりどこまでも!KYなこの男・・・河田は瑠璃さんに近づいて言った。


「雲雀さん!鈴木なんかより俺と付き合ってよ!」


その一言にクラスメイトは可哀想なものを見る目で河田を見て・・・僕も内心で河田に合掌した。


「鈴木なんかより?」


ピキリと音が聞こえそうな程にもはや見ずとも分かる瑠璃さん・・・ごめん、河田。お前はいいやつだったよ。バカだけど。


瑠璃さんは河田を見ると笑顔で言った。


「ふふ・・・私の彼氏をバカにしたのはあなたね?なら・・・連れてけ」


「「「はい!姐御!!」」」


「な、なに!?なんなの・・・ちょっ、助け・・・」


あっという間に連れてかれた河田。


瑠璃さんは笑顔でクラスメイトを見て言った。


「みんな・・・このことは秘密だよ?あと・・・私のタツに手を出したら絞めるから」


そのドスの聞いた言葉にクラスメイトは頷くことしか出来なかった。


この日から僕のクラスでは暗黙の了解として、「鈴木には何もするな」が出来たのだった。


ちなみに連れてかれた河田は後日普通に登校してきて、いつも通りに過ごしていた。

あいつは意外と大物かもしれない。

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