23 僕と手紙と拉致
おはようございます。
本日は3話更新です。
キリのいいところまでとりあえず書けたのですが・・・続きに迷ってまして・・・
「あれ?」
朝・・・目覚めてすぐに瑠璃さんの姿はなく、いつもの朝だと思っていた矢先・・・居間に入るとそれはあった。
今朝はお泊まりでいない茜姉さんを除いて両親のどちらかが一度は帰宅したのだろうが・・・居間の机に置いてある物に違和感がある。
いつもは誰かが読んだ今朝の新聞が置いてあるはずの場所に・・・何やら小さい手紙が置いてあったのだ。
不思議に思いつつ、宛名が僕の名前になっていたそれを裏返して・・・眉を寄せる。
切手が貼ってある様子もないし・・・僕宛以外に差出人の名前すらない手紙というのに物凄く不吉な予感を抱きつつ・・・とりあえず封を開けてみた。
ポロっと紙を出した時に手紙の袋から床に何かが落ちたように見えて拾うと・・・それはメタリックな小さい・・・なんだろ?デザインがよくわからない。多分蠍かな?
それに疑問を抱きつつ、とりあえず手紙を読もうと開けてみて・・・・
「うわ・・・」
思わずそう呟いてしまう。
え?何が書いてあるのかって?
『必ず助ける』・・・・これだけ。
意味がわからない・・・一体僕は何から助けられるんだ?
にしても・・・意味深な手紙にメタリックの蠍のアクセサリー混入の手紙とか・・・朝からわけわからなすぎて引きますよ。
しばらくその手紙を眺めて・・・よし、と頷いて決めた。
「見なかったことにしよう」
きっと、悪戯の類いだろうし気にする必要はないはず・・・何より仮にこれが何か意味があっても、僕にはどうしようもないことは明らかだ。
これだけで推理しろとか名探偵様もびっくりのヒントの少なさだよ。
そうして後で捨てようと手紙をポケットに押し込んで朝食を食べてから僕は瑠璃さんとの待ち合わせの場所に向かった。
・・・・のだが。
「瑠璃さん遅いな・・・」
いつもの待ち合わせの場所に着いてからしばらく待っているが・・・一向に瑠璃さんの姿は見えない。
昨日は確かにいつもの場所で待ち合わせの約束をしたから先に行ったってことはないだろうけど・・・
そもそも、瑠璃さんと待ち合わせをして、瑠璃さんが遅れてきたことなど過去に一度もないので僕としては少し心配になってきた。
電話も出ないし・・・LINEも既読がつかない・・・今まで瑠璃さんにLINEして1分以上既読がつかないことがないだけにますます心配になる。
・・・うん。何故か瑠璃さんは僕がLINEすると数秒後には返信してくれるんだよね・・・不思議なくらいにタイミングがいいけど・・・
瑠璃さんのことだからヤバイことに巻き込まれてなければいいけど・・・
「おい、お前」
そんなことを考えていると何やら後ろから声をかけられた。
・・・多分。僕ではないはずだよ。
こういう勘違いで振り替えった時ほど恥ずかしいこともないのでスルー・・・
「無視すんじゃねぇよ!」
しようとしたらガッと肩を捕まれた。
・・・あれ?僕?
「えっと・・・何か?」
「お前・・・鈴木達也だよな?」
「違います」
「はぁ!?」
僕のその返事に肩を捕んでいた女は驚愕の表情を浮かべる・・・人違いって怖いよね。
「そんなわけ・・・嘘つくなよ!」
「どなたかと勘違いしてませんか?今時ありふれた鈴木という名字と達也という名前の別の人とか・・・」
「あってるんじゃねぇかよ!嘘つくなよ!」
えらい怒鳴りちらすその女性・・・うん。見た目からヤンキー風味な感じだよ。今時珍しいくらいにチャラチャラしてる。
染めた髪と、ジャージにじゃらじゃらしたピアスなどのアクセサリー類・・・うん。ヤンキーかな?
そんなことを考えていたらいつの間にか大勢に囲まれる僕。
・・・あれ?ひょっとしてピンチかな?
「ともかく・・・テメェに用事があるんだよ!鈴木達也!一緒に来い!」
「はぁ・・・」
状況を飲み込めず困惑していると「ええい!面倒だ!」と言って目の前の女性は僕の腹に一撃拳を叩き込んだ。
「ぐ・・・!」
「野郎共こいつを連れてけ!」
「「「オッス!姉さん!」」」
その一声にいつの間にか大きな麻袋で悶絶する僕を覆って持ち上げる連中・・・あぁ・・・本格的にピンチかな?
痛みと浮遊感に苛まれつつ、意識を落としそうになる前に僕が考えたのは・・・瑠璃さんは大丈夫かというただそれだけだった。




