16 僕と彼女と謎の手紙
婚約破棄物の内容に悩んでいたら、こちらの更新を忘れてました・・・そろそろ婚約破棄物を新しく書きたいのに浮かばないこのジレンマ!
は、さておき、通常回です。
「あれ?」
瑠璃さんに朝からかなりの刺激を受けながら登校して、下駄箱つくとそれはあった。
僕の上履きの上にそっと置いてある1通の封筒・・・うん。決してラブレターではないはずだ。そうに違いない。
勘違い系の痛い男なら下駄箱に手紙・・・なんて展開はラブレター1択だと思うだろうが・・・やたらにイケメンな親友がいる僕からしたら悪戯か、9割の確率で順一を紹介しろという内容の文章だと予測がつく。
とはいえ、瑠璃さんと出会ってからここ最近は全く無かったので珍しいと思いつつ封筒を裏返して・・・冷や汗を流す。
あ、あれ?おかしいな・・・気のせいでなければ絶対に僕には関係のないはずの名前が見えた気が・・・
「タツ?どうかしたの?」
「うん?なんでもないよ」
「そう?」
冷や汗を流していると、クラスの違う瑠璃さんが靴を履き替えて僕の元へ来たので思わず手紙を隠して誤魔化してしまう・・・うん、100%瑠璃さん怪しんでるけどね。
「でも・・・あれ?タツなんか顔色悪くない?」
「そ、そんなことないよ。大丈夫だよ」
「そう・・・ならいいけど・・・」
尚も不審そう(というか、心配そう)に僕を見ていた瑠璃さんだったが、とりあえず納得したのか僕の手をとって歩き出す。
「じゃあ、教室まで一緒に行こうか」
「うん」
最近はどうも隠すのを止めたのか学校でも積極的になってきた瑠璃さん・・・まあ、ぶっちゃけ元々そんなに隠していた訳ではないが・・・瑠璃さん的にはなんだか、こないだの教室での惨劇以来、より分かりやすく僕との関係を見せつけている気がしてならないのは気のせいかな?
「あ、タツ放課後なんだけど・・・今日だけは先に帰ってくれる?」
「それはいいけど・・・って、ああ・・・なるほど。例の日なの?」
「そうなのよ・・・本当はタツも連れて行きたいけど、今日は面倒なのがいるから」
うんざりしたようにため息をつく瑠璃さん。
『烈兎隊』の総長である瑠璃さんは、幹部以外には一部を除いてその正体を隠している。
そして、正体を知る幹部だけの集会が『烈兎隊』には月に一度、定例であるらしい。
まあ、それ以外にも色々あるらしいが・・・『烈兎隊』の幹部メンバーは最低でもその集会には出席しなければならないらしい。
「本当はタツを一人にするのは嫌なんだけどね・・・それに少しでも離れるのは寂しいし・・・でも、今日だけはタツがいることに難癖つけそうなのがいるから我慢しないといけないのよ」
「大変なんだね」
さらっと言われた言葉に赤面こそしなかったが、内心でかなりドキドキしながら僕が咄嗟に返せた言葉はそれだけだった。
本当ならもっと気のきいたことを言いたいけど・・・僕に出来ることなんてたかがしれてるから大言は吐かない。
変わりに・・・
「その・・・じゃあ、明後日用事なければ放課後はデートしない?その・・・瑠璃さんが行きたいところに」
「本当に!?」
珍しく瞳を輝かせて僕に顔を近づけてくる瑠璃さん・・・あ、あの・・・顔が近いです!そんなにキラキラした瞳で可愛い顔を見せないでください!理性が・・・理性が・・・!
「う、うん・・・瑠璃さんが大丈夫ならだけど・・・」
「もちろん大丈夫だよ!約束だからね!」
「う、うん」
なんだか予想以上に喜んで貰えたようなので一安心。
僕なんかが出来ることは本当にこの程度だけど・・・それで瑠璃さんが笑顔でいれるなら喜んでなんでもするだろう。
ま、まあ・・・こないだの女装デート以外ならなんでもすると思う。うん。あれは金輪際したくない。
彼女と女装してデートって、今更だけどかなりの羞恥プレイだよね。
「じゃあ、お昼はいつものところにね!」
「え、あ、うん」
そんなことを考えていたらあっという間に瑠璃さんのクラスの前に着いていたようで、瑠璃さんにそう言われて頷く・・・と、瑠璃さんは周りをチラリと見て、人気が少ないことを確認してからこっそりと僕に近づいて僕の頬に唇をあてて・・・あれ!?
「る、瑠璃さん!?」
「ふふ・・・ぼーとしてるタツがいけないのよ。じゃあ後でね」
くすりと笑ってから瑠璃さんはくるりと回って自分のクラスに入って行ったが・・・僕としては公衆の面前で頬にとはいえ、キスされたことでしばらく脳がフリーズしたのは仕方ないことだろう。うん。




