クリスマス特別編 下
クリスマス特別編3話目です。
本編の執筆は少し遅れてるので先にこちらを乗せました・・・・
「わぁー!綺麗・・・」
夕飯を食べてから、僕と瑠璃さんは近くの公園にイルミネーションを見に来ていた。
本来ならカップルが意外と来ていそうな場所だが・・・どうやら他に人気のスポットがあるらしくて、ここにはほとんど人はいない。
・・・多分瑠璃さんが人払いをしたのではないと思う。うん。信じたい。
「タツ!綺麗だよ!」
イルミネーションに大興奮の瑠璃さん。
僕もそれに笑顔で返す。
不思議な気持ちだと思うけど・・・なんてことないこんな時間が・・・何より楽しいと心から思えた。
「あ、雪だ・・・」
瑠璃さんの声にふと我に変えると・・・パラパラと雪の結晶が降りてきていた。
「ホワイトクリスマスか・・・」
「素敵だねぇ・・・」
まさか現実でこんなにいいシチュエーションが起こるとは思わず二人で見いってしまう。
ちらりと隣の瑠璃さんを盗み見て・・・今日の服装も合間って一段と幻想的な美しさの瑠璃さんに言葉では言えないチキンな僕は心の中で「綺麗」だと見惚れていた。
「あ、そうだ・・・タツこれ」
そんなことを考えていたら瑠璃さんが何かを取り出して渡してきた。
見ればそれはラッピングされている小さい袋で・・・もしかしなくてもプレゼントかな?
「メリークリスマスだよタツ!」
にっこりと先手を打ってそう言われてしまったが・・・僕も今回は頑張る。
「ありがとう。じゃあ、僕からも・・・はいこれ」
「え?タツからプレゼント?」
キョトンとして僕から包みを受け取った瑠璃さんは・・・その後で花が咲いたように笑顔を浮かべた。
「ありがとうタツ!じゃあ、一緒に開けようか」
「そうだね」
僕のプレゼントも瑠璃さんのプレゼントも幸い簡単な包装なのでこの場で取り出しやすいようになっている。
二人で静かに包装を解いて開ける・・・これは・・・
「ネックレス?」
見ればそれはチェーン部分が革の素材でメタリックな兎の柄のネックレスだった。
「タツ・・・これ・・・」
僕が驚いていると瑠璃さんが珍しく戸惑ったような表情でこちらをみていた。
瑠璃さんの手には僕の用意したプレゼント・・・兎柄のピアスが握られている。
「ふふ・・・やっぱりタツも兎なんだね」
「瑠璃さんこそ」
二人で笑いあう。
やっぱり二人とも兎の柄を選んだ。
そんな些細な・・・だけど同じところがたまらなく嬉しかった。
「タツは金属アレルギーあるかもって言ってたから革の素材とステンレスの金属アレルギー用のやつを特注で頼んだんだよ」
「覚えてくれたんだ」
「当たり前だよ」
笑いながら答えてくれる瑠璃さん。
前に確かに、安い金属のネックレスで痣になったことがあるとは言ったけど、そこまで考えてくれるなんて・・・
「それに・・・それがあれば更にタツは私のものだってアピールになるでしょ?」
不意打ち気味なそんな言葉に・・・いつもなら赤面しか出来ない僕だが・・・今回は少しばかり違う。
「僕も・・・それがあれば瑠璃さんが僕のものだとアピール出きるからね・・・」
「ふふ・・・ありがとう」
瑠璃さんはそう笑って答えてはいたけど・・・気のせいでなければ少し顔が赤くなっていたような?
まあ、真っ赤な僕が言うことじゃないけど・・・
「ねえタツ」
「なに?瑠璃さん?」
「好きだよ」
「・・・・僕も好きだよ瑠璃さん」
「うん・・・」
公園のイルミネーションがカラフルに色を変えているのを横目に見ながら僕と瑠璃さんは寄り添い唇をそっと重ねる・・・
イルミネーションと雪の結晶が合間って幻想的な風景を描きながら・・・僕と瑠璃さんはお互いを求めた。
冷たい空気の中で触れた部分が熱を帯びて、心から幸せだと思えた本日、12月24日のクリスマスイブ・・・忘れられない思い出がひとつ心に増えた・・・そんな今日この頃。




