閑話 彼女と親友の水面下での激突
本日は主人公不在です。
毎日更新を心がけてますが、先の展開を少し迷ってるので遅れてしまったらすみません(^_^;)
「そろそろ出てきたらどう?」
達也を送り届けた後・・・雲雀瑠璃は夕暮れの道をしばらく歩くと後ろに向かって声をかけた。
「・・・・気付かれてたとはね」
「それで?何のご用かしら幼馴染くん?」
瑠璃の声に答えるように柱の影から表れたのは達也の親友である佐藤順一だった。
「用件なら分かってるでしょう?」
「それもそうね」
両者とも口調は穏やかだが、普段達也には見せない程に冷たい視線でお互いを見ていた。
「もしかしたら・・・とは思っていたけど、まさか達也の彼女が『烈兎隊』の総長だとはね」
「だったら何?」
すっと視線を鋭くする順一。
「単刀直入に聞こう。達也に何の目的で近づいたんだ?」
「目的?」
「そうだよ。だって、おかしいだろ?天下の『烈兎隊』の総長様がどこまでも平凡な達也と付き合う・・・これに違和感を覚えない人間はいないだろ?」
順一は冷たい口調のまま言葉を続ける。
「前にもね、俺目当てに達也に近づいた女は沢山いたんだ。俺の親友である達也を踏み台にして俺に近づく・・・そんな女を沢山みてきた。君はどうなんだ?達也を脅して無理矢理従わせてたり、達也を騙しているなら・・・」
「ふふ・・・ははは!」
順一が最後まで言い切る前に笑い出す瑠璃。
それを怪訝そうに見てから口を開こうとした順一より早く瑠璃は笑いを止めると視線に怒りを込めて口を開いた。
「馬鹿にしないで。あんたなんかに興味は微塵もなければ、ましてやタツを脅して無理矢理従わせる?タツを騙す?あり得ない。私がタツと付き合ってるのはタツを純粋に愛してるからよ」
「それを信じろと?」
試すような順一の問いに・・・瑠璃は首を横にふった。
「別にあんたがどう思おうと構わない。私はタツを愛してるし、タツに愛されてる。これだけが真実だから」
瑠璃はそう言い切った。
胸のうちにはさっきまで一緒にいた愛しい人・・・達也の笑顔が脳裏をよぎり心が自然と温かくなる。
「タツはこんな私の側にいると言ってくれた・・・本当の私を知っても、優しいタツのままで。だから私はタツが大好き。世界で一番大好き。だからあんたがタツの親友だろうが幼馴染だろうが、タツの害になるなら・・・私はあんたを潰す」
その台詞と鋭い視線を受けて順一は・・・苦笑した。
「なるほど・・・とりあえず取り越し苦労だったかな?」
「そうでもないわよ。タツはあんたみたいなのの側にいれば、変な女に騙されそうだもの」
「違いない」
順一は先程までの冷たい視線を柔らかくして視線を瑠璃からそらした。
「本当は達也が選んだ相手だから信じてはいたけど・・・どうにもあいつは優しすぎる。それこそ、自分のことを忘れて他人のために動く程にお人好しなところがある」
順一は昼間も自身のために動いてくれた親友のことを思い出してふと、笑みを浮かべる。
「昔から俺の容姿がいいせいかあいつには苦労をかけたからね・・・それでも親友と呼んでくれるあいつが俺は気に入ってるんだけどね」
「あげないわよ?」
悪戯っぽい笑みを浮かべてそう言った瑠璃に順一は苦笑する。
「そうかい。ま、とりあえずは達也のことが本気なのはわかったよ。そこで提案があるんだが・・・」
「提案?」
「ああ、達也の昔の写真欲しくないか?」
「聞きましょう」
その言葉は先程までの緊張感を一気に吹き飛ばす程に瑠璃の心を動かして・・・ここに達也のための同盟が、達也の預かり知らぬところで密かに結ばれたのだった。




