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13 僕と彼女の変わらぬ気持ち

「じゃあ、また明日ね」


現在僕は、瑠璃さんに家まで送って貰ってから、見送りのために玄関にいます。


いや、そこはもう瑠璃さんだし、本当なら僕が送りたいけど・・・瑠璃さんが許可してくれないし、何より瑠璃さんには常に何人かの護衛が陰にながらサポートしてるから何も問題ないのだ。


何より、瑠璃さん自身も並みの男よりよっぽど強いので、逆に僕が守ってもらう側なのはある意味仕方ないのだ。


「うん。気を付けて帰ってね?」


「ふふ・・・大丈夫だよ。この辺りは安全だから。でも・・・ありがとね」


僕の心配がうれしいのか笑顔の瑠璃さん。

少し名残惜しく思いつつも、明日も会えると自身に言い聞かせて僕も笑顔を浮かべていると、瑠璃さんはふと、思いついたようにこちらに寄ってきた。


ど、どうかしたのかな?


「タツ。あのさ・・・」


「な、何?」


後ろに手を組んで上目使いで僕を見上げてくる瑠璃さん・・・な、なんだろ・・・可愛い過ぎるけど・・・


「少しだけ目を瞑ってくれる?」


「い、いいけど・・・何するの?」


「いいからいいから。」


瑠璃さんに急かされて何をされるのかわからないがとりあえず目を瞑ってみると、しばらくしてから瑠璃さんが側に寄ってくる気配と、耳に何やら温かい感触・・・が!


「はぐはぐ」


「る、瑠璃さん!?」


慌てて目を開けると僕の耳を甘噛みしている瑠璃さんが・・・伝わってくる瑠璃さんの舌の感触と口内の暖かさ・・・そして、あまりにも突然の事態に僕の脳内は処理落ちしてフリーズしてしまう。


あ、あれ?瑠璃さんは一体何を?


み、耳をはむはむしているのはわかるし、大変可愛らしいが・・・おや?このくすぐったさは僕の触覚からの感覚なのかな?


え?でも、だとすると・・・・


数秒後、そこには真っ赤になって慌てる僕とすでに僕から離れて舌を出して悪戯っぽい表情を浮かべる瑠璃さんの姿があった。


「ふふ・・・じゃあねタツ♪」


ご機嫌そうにそう言って颯爽と去る瑠璃さんを僕はただただフリーズして見送ることしか出来なかった・・・


やっぱり、いつまで経っても瑠璃さんにはかなわないよ・・・





「ただいまぁ・・・」


「あら~たっくんおかえりなさい」


ぐったりして家に入るとちょうど茜姉さんが靴を履いてるところだった。

出掛けるのかな?


「茜姉さん。出掛けるの?」


「うん~。しょうくんとデートに行くの~」


えへへーと嬉しそうに微笑む茜姉さん。


「そう・・・あれ?じゃあ、正一さん迎えに来るの?」


「うん。だから待ってるの~」


「なるほど・・・」


だから靴を履いて玄関で待ってるのか。

ちなみに、正一さんとは茜姉さんの彼氏で僕も何度か会ってるがかなりのイケメンだ。


と、そんなことより・・・


「デート前で悪いけど僕の女装をなんとかしてくれない?」


「え~。似合ってるのに~!」


「そうだね。似合ってるよ達也くん」


文句を言う茜姉さんとは別に後ろから聞こえた男の声。

振り替えるとそこには茜姉さんの彼氏である周防正一すおうしょういちさんがいた。


穏やかな外見とは裏腹に茜姉さんを手に入れるために色々と裏で画策したりする腹黒さも持ち合わせたイケメンさんはニッコリと笑って僕をみていた。


「あ、しょうくん~!」


「おっと!茜。いきなり飛び込んできたら危ないだろ?」


嬉しそうに抱きついてきた茜姉さんにやんわりと注意しつつもこちらも嬉しそうな様子の正一さん。

なんだかすでに二人だけの空間になりそうだけど・・・


「ラブラブなのはいいんだけど・・・出来れば僕の女装の・・・せめて服だけでも脱がせてよ」


「え~!」


「ふふ・・・茜に似てるから達也くんは女装すると可愛いね。似合ってるよ」


「嬉しくないですよ!」


まあ、確かに若干似ている用には思えたけど・・・僕にはそっちの趣味はないの!


「デート前で悪いけど頼むよ・・・僕も瑠璃さんと、この格好でデートして色んな意味で疲れたから早く休みたいんだよ・・・」


「む~!仕方ないなぁ」


そう言って茜姉さんに服を脱がして貰うために部屋に戻る。

・・・・何故か正一さんも着いてきたけど。


「あ、そうだ!しょうくんに渡すものあったんだった!少し待ってて!」


「ちょっ!茜姉さんその前に僕の着替えを・・・って、行っちゃった・・・」


どたばたと部屋を出ていく茜姉さん。

取り残された僕と正一さんは苦笑し合う。


「すまないね。茜は君を可愛いがってるから・・・」


「分かってますよ」


何年も家族やってればそれぐらいは分かっている。

世間的には僕はシスコンで姉さんはブラコンに属するとは思う。


と、少し外を見てからまだ茜姉さんが来ないと思ったのか正一さんが「ところで・・・」と少し真剣な表情を浮かべた。


「君の彼女・・・瑠璃さんだっけ?彼女ってもしかして『烈兎隊』の関係者かい?」


「どうしてそう思うのですか?」


僕はその質問にイエスともノーとも言わない。

正一さんを疑うわけではないが・・・もし、瑠璃さんに何か不利なことになりそうなら僕は身内でもできる限りは抵抗する。


そんな僕に正一さんは苦笑気味に答えた。


「別にそんな構えなくても大丈夫だよ。ただ・・・それなら少し忠告をしようと思ってね」


「忠告?」


「そうだよ」


あくまで世間話程度の雰囲気で正一さんは言葉を続けた。


「あの組織は大きい・・・だからこそ一枚岩ではない。色んな思惑の人間がいる。もし、君があの組織に関係があるなら・・・狙われる可能性もあるっていうことだよ」


そのことか・・・確かにそれは考えなかったわけではない。

『烈兎隊』は様々なグループを吸収して大きくなった関東でもっとも強いレディースグループ。


まあ、一部は所謂『漢の娘』と呼ばれる存在もいるそうだが・・・


そんな集団のリーダーである瑠璃さんの恋人の僕は所謂瑠璃さんの弱点・・・完璧な瑠璃さんを倒すならその弱点である僕はまさに格好の標的だろう。


これから先、いくら瑠璃さんが守ってくれると言っても僕が危ない目にあうこともあるかもしれない。


でも・・・


「忠告ありがとうございます。でも大丈夫ですよ」


「ふうん。そうなの?」


「ええ、だって・・・何が起ころうが僕のするべきことは変わりませんから」


ただ、瑠璃さんを信じる。

瑠璃さんを好きな気持ちに偽りはない。

だから・・・


「好きな人のためなら僕はなんでもしますよ」


笑顔でそう言えた。

そんな僕を正一さんはキョトンとして見てから可笑しそうに笑った。


「ふふ・・・やっぱり茜の弟だね。そっくりだよ」


「姉弟ですから」


「ふふふ・・・そうだね。流石だよ俺の義弟は」


「ありがとうございます。お義兄さん」


笑い会う僕と正一さん。

茜姉さんが戻ってきたのはそれからすぐのことだった。




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