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12 僕と彼女の優しい時間

「んー!気持ちねぇ・・・」


「そうだねぇ・・・」


今まで生きてきて、初めてアイスを恥ずかしく食べた後・・・僕と瑠璃さんは一休みしようと、近所の公園に来たのだけど・・・そこでベンチに座ってから僕は瑠璃さんに膝枕してあげています。


あれ?普通は逆な気も・・・いや、それこそ考えても無意味か。


男の膝枕って個人的には堅いだけな気もするけど・・・瑠璃さんは普通にゆったりくつろいでいるし、何も言うまい。


「ねぇータツー・・・」


「何?」


ダラーとした瑠璃さんの頭を無意識に撫でてあげていると、瑠璃さんは顔を僕の方に向けてにこっと言った。


「呼んだだけだよー」


「そうですか・・・」


なんだろ・・・ただ、これだけのことなのに・・・不思議と満たされてる感覚になる。

平和な幸せ・・・と言えばいいのかな?


・・・これで、僕が女装してなければパーフェクトなのに・・・・。

いや、まだ女装してるのかよ!ってツッコミもわかるけど・・・デート終わるまで、これは無理な気しかしないよ・・・


「ねぇ・・・タツ。聞いてもいい?」


「何?」


「どうして幼馴染くんのためにここまでしたの?」


不意に見ると瑠璃さんは真剣な表情をしていた。

どうしてか・・・


「親友が困ってたから、出来ることをした・・・って言うだけだよ」


「じゃあ、タツは幼馴染くんと私・・・どっちかしか助けられない状況ならどっちを選ぶ?」


難しい質問だ。

けど・・・


「可能なら両方を救いたい・・・けど、それがダメなら・・・瑠璃さんを選ぶよ。僕の好きな人を失いたくはないから」


確かに、親友は大切なものだけど・・・瑠璃さん以上に大切なものは存在しない。

だから、その場合は迷わず・・・いや、迷いながらも瑠璃さんを選ぶだろう。


「タツ・・・」


「まあ、とはいえ、僕に出来ることなんてたかが知れて・・・ん!」


最後まで言い切りは前に膝の上にいる瑠璃さんが僕の頭をつかんで無理矢理口を塞ぐ・・・数秒ほどしてから離れて、僕は事態の把握のために脳をフルで回転させる。


今の行為の名称ーーー検索結果、ヒット件数一件。


「る、る、瑠璃さん・・・き、キス・・・」


「ふふ・・・ごめんね。嬉しくてつい・・・でも、そんなに照れなくてもいいのに。初めてじゃないんだから」


「そ、それはそうだけど・・・」


不意打ちは卑怯ですよ!

た、確かに何度かキスはしてるけど・・・僕にも心の準備が必要なわけで・・・


そんなテンパってる僕に構わずに瑠璃さんは言葉を続けた。


「私の一番はタツだよ。それは絶対に変わらない。例え世界を敵に回しても・・・絶対にタツを守る。でもね・・・」


そっと、瑠璃さんは僕の頬に手を添えた。

触れた指先から伝わる暖かさに心が不思議と落ち着く。


「もう2度と、昼間みたいな危ないことしないで。タツが優しいのは私が誰よりも知ってるけど・・・それでタツが傷つくのは嫌だよ」


「瑠璃さん・・・」


そうか・・・想像以上に瑠璃さんに心配をかけていたようだ。

僕が優しいのかはわからないけど・・・でも・・・


「努力するよ」


「確約はできないのね?」


それに黙って首肯く。

誰かが困ってて助けられるなら助けたい・・・そう思ってしまうからだ。


そんな僕の内心を見透かしたように「仕方ないなぁ」と言いたげな表情を浮かべる瑠璃さん。


ごめん。でもね・・・


「瑠璃さんも・・・あんまり危ないことはしないでよ?僕には何にも力はないけど・・・瑠璃さんの側にずっといることだけは出来るから」


僕には瑠璃さんみたいに力ない。だけど、側にいるだけならできる。

瑠璃さんが僕を欲してくれるなら、それに答えることはできる。

だから・・・


「その・・・こんな僕だけど、これからもよろしく」


「ふふ・・・それじゃあ、こんな私だけどこちらこそよろしく」


二人して微笑み会う。


しばらくして、いくらカッコつけようと、自分が女装していると、今さらながら思い出してさらに赤面したのを瑠璃さんに、にやにやと見られてからかわれたのは・・・仕方ないだろう。



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