11 僕と彼女とアイスクリーム
「タツ!これも可愛いわよ!」
瑠璃さんとショッピングデート・・・なんて、普段ならうれしいはずのイベントが、しかし今の僕には果てし無い罰ゲームの延長戦でしかなかった。
「瑠璃さん・・・せめてもう少し露出が低いのを・・・」
「何言ってるの?綺麗な肌は見せてこそよ?」
「でも・・・」
文面だけなら、過保護な彼氏が彼女に独占欲を出してる・・・みたいな感じにも見えるが事実は無慈悲にも違う。
「それにしても・・・本当に綺麗な肌してるわよねタツは」
「瑠璃さん・・・なんで僕に女物の服を選んでるの?」
簡潔に今の状況をのべると、「女装して彼女とショッピングデートしてる僕」というのが現状だ。
あれ?おかしいな・・・親友の彼女役を終えたと思ったら今度は本物の彼女と女装してデートする僕・・・本気でそっちの気があるとしか思えない図に内心で涙する。
そんな僕に対して瑠璃さんはキョトンとしてから「それはもちろん・・・」と、とびきりの笑顔で言った。
「タツにまた女装して貰うためよ!」
「またやるの!?」
「だって・・・可愛いんだもん!タツのその姿。それに、約束は守ってよね?」
「うう・・・わかってるよ・・・」
親友のために彼女と交わした約束である「何でも言うことを聞く」を今更ながら後悔するが時すでに遅し。
未だかつて、あっただろうか?瑠璃さんに「可愛い」と言われてかなりショックなことが・・・
いや、普段ならまだ少し照れるくらいだけど・・・女装して似合うと言われて、あまつさえ「可愛い」と言われていると内心ではかなり複雑だ。
あぁ・・・昨日までの空は幸せ色だったのになぁ・・・
「ちょっとタツ!こっちもいいと思わない?」
「そうだね・・・」
瑠璃さんの言葉に生返事をしながら、僕はこの時間が早く過ぎろと内心でお祈りを捧げることにした。
神様・・・どうか僕にやり直す機会を・・・!
「あ、ついでだし、下着とかも・・・」
「それだけは勘弁して~!」
女性服の店に僕の声がこだましたのだった。
「ふふ・・・やっぱりタツとのデートは楽しいね」
「そ、そうだね・・・」
上機嫌な瑠璃さんと腕を組んで歩く。
現在、僕はようやく女装を解いて男物の服に・・・着替えていたかったけど、未だに女装しています。
茜姉さんの施したメイクをどうやって落とせばいいのかさっぱり分からないし、服も今着てるのしかないし、おまけにこの服ワンピースタイプだから僕一人で脱げる自信がないので、必然的に瑠璃さんの気がすむのをまつか、家に帰って茜姉さんの玩具になってから脱がして貰うしかないのだ。
なんなのこの2択・・・
「あ、タツ、アイス食べない?」
そんなことを考えていたら瑠璃さんがそんなことを言い出した。
視線を辿ると・・・あぁ、なるほど。有名なアイスクリームのチェーン店があった。
「そうだね。あ、今日はレディースデイで女性だと少しお得みたいだね」
「ふふ・・・ね?だからその姿で良かったでしょ?」
よくはないが・・・でも、確かに少し安くなるならいいかな?
高校生のお財布事情は常にギリギリだからね。
メニューを見て、僕は無難にチョコミントと、抹茶のダブルにした。
瑠璃さんは、苺とオレンジとチョコのトリプルにしたようだ。
近くのベンチに座って二人で食べる。
「あ、タツ。少しちょうだい」
「いいけど・・・でも、少し僕食べた後だよ?」
二人ともコーンのタイプだからスプーンはもらってない。
そうなると必然的に・・・
「大丈夫だよ。こうすれば・・・」
そう言って瑠璃さんは僕の手元のアイスを一口食べてーーーって!?やっぱり!?
「る、瑠璃さん・・・」
「うーん。抹茶とチョコミントも美味しいね」
ニッコリと笑ってそう言うが・・・いや、間接キスにいちいち動揺する僕の方がおかしいのかな?一般的な高校生男女なら当たり前なのかな?
「そ、それなら良かったよ」
「あ、タツも私の食べる?」
「ぼ、僕は大丈夫だよ」
色んな意味でお腹が一杯なので!
瑠璃さんは特に気にした様子もなく「そう」と言ってから美味しそうに続きを食べる。
ホッと安心して僕も続きを食べようと・・・
ん?あれあれ?よく考えたら、普通に僕のは瑠璃さんが口をつけてしまったわけで・・・つまりどちらにしろ、さっき瑠璃さんのやつを食べようが食べまいが、間接キスには変わりないという結果なわけで・・・
ちらりと瑠璃さんを見ると、僕がその思考に至ったのをわかっているように悪戯っぽく微笑んだ。
や、やられたー!
完全に狙ってやってたのか!?
る、瑠璃さんなんて策士・・・!
結局、瑠璃さんに見守られながら、僕は真っ赤になってアイスを完食しましたよ。ええ。




